
大きく突き出たおなかが引っ込んだ!
かつて私は、体重が96・6kgまで増えたことがありました(身長は171cm)。そのときは体脂肪率が43%もあり、太りすぎは明らかでした。
中性脂肪値なども高かったのですが、最も心配だったのが、血糖値です。空腹時の血糖値が、150mg/dlと、基準値の110mg/dlを超え、ヘモグロビンA1cも、5・8%と、当時の基準値を超えていました(過去1〜2ヵ月の血糖状態がわかる指標。現在の基準値は4・6〜6・2%)。
自分自身、いわゆる「境界型糖尿病」と判定していました。もともと私の家は、糖尿病の家系です。それを考慮すれば、糖尿病の大きな誘因である肥満は、一刻も早く解消しなければいけません。
そんなときに、吉田俊秀先生(当時・京都市立病院糖尿病・代謝内科部長)の講演を拝聴しました。そこで、先生が、糖尿病改善のために考案された「食前キャベツ」を知ったのです。
その代表的な効果を挙げると、まず、生のキャベツをよくかんで食べると、満腹中枢が刺激されます。すると、空腹感に悩まされることが少なくなり、食事量を減らすことができます。
第二に、食事量が減って内臓脂肪が減ると、過剰に分泌されていたインスリンの分泌が、正常化し、この面からも肥満解消に役立ちます。
第三に、キャベツに含まれる食物繊維の効果もあります。キャベツの食物繊維は、腸で糖質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑制します。
これらの効果によって、キャベツは肥満解消に大いに役立つのです。そこで私は毎食、食前に6分の1個分のキャベツのざく切りを食べるようにしました。
確かに、キャベツをよくかんで食べると、かなりの満腹感が得られます。当初から、それが実感できました。主食のご飯は、1食当たり120gに抑え、魚は80g、肉も80gを目安にとることにしました。キャベツ以外の野菜も、油や砂糖を過剰に使わない調理法で、たくさんとるように心がけました。
また、握りこぶし大の果物を1日2個、食後に食べるようにしました。勤務の合間に小腹がすいたときには、キャベツをかじるようにしました。
減量は順調でした。食前キャベツを始めて10日めには、体重は5kg減。その後も1ヵ月に6~7kgずつ減り、半年で、33kgもの減量に成功したのです。
元々、96・6kgだった体重は、63・2kgになったので、約33kgの大減量です。43%あった体脂肪率は23%に、119cmあったウエストは83cmと、36cmも縮みました。大きく突き出ていたおなかは引っ込み、二重あごも引き締まって、別人に見えるほどスッキリしました。
血糖値は、150mg/dlが、98・6mg/dlに。5・8%あったヘモグロビンA1cは、4・6%になり、どちらも基準値内に収まるようになったのです。
酢キャベツの作り方

酢とオリーブオイルで自家製ドレッシング
その後、私は、やせすぎた結果、腰を痛めてしまったので、少し体重を戻すことにしました。それで、データの上ではいちばん長生きできる数値とされる、BMI(肥満度を示す指標の一つ)25を目安とすることにしました。私の場合でいえば、体重は約73~74kgということになります。
それからは、この体重をキープするように心がけてきました。今から、3~4年前には、仕事のストレスが大きかったせいで、77kgまで体重が増えてしまったこともありましたが、そのときも、1ヵ月くらいかけて、体重を3kg落とし、目標体重に戻しました。
このように、体重の増減は多少ありましたが、やせてから現在まで、いちばん懸案だった血糖値は、きちんと基準値内をキープできています。
ちなみに、食前キャベツを始めたとき、私自身は、ノンオイルのドレッシングを、キャベツにかけて食べることが多かったのです。市販の青じそドレッシングを使うこともありましたが、ときには、酢とオリーブオイルで、自家製のドレッシングを作り、それをキャベツにかけて食べることもありました。
あらためていうまでもありませんが、酢もキャベツも、共に非常に健康によい食品です。キャベツについてはすでにふれましたが、酢についても、疲労回復を促し、血圧を下げ、内臓脂肪を減らすなど、多くの健康効果が報告されています。
これからダイエットしようと考えているかたや、血糖値を下げたいかたは、酢とキャベツ、二つの優れた食品を、ふだんの食事の中にうまく組み込んでいくといいでしょう。
糖尿病の改善を目的に、キャベツダイエットをする際は、ご自分の体重の、5~10%程度の減量を目安にすることをお勧めします。これくらいの減量でも、血糖値抑制の効果はかなりあるはずです。