立ちっぱなしの仕事に弾性ストッキング
足のむくみや、下肢静脈瘤の進行防止に大いに役立つと私がお勧めするのが、「弾性ストッキング」です。
弾性ストッキングは、足を締めつける弾力作用のあるストッキングやソックスの総称です。 医療機関で処方される医療用と、ドラッグストアで売られている市販品があります。
私のクリニックでは、下肢静脈瘤の治療後や手術後の患者さんに、自宅で着用してもらうようにしています。
また、下肢静脈瘤の症状があっても手術をしたくない人や、仕事で毎日立ちっぱなしの人にも勧めています。
弾性ストッキングは、足首にいちばん強い圧力がかかり、上に向かうほど段階的に圧力が弱くなる段階着圧構造になっていて、静脈還流を促進します。そのため、ふくらはぎに圧がかかって、筋ポンプ作用が強化されます。
さらに、静脈が弾性ストッキングで圧迫されると、広がって壊れた弁が縮まって、血液が逆流しにくくなります。
その結果、足のむくみや疲れが解消されて、下肢静脈瘤の予防や進行防止に役立ちます。下肢静脈瘤によって起こる足の皮膚炎にも、弾性ストッキングは有効です。
初心者はハイソックスタイプ
弾性ストッキングは、正しく選んで正しく着用することが効果につながり、着用後のトラブルも防止されます。
弾性ストッキングの足を締め付ける圧力は、一般のストッキングに比べるとかなり強く、弱圧(20㎜Hg以下)から、強圧(40~50㎜Hg)の4段階の圧力があります。
一般に、医療用の弾性ストッキングは、市販品よりも圧力が強くなっています。そのため、医療用を使用する場合は、下肢静脈瘤の治療実績のある病院で、医師の指導の下、症状や年齢に合った圧力や形状のものを使用してください。
市販品は、メーカーによって圧力やサイズの表記もさまざまで、種類も多く、どれにしていいか迷うところです。最初は弱めの圧力のもので試して、効果がない場合は、より強い圧力のものに替えてみましょう。
弾性ストッキングのタイプには、ひざ下までのハイソックス、太ももまでのストッキング、おなかまでのパンティストッキングの3タイプがあります。基本的にどのタイプを選んでいただいても構いませんが、ハイソックスタイプが最もはきやすく、かぶれにくいため、初めて使用する場合はお勧めです。静脈還流に対する効果は、どのタイプでもほとんど変わりません。
弾性ストッキングは日中にはく?夜にはく?
ハイソックスタイプには、つま先があるものとないものとがありますが、好みで選んで構いません。下肢静脈瘤のこぶがひざ上にある人は、ストッキングか、パンティストッキングタイプをお勧めします。
一般的なストッキングやソックスに比べると、弾性ストッキングは圧力が強いため、とてもはきにくいです。しかし、正しいはき方ではけば、誰でも比較的簡単にはくことができます。正しい弾性ストッキングのはき方を、ハイソックスタイプでご説明します。
弾性ストッキングは、基本的に日中に着用します。就寝中に着用する場合は、日中に使用するものより圧が弱めのものを選んでください。
弾性ストッキングは、長期間使用していると伸びて効果が弱くなるので、毎日使用する場合は、半年を目安に新しいものに買い換えてください。
弾性ストッキングを着用しても症状がよくならなかったり、逆に不快に感じたりする場合は、いったん着用を中止してください。病院で着用を指示されている場合は、担当の医師に相談してください。
弾性ストッキングのはき方
