
太陽光線は私たちが 生存するのに不可欠
近年、太陽光線は、浴びすぎると皮膚ガンになるなどといわれ、すっかり悪者になっています。しかし、太陽光線は私たちが生存していくために欠かせないものです。日光を浴びないでいる生活は、私たちの健康を脅かす行為だといってもいいすぎではありません。
まず、日光を浴びることがなぜ私たちの健康にとって重要なのか、確認しておきましょう。
太陽光線を浴びると、体内でビタミンDが生成されます。このビタミンDは、私たちの体の中で重要な役割をしています。腸におけるカルシウムやリンの吸収を促進させ、骨組織へリン酸カルシウムの沈着を促し、血漿中のカルシウム濃度の調節を行っています。ビタミンDは、体内のカルシウムの代謝に深く関与しているのです。
しかも、ビタミンDは食品から必要量をとることが難しいビタミンです。ですから、日光に当たってビタミンDを生成しないと、体内のビタミンDが不足してくるおそれがあります。
それに、年を取ると、ビタミンDを生成する力が弱まります。70代になると、若いころの半分しかビタミンDを生成できなくなるといわれています。
ビタミンDが不足すると、骨が弱くなり、もろくなってしまいます。筋組織も弱くなり、筋力も落ちていきます。こうした結果、起こってくる最も代表的な病気が、骨粗鬆症です。
骨粗鬆症になり骨が弱くなると、転倒が怖いといって外出を控えるかたがいます。これは、あまりほめられた行為ではありません。外出を控え、日光に当たる機会が少なくなればなるほど、ビタミンDの生成は少なくなり、骨も筋力も、どんどん弱くなるからです。
脊柱管狭窄症も無関係ではありません。なぜなら、脊柱管狭窄症という病気自体も、主に加齢によって起こってくる病気だからです。
脊柱管狭窄症においても、ビタミンD不足から骨がもろくなったり、筋力が落ちたりすれば、それが、脊柱管の狭窄を引き起こす要因の1つとなりかねません。すでに脊柱管狭窄症で苦しんでいるかたの場合、症状をさらに悪化させる要因となる危険性もあります。
将来の脊柱管狭窄症を予防する意味でも、じゅうぶんに日光を浴びて、体内にビタミンDを生成しておくことは重要です。脊柱管狭窄症になっているかたも、日光浴で骨や筋肉の強化を図ることは、症状をそれ以上悪化させないために役立ちます
間欠性跛行が解消し 颯爽と歩ける!

週に1回、30分でOK!
ちなみに、私の診療所にも、脊柱管狭窄症で悩んでいる患者さんがたくさんいらっしゃいます。私のところでは患部に光線を当てる光線治療を行っていますが、この治療によって、脊柱管狭窄症の症状が軽減するケースがあります。
1人、症例を挙げましょう。
70代の女性Aさんの例です。Aさんは、脊柱管狭窄症の大きな特徴の1つである、間欠性跛行があり、100〜200mしか一度に歩けないような状態でした。このため、外出にも苦労するようになっていました。
間欠性跛行はいったん休憩すれば、また歩けるようになります。Aさんは、私の治療院に来るときも、途中で休み休み通ってきていました。
Aさんは、私のところで半年間ほどの光線治療を受けました。この結果、かなり症状が軽減し、ごく普通に歩けるようになったのです。その後、ある百貨店で彼女とばったりお会いしたことがありましたが、そのときも、まるで脊柱管狭窄症にかかったことなどなかったかのように、颯爽と歩いていました。
もちろん、脊柱管狭窄症が起こる主な原因である脊柱管の狭窄自体が、光線治療によって治るわけではありません。ただ、狭窄が起こっている患部周辺の血液循環が、例えば光線治療によって促されれば、痛みなどの症状がよくなるケースは少なくないのです。
いずれにしても日光浴の重要性は、いくら強調しても強調しすぎることはないと、私は考えています。ことに現代の女性は、美白にこだわり、過度に日焼けを恐れる傾向があります。そうして日光浴を避けてきた結果、年を取って、ビタミンD不足に陥り、骨粗鬆症になってしまっては元も子もありません。
毎日とはいいません。週に1回、日光浴をしてみてはいかがでしょうか。天気のよい日を選んで、屋外で30分以上、日光浴をすることをお勧めします。