MENU
【半月板損傷・変形性膝関節症】ひざ痛が軽減&正座も楽になる「お皿ストレッチ」

【半月板損傷・変形性膝関節症】ひざ痛が軽減&正座も楽になる「お皿ストレッチ」

ひざの痛みで中高年者に最も多いのが、「変形性ひざ関節症」です。これは、加齢とともに、ひざの関節軟骨がすり減って炎症を引き起こすもので、水がたまって、ひざが腫れてくる例もあります。【解説】天本藤緒(自由が丘整形外科院長)

ひざのお皿周囲の血流を促して痛み軽減

 ひざの痛みで中高年者に最も多いのが、「変形性ひざ関節症」です。これは、加齢とともに、ひざの関節軟骨がすり減って炎症を引き起こすもので、水がたまって、ひざが腫れてくる例もあります。

 一方、ひざを曲げたり伸ばしたりするときに、痛みや引っ掛かりを感じる場合には、「半月板損傷」が疑われます。半月板とは、ひざの内側と外側にあり、三日月のような形をした繊維性の軟骨です。こちらも加齢に伴って変性するため、中高年になると、半月板損傷が起こりやすくなるのです。

 実は、この変形性ひざ関節症と半月板損傷は、発症の過程が同一線上にあるといえます。
半月板の役割は、ひざを安定させること、ひざの曲げ伸ばしやねじりなどの関節のスムーズな動きを補助すること、関節にかかる衝撃を吸収することなどです。この半月板が突然損傷すると、ひざの関節がずれて炎症を起こします。痛みはもちろん、ひざに水がたまることもあります。
 半月板損傷で特に多いのが、半月板の内側後方を損傷するタイプです。このタイプは、O脚をはじめとした、足の変形を伴います。
 O脚になると、どうしてもひざの内側に負担がかかりやすくなり、その状態が長く続くと、関節軟骨が部分的にすり減っていきます。その結果、骨どうしがこすれ合う状態に陥り、変形性ひざ関節症になってしまうのです。
 変形性ひざ関節症は、症状の進行とともに、O脚の度合いもひどくなるので、痛みもどんどん増していきます。

 さらに、ひざに痛みがあると意識的に曲げないようになり、やがて筋肉が硬くなって、関節の動きも悪くなります。このような状態を拘縮(こわばり)といいますが、拘縮に陥ると、血流が悪くなるため、痛みの悪化につながります。もちろん、初めからO脚が原因で変形性ひざ関節症になる場合もありますが、総じて、半月板損傷の患者さんは、変形性ひざ関節症の予備軍といえるでしょう。

 いずれにしても、ひざの痛みは早い段階で改善しておくことが大切です。

 そこで私の医院では、選任の理学療法士による運動療法にも力を入れ、患者さんの負担の早期軽減を図っています。また、患者さんにも、自宅での運動療法を勧めています。
 運動療法は、きちんと続けていれば、非常に有効です。特に初期から中等度の関節症には、絶大な効果があります。

 今回ご紹介する「ひざのお皿ストレッチ」も、ひざの痛みの軽減に役立つ運動療法の一つです。
 やり方は、とても簡単。イスか床に座って、痛みのあるほうの足の力を抜き、その足を前に伸ばします。次に、両手の親指をひざのお皿のふちに当てて、お皿の周囲をゆっくりもみほぐすように押し、その次に上下左右から押すだけです。なお、水がたまっている人は、そっと押してください。
 ひざのお皿(膝蓋骨)は、大腿四頭筋についているので、このストレッチを行えば、拘縮したお皿周りの筋肉をほぐすことができます。拘縮状態を改善すれば血流がよくなり、炎症が鎮まって痛みが軽くなるのです。さらに、正座のようなひざの曲げ伸ばしもらくになります。

正常なひざの動きと柔軟性を取り戻す

 なお、お皿ストレッチは、できるだけ自分の手で行いましょう。他人にやってもらうと、力加減がわからず、強く押してしまい、お皿がずれるという心配があるからです。
 このお皿ストレッチに加えて、ひざを曲げ伸ばしするストレッチを行うと、より効果的です。ひざが拘縮していると、伸ばすときに痛みを感じますが、痛くても我慢して、ゆっくり伸ばしましょう。

 ひざの痛みの改善には、拘縮を解消して、正常な動きと柔軟性を取り戻すことが最も大切です。また、ひざ周りの筋肉を拘縮させないことは、痛みの予防にもなります。40歳を過ぎたら、セルフケアを怠らず、自分自身で治す力を身に付けましょう。

 人間の軟骨は、上手に管理すれば、100歳以上まで健康を保てるようにできています。骨や軟骨も、皮膚や血管と同じ組織で構成されています。皮膚や血管の老化が激しい人は、それに比例して、骨や軟骨も老化しやすいといえます。つまり、骨や軟骨のすり減りや損傷を予防するには、皮膚や内臓の老化の予防と同じことをすればいいわけです。生活習慣病にならないような食生活を心掛け、適度な運動をして、睡眠と休養を十分に取りましょう。もちろん、たばこはやめてください。

 人間は歩けなくなると、とたんに、脳や血管の老化が進みます。ひざの痛みが原因で、歩かないでいると、ついには本当に歩けなくなって、介護や寝たきりになってしまいます。
 痛いのを我慢して、介護を受けながら長生きするのではなく、死ぬ直前まで、自分の足で歩くことを目標にしましょう。それこそが、本当の意味での「長生き」なのですから。

死ぬ直前まで自分の足で歩くことを目標に!

ひざのお皿ストレッチのやり方

解説者のプロフィール

天本藤緒
自由が丘整形外科院長。日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医。
専門はひざ関節の症状(変形性ひざ関節症・ひざ関節骨壊死症)、関節リウマチ。
日本全国から累計約2万人のひざ関節・リウマチ患者を治療。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2020-04-27 10:34:12
夫は脳梗塞を患って以来、家にこもりがちでしたが、43円療法を試したところ、その場でぼんやりとしていた目が輝き始めました。最初は渋っていた夫でしたが、体の軽さを自覚したようで、先日は、通院の帰りに、夫と二人でスーパーへ寄り道もしてきました。きっと体と気持ちにゆとりができたのでしょう。【体験談】坂本環(仮名・主婦・76歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
変形性股関節症のため左右の股関節を手術で人工関節に換えています。手術後は痛みが消え生活に支障はありませんでしたが1~2年ほど前、違和感を感じるようになりました。長く歩くと左の股関節の外側が突っ張るような不快な感じがしたのです。しかし、この不快感も43円療法をすれば消えるのです。【体験談】井上亜紀子(仮名・無職・78歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
私は、へそさすりをする時間を特に決めていません。思いついたときに1日2~3回、それぞれ5分ほどやっています。それまでは、足を着くと「痛い!」と感じていましたが、その痛みが弱くなってきたのです。また、両ひざのあちこちに移っていた痛みも、発症する頻度が減ってきました。【体験談】朝倉米子(主婦・79歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
15秒ですらきつかった姿勢の維持も、1分以上維持できるようになりました。徐々に、しかし確実に、体は変わっていきました。腰痛はすっかり消え、右ひざの痛みもいつの間にか消えていたのです。おなかの冷えからくる腰痛もなくなりました。【体験談】朝倉啓貴(派遣インストラクター・49歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
最新記事
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2020-04-27 10:34:12
腱鞘炎やバネ指は、手を使うことが多いかたなら、だれもが起こす可能性のある指の障害です。バネ指というのは、わかりやすくいえば、腱鞘炎がひどくなったものです。腱鞘炎も、バネ指も、主な原因は指の使いすぎです。痛みやしびれを改善する一つの方法として、「手首押し」をご紹介します。【解説】田村周(山口嘉川クリニック院長)
更新: 2020-03-23 10:16:45
筋肉がこわばると、体を支えている骨格のバランスがくずれて、ぎっくり腰を起こしやすくなります。ぎっくり腰に即効性があるのが、手の甲にある「腰腿点」(ようたいてん)という反射区を利用した「指組み」治療です。この「指組み」のやり方をご紹介します。【解説】内田輝和(鍼メディカルうちだ院長・倉敷芸術科学大学生命科学部教授)
更新: 2020-03-02 10:09:34
慢性的な首のこり、こわばり、痛みといった首の不調を感じたら、早めに、まずは自分でできる首のケアを行うことが大切です。【解説】勝野浩(ヒロ整形クリニック院長)
更新: 2020-02-25 10:06:07
首がこったとき、こっている部位をもんだり押したりしていませんか? 実は、そうするとかえってこりや痛みを悪化させてしまうことがあります。首は前後左右に倒したりひねったりできる、よく動く部位です。そして、よく動くからこそ、こりや痛みといったトラブルを招きやすいのです。【解説】浜田貫太郎(浜田整体院長)
更新: 2020-02-17 10:18:14

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル