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【膝が痛い】ひざ痛の8割は軟骨がすり減る変形性膝関節症 原因と症状・治し方

【膝が痛い】ひざ痛の8割は軟骨がすり減る変形性膝関節症 原因と症状・治し方

変形性膝関節症や、その他の原因によるひざの痛みも含めて、診断法や治療法、運動をはじめとする対処法をご紹介します。膝痛の原因が、半月板損傷、関節リウマチ、偽痛風のケースもあります。ひざ痛改善の参考にしてください。【解説】石橋英明(NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表・医療法人社団愛友会 ・伊奈病院整形外科部長)

重症でなければ運動が非常に有効

 ひざ痛は、早い人では40代から始まり、50代で徐々にその数が増え、65歳前後から急増します。こうした中高年で増えるひざ痛の大半で、私の外来でもひざが痛い人の8割を占めるのが、ひざの軟骨がすり減って起こる変形性ひざ関節症です。

 残りの2割には、力仕事や歩き過ぎで、ひざ周りの筋肉や腱(筋肉と骨を結びつけている組織)が炎症を起こした一時的なひざ痛や、変形性ひざ関節症の手前の状態で、閉経後の女性などの軟骨が弱くなって起こるひざ痛があります。それ以外にも、半月板損傷、関節リウマチ、偽痛風といった疾患や損傷が原因のひざ痛が、外来で見つかることもあります。

 いずれのひざ痛も、その原因や進行度によって治療法や対処法は異なります。痛みが続く場合は、まず病院を受診して原因を突き止めてください。そのうえで適切な治療を受け、ひざ痛対策を行うべきでしょう。
 ここでは、変形性ひざ関節症を中心に、原因の異なるそのほかのひざ痛も含めて、診断法や治療法、運動をはじめとする対処法などをご紹介します。ひざ痛改善の参考にしてください。

運動療法を勧める石橋先生

変形性膝関節症とは何か

 ひざ関節では、大腿骨と脛骨、膝蓋骨の表面で厚さ6mm程度の軟骨が、骨の間のクッションの役目をしています。変形性ひざ関節症では、この軟骨がすり減り、ひざに痛みが起こります。
 軟骨がすり減る原因は加齢による軟骨の変化と、軟骨にかかる力学的な負荷です。肥満やO脚の人は、軟骨がすり減りやすくなります。

 軟骨が減ると、その削りかすにより、滑膜炎という炎症が起こって、ひざに痛みが出たり、水がたまったりします。
 ひざの水は、炎症で関節液が増えたものです。炎症といっても、赤く膨れる炎症より、ずっと軽いのですが、持続すると、さらに軟骨は傷んでいきます。

 同時に、骨棘(骨のトゲ)と呼ばれる骨の出っ張りが、ひざ関節の骨の内側部分にでき、これが周囲の組織を圧迫して痛みを発生させます。さらにすり減って軟骨がなくなると、大きな骨棘ができて、骨と骨の間のすきまがなくなるほどに進行します。

 当初は、ひざのこわばりや、動き始めにひざが痛む程度ですが、しだいに立ち上がりや、階段の上り下りなどで、ひざの曲げ伸ばしがつらくなります。ひざが腫れたり、熱を持ったりすることもあります。

 さらに進むと、関節の変形が外から見ても目立つようになります。慢性的に関節内に水がたまり、いっそう腫れます。最終的には歩行や立ち上がりができなくなって、寝たきりになることもあるので、進行をいかに抑えるかが重要です。

 診察は問診や触診とともに、X線撮影で軟骨のすり減りによる骨の変形を確認し、進行度も調べます。

 触診では、まず左写真のように、ひざの内側のくぼみを押します。ここがちょうど骨と骨の間の部分で、痛みが強い場合は軟骨が傷んでいると判断し、変形性ひざ関節症の可能性が高いことになります。

 治療は、炎症を抑えて痛みを和らげる消炎鎮痛薬を用いたり、ステロイドの注射をしたり、潤滑成分であるヒアルロン酸を直接ひざに注射するなどします。

 最近の湿布や塗り薬は、皮膚から吸収される消炎成分が入っているので、それで痛みが和らぐかたも少なくありません。
 重症化し、歩行困難など生活に大きな支障が現れている場合は、人工関節置換術(関節の表面を削って人工関節をはめ込む)などの手術を行います。重症のかたには、とても有効で、私の病院でも年間100件ほど行っています。

 重症化していない、初期から中期にかけての変形性ひざ関節症の改善には、運動療法の実践が非常に有効です。

 私の場合は、片足立ちやスクワットなどを、進行の度合を診ながら患者さんに勧めています。関節周辺の筋肉を鍛えることで、関節の動きを安定化し、関節面の衝撃を和らげて、痛みを軽減するのです。

 私が取り組んでいる、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の講習会でも、ひざ痛の予防法として中高年のかたたちに指導しています。前述した閉経後の女性に多いひざ痛の解消にも、とてもよく効きます。

 歩かなければ筋力が低下し、ひざ痛はさらに悪化します。 歩行中は多少痛くても、家に帰れば痛みが治まるようなら、15〜30分を目安に歩くことが進行防止にもつながります。

 ひざのサポーターは、弱った筋力を補い、O脚傾向が進んだ場合にひざの軟骨を守るように働くので、歩行中に使用すると効果的です。
 原則として、これらの運動療法なども、医師に相談して続けてください。

半月板損傷とは何か

 スポーツのし過ぎやケガ、加齢による変化などにより、半月板に傷がついたり、裂けたりするものです。強いひざ痛が起こります。

 ひざを動かすテストでの診断や、MRI(磁気共鳴画像)で半月板の損傷の有無を確認し、軽症なら、薬、サポーター、注射を続けて経過観察をします。

 1ヵ月間は、長く歩かないで、スポーツはせず安静にしてください。痛みが取れたら、片足立ちやスクワットなどで、安静中に衰えた筋肉を鍛えるといいでしょう。

 強い痛みが続いたり、半月板が関節で引っかかるロッキング症状が認められたりする場合は、関節鏡を使った半月板縫合や部分切除の手術が行われます。

関節リウマチとは何か

 なんらかの免疫機構の異常が関与していると考えられていますが、原因ははっきりとわかっていない病気です。

 全身の複数の関節が痛み、特に指や手首が痛みが現れます。朝、手がこわばることも特徴的な症状です。体を動かさなくても痛む、安静時痛が強いのが特徴です。

 炎症反応やリウマチ因子などの各種血液検査、X線検査、場合によってはMRI検査を行い総合的に判定します。抗リウマチ薬やステロイド薬で関節の炎症や関節破壊の進行をコントロールし、炎症や痛みを抑えます。

 これらの薬の効果が不十分な場合、生物学的製剤と呼ばれる注射剤が有効です。どうしても進行をコントロールできず、関節の変形や痛みが強くなった場合は、人工関節置換術などの手術をすることもあります。

 リウマチの場合も、症状が好転する「寛解」の時期になったら、スクワットや片足立ちなどで低下した筋力を鍛えましょう。その後のひざ痛予防に役立ちます。

偽痛風とは何か

 70歳以上の人に多く、ひざなどの関節内にカルシウムの結晶がたまり、痛風に似た急性の痛みが現れます。

 ひざは腫れ、濁った関節液がたまります。X線検査や、関節液を注射器で吸引して調べれば、診断できます。ステロイドの関節内注射や消炎鎮痛剤の内服で、数日以内には軽快します。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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