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【医師解説】原因不明の慢性腰痛 解消のカギは「酵素」

【医師解説】原因不明の慢性腰痛 解消のカギは「酵素」

健康に良い食事をしているのになぜ腰や頭が痛いのかー―。私は、「腰痛の原因は酵素不足かもしれない」と考え、酵素の多い生野菜やフルーツを中心にした食事に変えたところ腰痛も肩こりも頭痛も、すべてスッキリと消えたのです。以来、患者さんにも酵素をたっぷり取る食事を勧めています。【解説】鶴見隆史(鶴見クリニック院長)

腰痛も肩こりもスッキリ消えた!

 今から30年ほど前に、私は激しい腰痛、肩こり、頭痛に見舞われたことがあります。

 当時、私はアメリカで大流行していた玄米菜食を患者さんに勧めており、もちろん私自身も健康のために実践していました。

 健康によい食事をしているのに、なぜこんなに腰や頭が痛いのか、私にはまったく原因が思い当たりませんでした。

 ところが、偶然一冊の本と出合い、目からうろこが落ちるように、その謎が解けました。
 その本はエドワード・ハウエルという米国の学者が書いた『酵素栄養学』という本で、そこには酵素の大切さや、酵素が生の食品にしか含まれていないことなどが書かれていました。

 私が実践していた玄米菜食は、玄米と野菜を中心にした食事で、動物性のたんぱく質や生の食品は、極力、取らない方針です。つまり私は、酵素をほとんど取っていなかったのです。

「腰痛の原因は酵素不足かもしれない」そう考えた私は、酵素の多い生野菜やフルーツを中心にした食事に変えました。すると、腰痛も肩こりも頭痛も、すべてスッキリと消えてしまったのです。

野菜をおろすと細胞が壊れて大量の酵素が出る

酵素は、健康全般のカギを握る物質

 それから私は、患者さんにも酵素をたっぷり取る食事を勧めています。おかげで、治療が難しい病気や慢性病も治るようになってきたのです。

 酵素は、痛みだけでなく、健康全般のカギを握る物質です。それはいったいどんな物質なのか、簡単に説明しましょう。

 動物も植物も、生物は体内に酵素を持っています。人間の体内にも、消化酵素と代謝酵素があります。
 消化酵素は食べたものを消化するための酵素、代謝酵素は体の新陳代謝をはじめ、あらゆる生命活動に必要な酵素です。

 この二つの酵素は、消化酵素が余分に使われると、代謝酵素が消化に回されて減っていくという関係にあります。
 ですから、加熱したステーキのように消化の悪いものを食べると、大量の消化酵素が使われ、その分、代謝酵素も減ってしまいます。

 一方、生野菜や果物のような生の食品には、それ自体に酵素(これを食物酵素という)が含まれており、食べても消化酵素の消費は少なくて済みます。

酵素が毛細血管の血流をよくする

 では、酵素を取るとどうして腰痛がよくなるのでしょうか。

 腰痛には、検査して骨などに異常が見つかる器質的腰痛と、調べてもどこにも異常がない機能的腰痛があります。腰痛の多くは後者で、その原因は血流にあると私は考えています。

 血流が悪くなると、エネルギーを作り出すクエン酸サイクルがうまく回らず、乳酸という疲労物質が作られます。これが筋肉を岩のように硬くして、腰痛や肩こりなどの痛みを引き起こすのです。

 つまり、血流不全が腰痛の原因になるわけですが、問題は大きな血管の支流の支流ともいえる、微小循環から悪くなることです。

 毛細血管のいちばん細いところは、直径わずか4ミクロン(1ミクロンは1000分の1mm)ですが、そこを通る赤血球は7・5ミクロンもあります。そのため赤血球は円盤形をしており、自身を折りたたんで毛細血管の中を流れているのです。

 ところが、赤血球が二つ、三つとつながると、血管に詰まって流れなくなってしまいます。

 赤血球が連銭状につながることをルローといいますが、ルローの原因になるのが、糖化たんぱくといわれる物質です。

 糖化たんぱくは、糖がたんぱく質と結合したもので、肉や白砂糖、悪い油などを取り過ぎると作られます。これがのりのように赤血球同士をくっつけて、ルローを作るのです。

酵素は積極的に生食するのがおすすめ

 腰や背骨の周りには、腎臓や腸といった大量に血液を使う臓器があります。そのため微小循環障害も起こりやすく、それが腰痛の原因になるのです。

 しかし、ルローでいっぱいの血管に酵素が入ると、のりの役目をしていた糖化たんぱくをはがし、赤血球のルローをほどいて、血流をよくするのです。

 すると、末端の細胞まで栄養や酸素が届くようになり、体の代謝が活発になります。それで、痛みも取れていくのです。

 酵素は、生野菜や果物、刺し身など、生の食品に入っていますから、積極的に生食をしてください。
 特に私が勧めているのが、キュウリ、ダイコン、セロリなどをすりおろしたものです。

 これらの野菜の細胞の中には、3000種類もの酵素が含まれているといわれています。野菜をおろすと細胞が壊れて、中の酵素が大量に出てくるのです。

 最近、キュウリから、ホスホリパーゼという脂肪分解酵素が発見されました。まったく栄養のなさそうなキュウリに、強力な消化酵素が含まれていたのですから驚きます。

 また、低速ジューサーで搾った野菜ジュース、ピクルスも非常によい酵素食品ですから、毎日の食事に積極的に取り入れてください。

解説者のプロフィール

鶴見隆史(つるみ・たかふみ)
鶴見クリニック理事長。
1948年、石川県生まれ。
金沢医科大学卒業後、浜松医科大学で研修勤務。
2001年より現職。
西洋医学のみならず、東洋医学(中医学)、鍼灸、筋診断法、食事療法などを追究する。
西洋医学と東洋医学を統合した患者優位の「病気治し医療」に取り組む。
アメリカ・ヒューストンで酵素医療を実践するディッキー・ヒューラー博士と1990年代後半から交流し、日本の酵素栄養学の第一人者として活躍中。
著書は『代謝を上げると健康になる』(マキノ出版)など多数。

●鶴見クリニック
東京都中央区八丁堀1-7-7長井ビル4F
TEL 03-3553-7710
https://www.tsurumiclinic.com/

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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