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慢性のひざ痛は温める?冷やす?「ひざと足の裏の温冷・温温湿布」

慢性のひざ痛は温める?冷やす?「ひざと足の裏の温冷・温温湿布」

慢性的なひざ痛の原因はさまざまですが、なかなか完治しにくい上、少し無理をすると痛みがぶり返すので、かなり厄介です。今回ご紹介する「ひざと足の裏の温冷・温温湿布」は、慢性的なひざ痛に対して、自宅で簡単に痛みを解消することができる方法です。【解説】岡田明三(神宮前鍼療所院長)

炎症や腫れはひいても痛みが残る慢性期

中高年になると、ひざ痛に悩まされる人が増えてきます。

ひざの痛みには、急性期と慢性期があります。
急性期は、ひざを痛めた直後の痛みが激しい時期をいい、ひざ関節に炎症や腫れが見られ、ひざに熱を持っています。

急性期を過ぎた後が慢性期で、ひざの炎症や腫れはひいたものの、痛みが残っている状態のこと。

慢性的なひざ痛の原因はさまざまですが、なかなか完治しにくい上、少し無理をすると痛みがぶり返すので、かなり厄介です。

今回ご紹介する「ひざと足の裏の温冷・温温湿布」は、慢性的なひざ痛に対して、自宅で簡単に痛みを解消することができる方法です。

体質により冷やすか温めるかが決まる

ひざと足の裏の温冷・温温布を正しく行うには、まず、自分の体質の見極めが必要です。

慢性的なひざ痛の場合、どんな人でもひざを温めることが有効ですが、足の裏の温湿布がよいか冷湿布が適しているかは、その人の体質によって異なるからです。

東洋医学では、「証」と呼ばれる病気の根本原因や体質を見定めた上で、その人の体質に合った薬や治療方法を選択します。そうした体質の代表的なタイプ分類が、「陰虚」と「陽虚」です。

「陰虚」とは、体を冷やし、体を潤す陰の気(一種の生命エネルギー)が不足しているタイプの人。手足がほてる、のぼせやすい、汗をかきやすい、トイレに行く間隔が長い、足がむれやすく靴を脱ぐと臭い、小太りである、といった特徴に当てはまるものが多い人は、陰虚体質と考えられます。

「陽虚」とは、体を温めたり、機能を活発にさせたりする陽の気が不足しているタイプの人。冷え症で手足が冷たい、汗をかきにくい、トイレが近い、疲れやすい、やせ気味である、といった特徴に当てはまるものが多い人は、陽虚体質と考えられます。

陰虚体質の人は、ひざが冷え、足先がほてっているため、ひざを温めると同時に、足裏を冷やすのが有効です。陽虚体質の人は、ひざと足先の両方が冷えているので、ひざと足裏をともに温めるのが有効です。

自分がどちらの体質か判断がつきかねる場合は、ひざだけを温めるとよいでしょう。

ひざ痛に効く「温冷湿布・温温湿布」のやり方

ひざ関節は筋肉に覆われていないため、冷えやすく、汗をかくとすぐに冷えてしまうので、温めることが大切です。ひざを温めるときは、左右のひざの関節のすぐ上の内もも側にある血海というツボを中心に温めることがポイントです。

血海は、血行の改善に効果的なツボで、ここを温めることにより、ひざから足先まで温かい血液がスムーズに流れるようになり、ひざの痛みや腫れ、むくみが改善するのです。

自律神経(全身の機能を調整する神経)が切り替わるには、一般に15分くらいかかると考えられているので、ひざと足の裏の温冷湿布は15分以上を目安に行うといいでしょう。

また、ひざの温湿布は、使い捨てカイロなどの道具がなくても、自分の手で簡単にできます。

座って両ひざの内側に手のひらを当てておくだけで、ひざが温まって気持ちがよく、痛みも軽くなります。外出時に歩き疲れてひざが痛くなったときなどに、ぜひ試してください。

【ひざの温湿布】
ひざのお皿の内側の(内くるぶし側)上端から、指の幅3本分太もも側に上がったところに、血海というツボがある。この血海を中心に、ひざの内側を温めるのがコツ。

使い捨てカイロをタオルで包んで、血海からひざの内側の部分に当てる。15分以上を目安に行う。

【足裏の温湿布・冷湿布】
足裏の冷湿布を行うのは、陰虚体質の人。
保冷剤をタオルで包み、足の裏に当てる。15分以上を目安に行う。

温湿布を行うのは、陽虚体質の人。
使い捨てカイロをタオルで包み、足の裏に当てる。15分以上を目安に行う。

※ひざ、足の裏とも、湿布をする間は、タオルで縛り固定しておくとよい。
※それぞれ、熱すぎない、冷たすぎないように、タオルを何重かに巻いて温度調節をする。

【手で温める場合】
イスに腰掛けて、両手のひらを血海からひざの内側に当てて、両足で手を挟むようにして座る。15分以上を目安に行う。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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