解説者のプロフィール
アキレス腱は腰痛解消の特効ポイント!
腰痛に悩んで私の治療院を訪れるかたに、私がお勧めしているのが「アキレス腱に蒸しタオルをのせて温める」方法です。
実際に、この方法をお勧めすると、けげんそうな顔をされるかたが少なくありません。
そもそも、アキレス腱が腰痛とかかわりがあるなどとは、想像できなくても無理はありません。
しかし、両者の間には密接な関係があり、アキレス腱は、腰痛解消の特効ポイントともいってよい場所なのです。
私たち人間は、動物のように4本の足ではなく、たった2本の足で重たい体を支えなければなりません。
しかも、移動の際には、重心のバランスを絶妙に取りつつ移動する必要があるのです。
その際、私たちの体重は、足裏全体というより、足の親指、小指、かかとの3点によって支えられています。
そして、その上にのっている全身と足裏とをつないで体のバランスを取り、ゆる運動で負荷がかかります。
直立2足歩行の宿命で、私たちの体は、ともするとバランスをくずしやすくなっています。
そのため、猫背や体の使い方のクセ、あるいは、加齢や運動不足による筋力低下、スポーツなどによる筋肉疲労など、さまざまな要因から腰痛が起こってきます。
こうして腰痛が起こるとき、体の支えとなっていたアキレス腱には、腰痛の自覚症状が出る以前から、大きな負担がかかっています。
しかし、私たちがアキレス腱を意識することはほとんどありません。
ある意味、アキレス腱は我慢強く負担に耐えているのです。
体のバランスのくずれから腰痛が起こっているとき、アキレス腱にふれてみると、冷えてひどくこわばっていることがわかります。
当然、腱や腱周辺部の血行も、非常に悪くなっているのです。
アキレス腱のこわばりと冷えに、体のバランスのくずれが現れているといってもよいでしょう。
そこで、まずアキレス腱を温めて、血行をよくし、こわばりをほぐし、少しずつでも体のバランスを修復することが大事なのです。
また、アキレス腱を温めることで、腰を含めた下半身全体の血行を促すことができます。
かつ、東洋医学的には、生命エネルギーである「気」の流れをよくする効果も発揮されます。
熱が肌にジワーッと浸透し芯まで温める!
腰痛改善のため、アキレス腱を温める方法として、私がお勧めしているのは、蒸しタオルを当てることです。
まずは、蒸しタオルを作ります。次に、うつぶせになり、かかとからアキレス腱にかけて包むように置きます。
後は、そのままじっとしているだけです。10分が1セットです。蒸しタオルを置く足は、腰の痛みが出ているほうです。
腰の右側が痛むなら右足、左側が痛むなら左足を温めましょう。
もちろん、蒸しタオルを2本作って、同時に両方温めていただいてもけっこうです。
時間に余裕があるなら、両足のアキレス腱を1セット温めたのち、悪いほうだけ、さらにもう1セット、温めてもいいでしょう。
重要なポイントは、蒸しタオルで温めている間は、アキレス腱に意識を集中させることです。
実行しながらテレビを見たり、本を読んだりすることは好ましくありません。
「ああ、今私のアキレス腱が温められている」という認識を持つこと、そういう指令が脳に届くことが大切です。
それでこそ、脳は、アキレス腱からの指令をより鋭敏に感じることができ、健康効果も高くなるのです。
アキレス腱蒸しには、肌にジワーッと浸透し、芯まで温める蒸しタオルがお勧め
アキレス腱蒸しは、入浴直前や食後すぐに行うことは避けたほうがよいでしょう。
ちなみに、アキレス腱を温めるのであれば、使い捨てカイロを使ってもいいのでは、と考えるかたもいらっしゃるでしょう。
しかし、私は、使い捨てカイロよりも、蒸しタオルをお勧めします。
蒸しタオルの場合、その熱源が水で濡れていることがポイントです。
つまり、単に温めるだけではなく、蒸すことが重要なのです。水を含んだ熱は、肌にジワーッと浸透し、芯しんまで温めます。
そのため、抜群の腰痛改善効果を発揮します。この方法は、実際に試してみると、大変気持ちがよいものです。
ぜひ、皆さんも、体感してみてはいかがでしょうか。

「アキレス腱が温められている」と認識せよ!
宮田 寿望
ホロンハーモニー代表。京都出身。立命館大学卒業後、気功法や東洋医学を学び、整体師、柔道整復師となる。また、野口整体やヨガなどの理論を応用した「心と身体」の両面からの整体指導を実践している。
●ホロンハーモニー
http://holon-harmony.com/