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腰痛はココを揉め!ロシア武術システマの秘伝「おなかもみ」のやり方

腰痛はココを揉め!ロシア武術システマの秘伝「おなかもみ」のやり方

システマでは、闘い続けるために体を整える方法が確立されています。痛みが生じている場合、腰や背中の筋肉がかたく緊張しています。その緊張を緩めたくても痛む腰を刺激することはできないとき「おなかもみ」が役に立ちます。【解説】北川貴英(ロシア武術「システマ」インストラクター)

解説者のプロフィール

北川貴英(きたがわ・たかひで)
システマ東京主催。公認システマインストラクター。各地のカルチャーセンターなどで年間400コマ超のクラスを実施している。さらに、養護施設、医療系の研修、学術学会にとどまらず、テレビやラジオなどでシステマを紹介し普及に努めている。『Dr.クロワッサン 呼吸を変えるとカラダの不調が治る』(マガジンハウス)など、著書・監修書多数。
●システマ東京 https://www.systematokyo.com

腰が痛い人はおなかが緊張している!

私が、ひどい腰痛に悩まされるようになったのは、4年ほど前のことです。信号無視の車にはねられ、路肩の石にたたきつけられました。

幸い、私は「システマ」というロシア武術のインストラクターをしています。システマでは、転んだ際にケガをしないコツを教えています。それは、倒れたときに息を止めずに呼吸することです。事故に遭った際も、私はその心得を守りました。とっさに受け身を取ったので、大きなケガをせずに済んだのです。

とはいえ、車にはねられたダメージは、体に残りました。それ以来、冬になると腰が痛むようになりました。しかも、痛みはだんだんひどくなるばかり。朝、起き上がるだけでも大変でした。「このままでは歩けなくなるのでは」と心配になるほどだったのです。

この腰痛を軽減させるべく、システマの考え方を利用しました。システマでは、闘い続けるために、体を整える方法が確立されています。今回ご紹介する方法も、その一つです。

脊柱管狭窄症にせよ、ほかの腰痛にせよ、痛みが生じていると腰や背中の筋肉がかたく緊張しています。しかし、その緊張を緩めたくても、痛む腰を刺激することはできません。

そこで、「おなかもみ」が役に立ちます。

腰が緊張しているということは、おなかも同様に緊張しているのです。逆にいえば、おなかの筋肉が緊張して縮むと、姿勢が悪くなります。それが腰への負担になるのです。

おなかもみで体の前面の緊張を緩めれば、背面の緊張もほぐれ、腰や背中が楽になります。

また、どんな武術でも、呼吸が非常に大事です。おなかが緊張しては、正しい呼吸ができません。この点でも、おなかの筋肉を緩めることは重要なのです。

刺激しにくい背中や腰と違い、おなかは前面にあってやわらかいので、容易に自分で刺激できます。おなかの緊張を取れば腰の緊張も取れて、痛みやしびれを軽減できるのです。

大きく呼吸しながら押しもみするだけ!

おなかもみのやり方は、簡単です。あおむけになって両ひざを立てます。背中はぴったり床につけます。そして、両手の指を、骨盤の内側に差し入れて刺激すればいいのです。

押して痛みがあったときも、呼吸を止めないでください。フーッと大きく呼吸をしながら行いましょう。指先で下腹の緊張を探り当てたら、静かに大きく呼吸することで緊張を緩めるつもりで押しもみしてください。

5分でも10分でも、できるだけ毎日行いましょう。目覚めたときでも寝る前でも、ベッドの上で行うといいでしょう。

大きく呼吸をしながら、両手の指を骨盤の内側に押し入れて刺激するだけでOK!

腰が痛い人は、下腹部の骨盤の内側に緊張があるものです。このおなかもみは、骨盤の内側に張りついている腸を、指を押し入れてはがすイメージで行ってください。

その日の体調によって、おなかの緊張の度合いは変わってきます。おなかの筋肉が特に緊張しているな、と感じられた日は、より念入りに行うといいでしょう。それが腰痛解消につながります。

私の知人の格闘家の男性(30歳)は、腰痛に悩まされていました。格闘家というのは、どうしても体に緊張をため込みやすく、寒い時期にそれが腰痛の引き金となります。

あるとき、彼が腰痛のために練習できないというので、おなかもみを試してもらいました。すると、案の定、下腹部にかなりの緊張があり、それを緩めたところ腰痛が楽になりました。そして、その日もちゃんと練習をすることができたのです。

おなかもみは、腰痛だけでなく便秘を解消する効果もあります。多くの皆さんに役立てていただけると幸いです。


この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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