スイカを丸ごと搾った汁を煮詰めて作る
本格的に薬草を勉強・研究を始めて40年近くになる私が、むくみに特効なものはなにかと聞かれたら、圧倒的に「スイカ糖」と答えるでしょう。
スイカ糖は、赤い果肉や皮、種などすべてを丸ごと搾り、その汁を煮詰めて作ったエキスのことです(基本的な作り方は下記参照)。スイカの甘味が濃縮されて、とてもおいしいです。
スイカは、水分が多く、体の熱を取る作用があり、夏バテや熱中症の予防になる果物です。
また、優れた利尿作用もあります。
1年を通してその恩恵にあずかるため、昔の人は成分を濃縮させてエキスにして、保存したのです。
ジューサーやガスコンロがある現代でこそ、多少、手間はかかっても、半日~1日程度でスイカ糖ができます。しかし、昔は大変な労力と時間がかかったことでしょう。
大きめのスイカ1個から取れるスイカ糖は、わずか湯飲み半分程度。それはそれは、貴重な高貴薬だったはずです。
余分な水分や老廃物を尿として出す
「腎臓にはスイカ糖」といわれ、むくみや腎機能の改善の妙薬として重宝されました。
スイカ糖でむくみが取れるのは、体のあちこちに残っている水分と老廃物を集め、尿として出してくれるからです。
私はスイカ糖に命を救われた人を知っています。知人のお父さまですが、腎臓が悪く、全身がむくんで、医師からは「もってあと数日」と宣告されました。
そこで、私はスイカ糖を勧めました。するとおしっこがジャンジャン出て、むくみがみるみる取れたのです。
今にも死にそうだった人が歩いて退院して、そこから5~6年、ご存命でした。「スイカ糖であの世から引き戻された」と語り草になったものです。
腎臓が悪い人は、水分や老廃物を集めて排泄する力が低下しています。だから、スイカ糖の力を借りるとよいのです。
スイカにも、同様の作用はあります。しかし、スイカには水分がたっぷり含まれているため、その水分の処理が、弱った腎臓の負担になります。
ほかにも、スイカ糖は薬を避けたい妊娠中のむくみ取りにも最適です。
数年前のことですが、親戚のMさんが産み月を迎えた頃に、むくみがひどくなり、顔も足もパンパンになっていました。
「産めば治る」と病院では言われたそうですが、当の本人はつらくてしかたないとのこと。そこで私は、Mさんにスイカ糖を渡しました。
Mさんはさっそく、その日の夜にスイカ糖をとったところ、何度もトイレに通うことになったそうです。おかげでむくみはすっかり取れ、母子ともに健康で出産しました。
私は、妊婦さんには妊娠6ヵ月からスイカ糖を毎日とるように勧めています。それで、妊娠後期もむくまずに過ごせます。
これを実践した人で産後に「あなたの羊水はきれいですね」と医師から言われたという人が何人もいます。おなかの赤ちゃんにも非常にいいはずです。
尿といっしょに疲労も排出され翌日は爽快!
私自身、スイカ糖に何度も助けられました。例えば、遠方に出かけたとき。尿意がないからと先を急いで、トイレに行かずに済ますことがよくあります。
でも、それをやると老廃物を体に貯め込むこととなり、後に疲労感が倍増するのです。
そんなときスイカ糖を多めにとると、そこからはトイレ通いが始まります。
どんどん出ますが、これはただの水分ではなく疲労が出ているのです。おかげで、翌日はスカッと爽快です。
このように、スイカ糖は腎機能を助け、体に残った老廃物も出してくれます。毎日とると、若々しく元気でいられます。
1日にとる量ですが、起床時に手を握った感触で加減するといいでしょう。スッと握れるなら腎機能は健康ということ。その場合は、ティースプーン1杯のスイカ糖をとりましょう。
ひっかかりやこわばりを感じた場合は、これを2~3回に増やすなど量を多めにします。
とるタイミングですが、食前が最も吸収率がいいとされています。とはいえ、特にこだわらず、いつとってもいいと私は指導しています。
ただし、夜にとると睡眠中にトイレに行きたくなる人もいます。老廃物がたまっている人ほどそうなるので、思い当たる人は夜は控えましょう。
唯一、スイカ糖もスイカもとらないほうがいい人がいます。人工透析を受けている人です。スイカはカリウムが豊富です。しかし、人工透析ではカリウムが排泄しきれないので、血圧が上がるなどの悪影響が出ます。
なお、糖尿病の人は、糖分が少ない白い部分や種だけで、スイカ糖を作るといいでしょう。それで血糖値を上昇させないで、十分な薬効が得られるスイカ糖ができます。
スイカ糖は水分をしっかり飛ばせば、3年ほど常温で保存が可能です。完成したスイカ糖をスプーンやお玉ですくって、垂らしたときに、一本の線になれば、水分が飛んだ証拠です。
このときポタポタと切れながら落ちる場合は、水分が残っており、カビの原因になります。その場合は冷蔵庫で保存してください。
「スイカ糖」の作り方


❸皮ごと、種ごと、ジューサーにかける。
❹③を火にかけ、沸騰させる。カスと液体が分離したら火を止める。

❺ボウルの上にザルを置き、洋タオルを二重にして置き、さらにその上にキッチンペーパーを置いて④の液を静かに入れて漉す。ボウルには透き通った液体が、ザルには赤い色素のカスが残る。スイカ糖に使うのは、ボウルの液体だけ。カスは処分する。
❻透き通った液体を鍋に入れ、ふたをせず火にかけて水分を飛ばす。水分が少なくなると、液体は黒く変色する。
❼⑥をボウルに移す。

❽別の鍋に湯をはり、縁には空気が抜けないようタオルを巻く。
❾⑧の上に⑦を載せて、湯せんをする。ヘラでまぜる。
❿おたまですくったとき、1本の糸のようにスーッとつながるようになったら出来上がり。
※おたまですくったとき、ポタポタと垂れるのは水分が残っている状態なので、しばらく湯煎を続ける。

⓫煮沸消毒した瓶に入れて保存する。
解説者のプロフィール
平田真知子(ひらた・まちこ)
薬草コンサルタント。
北九州で「薬草の会」を主催し、35年間活動を続けて会員の健康を守っている。
❶スイカを洗う。
❷スイカをジューサーに入れやすい大きさに切る。