
コレステロールの吸収を抑制する
低カロリーで食物繊維を多く含むコンニャクは、ダイエットの強い味方として知られる食品です。
カロリーは100g中わずか5kcal。
コンニャクと同じく低カロリー食品として知られる生ワカメ(16kcal)やエノキタケ(22kcal)と比較しても、コンニャクのカロリーの低さは際立っています。
一方、食物繊維は、100g中2.2g。
こちらも食物繊維の多いサツマイモ(2.3g)やゴボウ(5.7g)などと比べても見劣りしません。
食生活の変化とともに、日本人の食物繊維の摂取量は大幅に低下しました。
現代の日本人の食物繊維摂取量は1日におよそ15g。
健康を維持するための目標摂取量(男性19g以上。女性17g以上)を考えると、やや不足気味といえます。
いつもの食事に少しコンニャクを加えれば、不足しがちな食物繊維をある程度補うことができるはずです。
食物繊維は、便通の改善にも役立ちます。
コンニャクの材料であるコンニャクイモに含まれる食物繊維は、グルコマンナンという水溶性食物繊維です。
しかし、コンニャクの製造途中で、この水溶性のグルコマンナンはお互いに結合しあって、不溶性の食物繊維へと変わっています。
このように、コンニャクの食物繊維は胃腸の中で消化されず、そのままの形で排泄されます。
便のかさが増し、腸が刺激されることで、便通が改善されるのです。
食物繊維は、食事に含まれるコレステロールの吸収を抑制する効果も期待できます。
ほかにも、コンニャクは日本人に不足しがちなカルシウムも豊富に含みます。
氷コンニャクは幅広い料理に使える
また、最近の研究では、コンニャクに含まれるセラミドという成分が、肌の保湿力を高めることがわかってきました。
セラミドは肌の角質層にある保湿成分ですが、食事として摂取しても効果があります。
このように、コンニャクは美容と健康にうれしい食材ですが、おでんや煮物などの和食以外では料理に使いづらいという人も多いのではないでしょうか。
これに対し、「氷コンニャク」は、幅広い料理に使えるという利点があります。
氷コンニャクは、いったん冷凍したコンニャクを解凍することで、コンニャクに含まれる水分を抜いています。
水分が抜けた後は細かな穴が開くため、味が染み込みやすくなります。
また、水分が抜けたことで、しっかりとした食感が得られます。
洋食や中華料理など、濃い味付けの料理にも利用しやすいのではないでしょうか。
食後の血糖値の急上昇も抑えられる!
氷コンニャクのしっかりとした食感により、咀嚼の回数も増すはずです。
咀嚼の回数が増えれば、唾液の分泌が増えるため、食べた物の消化がよくなるという利点もあります。
さらに、咀嚼の回数が増えれば、食事にかける時間が長くなります。
私たちは、食事を取ると脳の中枢が刺激され、満腹のサインが出ます。
早食いの習慣のある人が太るのは、このサインが出る前にたくさんの量の食事を取ってしまうからです。
咀嚼の回数が増え、食事にかける時間が長くなれば、食事の総量そのものが減ります。
食事の総量が減れば、当然、肥満の原因となる脂質や糖質の摂取量も減るでしょう。
糖尿病でよく見られる、食後の血糖値の急上昇も抑えられます。
グルコマンナンやセラミド、カルシウムなどのコンニャクに含まれる成分とその働きが、いったん冷凍し、氷コンニャクにすることで変わるかどうかはわかりません。
ただ、氷コンニャクであれば、ある程度まとまった量のコンニャクを飽きずに食べることができるでしょう。
ただし、氷コンニャクは通常のコンニャクよりも味が染みやすくなっています。
調理のさいには、油分や塩分が多くなり過ぎないように気を付けてください。
また、腸を刺激し過ぎないよう、よくかんで食べることも大切です。
ダイエットのためにまとまった量を食べたいという人は、栄養のバランスが偏らないように気を付けてください。
氷コンニャクが美しくやせる理想の食材のワケ
カロリーが低い
カロリーは100g中わずか5kcal。ほかの低カロリー食品と比較しても、コンニャクのカロリーの低さは際立っている。
食物繊維が多い
食物繊維は100g中2.2g。ほかの食物繊維の多い食品と比べても見劣りしない。
便通の改善に役立つ
コンニャクの食物繊維は胃腸の中で消化されず、そのままの形で排泄される。便のかさが増し、腸が刺激されることで、便通が改善される。
肌の保湿に効果アリ
コンニャクに含まれるセラミドが、肌の保湿力を高める。セラミドは肌の角質層にある保湿成分だが、食事として摂取しても効果がある。
咀嚼の回数が増える
咀嚼の回数が増える→食事にかける時間が長くなる→食事の総量そのものが減る→肥満の原因となる脂質や糖質の摂取量も減る、という理想のサイクルになる。
解説者のプロフィール

田中越郎
東京農業大学生物科学部栄養科学科教授。医学博士。著書に『好きになる生理学』(講談社)、『イラストでまなぶ生理学』『イラストでまなぶ薬理学』『イラストでまなぶ人体のしくみとはたらき』(すべて医学書院)など。