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【ノジェの耳介療法】ひざ痛によく効く特効ツボは「耳」にある

【ノジェの耳介療法】ひざ痛によく効く特効ツボは「耳」にある

西洋医学以外の手法を実践するなかで、私が最も興味を引かれたのが「耳介医学」です。耳のツボを刺激し、全身の症状を治す手法で、フランスの整形外科医ポール・ノジェが1956年に発見し、体系化しました。【解説】吉田宗平(関西医療大学学長・保健看護学部教授)

フランスの整形外科医が発見、体系化した療法

 私の専門は、神経内科です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を研究したことがきっかけで、東洋医学に興味を持ちました。
 ALSは、西洋医学では原因がわからず、治療法もありません。そのため、ALSをはじめ、いろいろな神経疾患の治療にも鍼灸を活用し、しびれやマヒ、硬直、ふるえなどの改善に役立ててきました。

 西洋医学以外の手法を実践するなかで、私が最も興味を引かれたのが「耳介医学」です。耳のツボを刺激し、全身の症状を治す手法で、フランスの整形外科医ポール・ノジェが1956年に発見し、体系化しました。
 ノジェは1951年、耳を焼く民間療法で、座骨神経痛を改善した患者と出会います。中国の鍼灸理論を学んでいたノジェは、この症例から耳への刺激という発想を得て、耳介医学の研究をスタートさせたのです。

 ノジェは、病状のある体の部位に対応する耳のポイントを刺激すると、脈拍が変化することも突き止めました。
 ひざ痛の人の場合、耳のある場所を刺激すると、脈が遅くなります。腰痛の人は、別の場所を刺激することで、脈が遅くなるのです。こうして、脈の変化を用いて治療点を抽出し、完成したのが「耳介医学地図」です。

 そして、1956年、「対応する耳のポイントへの刺激で、体の症状が改善する」という耳介医学を確立し、発表しました。
 ノジェの耳介地図と、ひざ痛に効く耳のポイントを示したので、ご覧ください。

 自己療法の場合、位置を厳密に特定する必要はありません。ポイントの周辺を触ってみて、かたかったり、冷たかったりするところを、両耳とも指先で1分ほどもみほぐしてください。 耳への刺激は、1日何度行ってもけっこうです。ただし、やり過ぎは禁物。耳の皮膚は薄いので、傷つく危険性があります。爪を短く切り、力を入れ過ぎず、頻繁に刺激し過ぎないようにしてください。 
 また、耳に傷や湿疹、かぶれ、腫れ、吹き出物などがあるときは、刺激するのを控えましょう。

ひざ痛に効く耳の治療地図

ノジェの治療地図はかなり正確

 ノジェの耳介医学は、その後、中国に逆輸入され、日本、台湾、ロシアと世界に広がり、発展していきました。
 私はこれまでの臨床経験から、ノジェの治療地図は、かなり正確であると実感しています。

 私が、耳介医学に力を入れるきっかけとなったのは、約14年前に診察したAさんでした。70歳の女性で、顔の左側がけいれんし、左目はほとんど閉じた状態でした。
 私はAさんに、左の耳たぶを指で1分間もむように指示しました。耳たぶは、ノジェの治療地図によると、顔面に対応する場所だからです。
 すると、しだいに左目が開いてきて、けいれんも止まったのです。マッサージ終了後も、5分間ほどその状態が続きました。何度か試したところ、そのつど同じ効果がありました。

 私は、耳たぶに鍼を入れたままにする皮内鍼を用いて、Aさんの経過を観察しました。その結果、半年後から、けいれんが急激に軽快し、2年半で症状が消えたのです。 
 その後、2例め、3例めと、耳たぶへの刺激で半側顔面けいれんが改善する患者さんが続きました。同じことが3度続くと、これはもはや偶然とはいえません。
 私はその後、何人もの患者さんに耳介治療を試みました。両目が開かなくなる眼瞼けいれんが改善した人もいます。

変形性膝関節症に効果を確認

 そのほか、パーキンソン病に伴うひざ痛にも、効果が確認できました。私は神経内科の医師なので、今のところ、パーキンソン病に伴うひざ痛の例しかありませんが、変形性ひざ関節症や、疲労やケガの後遺症による慢性のひざ痛にも、耳介治療は効果を期待できるでしょう。

 耳への刺激が、なぜこのような効果をもたらすのか、その理由は解明されていません。
 しかし、神経の分布や支配領域を見ると、納得できることも多いのです。
 12本ある脳神経のうち、三叉神経、迷走神経、顔面・舌咽神経の3本は、耳に通じています。さらに、首の骨から出ている神経も、耳につながっているのです。これらの神経は、体の各部位からの神経といっしょになって、脳へ上ります。
 ですから、耳を刺激することで神経が反応し、体のさまざまな部位に効果をもたらすことは、十分考えられるのです。
 実際、ノジェによる耳介の反射区を刺激すると、それに相応する場合に反応が出ます。

 こんな実験を行いました。耳にある「足先の反射区」に鍼を打ち、体表の温度変化を見たのです。すると、15分後、明らかに足先の温度が上昇しました。
 また、腰痛持ちの人の耳に、金属の粒を貼って刺激を与える実験も行いました。貼る場所は、腰の反射区です。すると、腰の血流量が増加したのです。
 さらに、脳出血の後遺症で右手がマヒしていた人の例もあります。耳にある「手の反射区」を刺激したところ、手がよく動くようになりました。
 これらの実験結果を見ると、耳にある「ひざの反射区」を刺激することで、ひざ周辺の血流や神経の流れが改善することは、十分考えられるのです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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