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【ストレスで痛む】顎関節症のセルフケア「耳引っ張り」を歯科医が解説

【ストレスで痛む】顎関節症のセルフケア「耳引っ張り」を歯科医が解説

顎関節症は、8〜9割はストレスが引き金になっています。ストレスを抱えていると自律神経の交感神経が緊張し、顎周囲の筋肉が硬くなり症状が現れます。歯ぎしりや食いしばりも強くなるため、歯がすり減って噛み合わせが悪くなり、さらに顎の位置がゆがむという悪循環に陥って症状が悪化します。【解説】信太隆志(本納駅前歯科院長)

解説者のプロフィール

信太隆志
本納駅前歯科院長。
1993年、東京歯科大学卒業。2004年、本納駅前歯科開設。口の健康は全身の健康への第一歩と、口の中のトラブルを解消するために、患者さんとともに考えながらの治療をめざす。「神門メソッド」も取り入れて患者の不安や緊張を取り除く工夫をこらす。

●本納駅前歯科
千葉県茂原市本納1828
TEL 0475-34-2005

慢性的な肩こりが 楽になりびっくり

 4年前、久しぶりに会った友人が「これいいよ」と言って私の耳をキュッ、キュッ、キュッとひっぱりました。それは、耳のツボの「神門」を刺激する耳ひっぱりという健康法でした。

友人は、「神門メソッド」の体験会に参加し、耳ツボのなかでもとりわけ神門にさまざまな効果があることを知り、健康維持やダイエットに役立てているということでした。

 耳ひっぱりをやってもらったその日は、なんとなく気分がスッキリしたので、自分でもやるようになりました。すると、たちまち慢性的な肩こりが楽になったのでびっくりしました。

 さらに驚いたのは、診療中にイライラしなくなったことです。私は几帳面な質で、治療が段取りどおりに進まないとイライラすることがありました。ところが、イラッとしたときに神門をキュッ、キュッ、キュッとひっぱると、「まあ、いいか」という気持ちになり、イライラがおさまるのです。

耳ひっぱりの効果を実感した私は、考案者である飯島敬一先生の勉強会で、神門をはじめとする耳ツボの働きについて学び、耳ひっぱりを習慣にしました。

半年で8kgのダイエットに成功、腰痛予防にもなる

 肩こり解消、イライラ予防のほかにも目に見える大きな変化がありました。耳ひっぱりをしていると無理なく食欲がセーブされ、食べているうちに「もういいや」とおなかがいっぱいになります。

 おかげで徐々に食事量が減り、胃が小さくなって、半年で68㎏から60㎏まで減量できました(身長170㎝)。30インチだったデニムのサイズは、28インチでもゆるゆるです。

 もっとも、周囲から「やせすぎ!」と言われたので、その後2㎏戻して、現在は62㎏をキープしています。

 もう1つ、耳ひっぱりの効果でありがたかったのは、腰痛を予防できることです。私は釣りが趣味で、湖や海に出かけて行ってはフィッシングを楽しんでいます。1日中、立っていると体が冷え、腰も痛くなってきます。

 そんなときは、神門だけでなく、腰に対応した耳のツボもひっぱると、その場で腰がポカポカ温かくなり腰痛にならずにすみます。

耳ひっぱりは腰痛予防にもなると信太先生

耳ひっぱりは副交感神経を優位にして、歯科恐怖症の症状を和らげる効果もある

 私の専門である歯科治療でも、耳ひっぱりはたいへん役に立っています。

 私たち歯科医にとって悩ましいのは、歯科恐怖症の患者さんです。過去に歯の治療で痛い思いをしたり、歯を削る音が苦手だったり、白衣が嫌いだったりして、歯科治療を怖がる人は少なくありません。

 恐怖感があると不安が強くなって感覚が過敏になり、器具が口に入っただけで痛みを感じるなど、治療に支障をきたします。

 そこで、耳ひっぱりの登場です。耳ひっぱりは自律神経の副交感神経を優位にして、心を落ち着かせる働きがあります。治療前に患者さんに耳ひっぱりをやっていただくと、不安が和らぎ、安心して治療を受けることができるのです。
不安が和らぐと痛みの閾値(ある反応を起こさせる、最低の刺激量)が高くなり、痛みを感じにくくなるというメリットがあります。

 耳ひっぱりを事前に行うことにより、麻酔の量が減るケースは多々見られます。
 また、耳ひっぱりは顎関節症のケアにも有効です。

こんな症状があったら顎関節症の疑いあり

 以下に挙げる自覚症状があり、ご本人がこれを不都合と感じている場合、顎関節症と診断されます。

● 顎が痛い
● 口を開けると音がする
● 口が開けづらい
● 口を開けると耳の前側が痛い
● 顎を左右に動かすとどちらか一方が痛い

 顎関節症は、歯並びや周辺骨の異常などがかかわって発症するケースは全体の1〜2割で、8〜9割はストレスが引き金になっています。

 心身になんらかのストレスを抱えていると自律神経の交感神経が緊張する影響で、顎周囲の筋肉が緊張して硬くなり、一連の症状が現れます。歯ぎしりや食いしばりも強くなるため、歯がすり減って噛み合わせが悪くなり、さらに顎の位置がゆがむという悪循環に陥って症状が悪化します。

 顎関節症の患者さんは、耳の周囲をマッサージして、顎の緊張をほぐす必要があります。

 そこで、耳周囲のリンパマッサージに加えて、耳ひっぱりをお勧めしています。おふろで耳ひっぱりを行うと、筋肉がゆるみやすく、いっそう効果的です。

 このように、耳ひっぱりは歯科の領域の健康維持にも役立つのでお勧めです。

 ただし、耳ひっぱりで改善しない場合は、かかりつけの歯科医、または口腔外科を受診しましょう。

信太先生お勧めの「顎関節症を改善する」マッサージ

マッサージ①

耳の周囲を円を描くようにしてマッサージする

マッサージ②

耳ひっぱりをする。
おふろですると、筋肉がゆるんで効果的

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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