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【猫背の原因】骨盤後傾がお尻のたるみを引き起こす 骨盤起こしで改善を

【猫背の原因】骨盤後傾がお尻のたるみを引き起こす 骨盤起こしで改善を

よく耳にする「骨盤のゆがみ」や「骨盤のずれ」。しかし、実際に骨盤そのものが変形しているケースはほとんどありません。それよりも問題となるのが「骨盤の後傾」で全身のさまざまな痛みや症状の原因となるのです。痛み取りとして、健康法として、またダイエット法として、骨盤起こしをぜひお試しください【解説】中村考宏(えにし治療院院長)

解説者のプロフィール

中村考宏
 柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ師。スポーツ・股割り研究所所長。株式会社MATAWARIJAPAN代表。骨盤のポジションと股関節運動
の関係に着目し、「骨盤起こしトレーニング」を考案。講習会を全国で開催している。著書に、『「骨盤おこし」で身体が目覚める』(春秋社)などがある。近著『人は「骨盤」から健康になる』(マキノ出版)が好評発売中。

「骨盤のゆがみ」よりも「骨盤の後傾」が問題

「骨盤のゆがみ」や「骨盤のずれ」という言葉を、皆さんはよく耳にするでしょう。しかし、実際に骨盤そのものが変形しているケースは、ほとんどありません。それよりも問題となるのが、「骨盤の後傾」です。これが、全身のさまざまな痛みや症状の原因となるのです。

 骨盤の後傾とは、文字どおり骨盤が「正常な位置から後ろに傾いている状態」を指します。なんらかの痛みや症状を訴え、来院される患者さんのほぼすべてが、これに当てはまります。

 そこで私は、骨盤を正常な位置に戻すことを目的とした「骨盤起こし」体操を考案し、患者さんに実践してもらいました。
 そしてしばらくすると、ひざ痛や腰痛、股関節痛などの痛みが消えた、という患者さんの声が続出したのです。なかには、脊柱管狭窄症(脊髄などの神経が入った背骨を通る管が狭くなる病気)の激痛が消えて、手術しないで済んだ、という人もいらっしゃいました。

 骨盤が後傾するデメリットは、上半身の重みが股関節を圧迫し、その動きをロック(固定化)してしまうことです。股関節は、人体の中で最大の関節。立つ、座る、歩く、走るなど、足の動きすべてに関係しています。ですから、股関節の可動域が狭くなると、ほかの関節や筋肉がその働きを代行しようとしてしまいます。
その結果、腰やひざだけでなく、全身に過度の負荷がかかり、悲鳴を上げ始めるのです。

骨盤の後傾は猫背を引き起こす

 骨盤の後傾は、内臓への悪影響ももたらします。

 本来は骨盤内に正しく収まっているはずの内臓が圧迫されるため、さまざまな病気や症状が現れます。便秘はその典型でしょう。男性は前立腺肥大症(膀胱の下で尿道を取り囲むようにある前立腺が肥大する病気)、女性は婦人科系疾患も生じやすくなります。
 背骨のわきを通っている自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)も圧迫されるので、その働きも悪くなります。

 姿勢で見てみると、骨盤が起きている人は、お尻がキュッと上がって、おなかにほどよい張りがあり、重心が安定しています。一方、骨盤後傾の人は、おなかが縮んでネコ背になり、お尻が垂れ、あごが出ています。

骨盤が後傾している状態(画像)

骨盤後傾のチェック方法

 それではここで、自分の骨盤が後傾しているかどうかがわかる簡単なチェック法をご紹介しましょう。
まず、ひざが直角になる高さのイスを用意し、そこに普段どおりに腰掛けます。

 そこで、お尻を少し浮かして、お尻のとがった骨(座骨結節)を手で触ってみましょう。
座骨結節がイスの座面に接地している人は、残念ながら骨盤が後傾しているようです。骨盤が後傾している人は「お尻」で座り、骨盤が起きている人は「太ももの裏」で腰掛けるため、座骨結節は座面には当たりません。

 さらに、骨盤が起きている人は、体の前面に重心があるため、5本の足の指全部を使って重心を支えることができます。それが若々しいスタイルを生み出すのです。患者さんの中には、17㎏ものダイエットに成功した人がいました。私自身も10㎏ほど自然にやせています。

 骨盤起こしを実践すれば、骨盤が正常な位置に戻り、股関節も内臓も正しく働き始めるでしょう。痛み取りとして、健康法として、またダイエット法として、骨盤起こしをぜひお試しください。

股関節も内臓も正しく働き始める

骨盤起こしのやり方

骨盤起こしのためのトレーニング法

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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