解説者のプロフィール

浜田貫太郎(はまだ・かんたろう)
●浜田整体院
東京都目黒区緑ヶ丘2-17-24 バンヴェール栗山201号
03-5729-1373
http://seitai.iiyudana.net/
浜田整体院長。
1980年、石川県生まれ。2008年から浜田整体を開業。施術のほか講座を開催して整体の普及に努める。著書『整体操法入門』(たにぐち書店)が好評発売中。
汗の出が悪くなると腎臓が疲弊しむくむ
秋を迎えると、むくみを訴える患者さんが急増します。これは、汗をかかなくなることと関係があります。
体内の水分と老廃物は、夏の間は汗と尿から排泄されます。しかし、秋になり気温が下がると、発汗量が減るので、それらを尿の排泄で補わなければなりません。発汗と排尿は、補い合っているのです。
体の水分の流れを調整しているのは腎臓です。腎臓には、この変化が大きな負担となるため、疲れてしまい、水分の排泄が滞るのです。
また、腎臓が疲れると、冷え症になります。しばしば東洋医学では冷えの害を説きますが、その冷えというのは血行不良のことです。むくみと冷え症はセットなのです。
一方で、腎臓の疲れを私たちは「腰の痛み」として察知することがあります。秋になって腎臓の辺り(左図参照)に痛みやこわばりを感じたなら、腎臓由来の腰痛と考えていいでしょう。
今回ご紹介する「腎臓ひねり」という体操は、こういった腎臓の疲れからくる症状にとても有効です(基本的なやり方は下記参照)。
やり方はとても簡単ですが、効果を出すために欠かせないコツが二つあります。
まず、ひねる動きです。これはラジオ体操のように勢いをつけてはいけません。勢いでひねると、ひねり具合が不十分となり、効果が出ません。
腎臓ひねりは、腎臓を助ける体操です。ひねる動きによって、水分で膨らんだ腎臓から水をジャーッと絞り出しているようなものです。
ですから、1回ごとにしっかりひねることが肝心。どこまでひねることができるか確かめるつもりで、ゆっくり、めいっぱい体をひねり切ります。
水で濡らしたタオルを絞るようなイメージで、上半身をギューッとひねるとやりやすいかもしれません。
次に、体を戻すときですが、ねじったゴムが戻るような感覚で、一気に脱力して、体を正面に戻します。緩急をつけることで、最大の効果を発揮します。
■腎臓を意識して行うとさらに効果アップ!

腰痛が解消!3kgやせた!
「むくみと冷え症をなんとかしたい」と訴えて来院されたAさん(40代・女性)は、腎臓ひねりを実践して1ヵ月で、ひどいむくみが改善しました。
Aさんは上半身は細いのですが、むくみで下半身だけが太っていました。それが腎臓ひねりを行ったところ、ふくらはぎは引き締まり、土気色だった顔も血色がよくなりました。
また、むくみと腰痛を訴えて来院されたBさん(50代・男性)は、腎臓の周囲が張っており、典型的な腎臓由来の腰痛でした。むくみで全身がカチカチでしたが、2~3ヵ月ほど腎臓ひねりに取り組んだところ、体は柔らかくほぐれ、腰痛が解消したのです。
Aさんはいわゆる水太り、Bさんは固太りでしたが、両者とも腎臓ひねりで体がスッキリとしました。私自身、ほかの体操とともにですが腎臓ひねりを行って13㎏やせたことがあります。
腎臓ひねりの効果は、これだけにとどまりません。
東洋医学で腎臓の不調が原因で起こるとされている、頻尿、更年期障害によるのぼせやホットフラッシュ、目の下のクマ、耳の聞こえなどまでが改善します。
意外なところでは、外反母趾です。外反母趾も、腎臓の不調によって起こることがあります。また血行もよくなるので、髪や爪、歯ぐきなどを美しくする美容効果もあります。
うまくできない場合はわき腹をつまむ
このように幅広い効果が得られる腎臓ひねりですが、難点が一つあります。
それは、この体操が必要な人ほど、「うまくできない」という点です。というのも、腎臓が疲れている人ほど、体がガチガチに固まっていて、ひねる動きがうまくできません。
そこで今回は、腎臓ひねりの前に行う準備体操「わき腹つまみ」もご紹介します(やり方は下記参照)。
これは、わき腹の皮膚をつまみながら上半身を左右に倒すことで、筋肉を効率的にゆるめます。この体操自体に、腎臓の働きをよくする効果もあります。
また、体操の効果を出すためには、1ℓ以上の水を飲むことも大切です。むくみがある人は水分を控えることが多いようですが、新しい水を補給しないと、古い水は出ていきません。
また、女性では尿を我慢しすぎて、ひどいむくみを招いている症例をよく目にします。我慢しすぎて尿意を感じなくなっている人もいるので、こまめにトイレに行くことを習慣づけてください。
腎臓ひねりを正しく実践すれば、2週間ほどでむくみが解消するなどの効果を感じるでしょう。ぜひお試しください。
ギュ~っとひねってパッと戻すだけ!「腎臓ひねり」のやり方

❶イスに座る。
❷ゆっくり上体を左にひねる。もうこれ以上ひねることができないところで、3秒キープする。

❸パッと脱力して正面に戻る。
❹右も同様にひねる。
ポイント
● 左右交互に10回ずつ行う。
● 呼吸は止めずに自然に行う。
● ひねるときはゆっくりと、正面に戻るときは素早くと、動きに緩急をつける。
● 正座して、立位で、行ってもよい。
うまくできない場合は、最初に「わき腹つまみ」を行おう!

❶両手でわき腹の皮をつまむ。(肋骨から骨盤の間を5等分にして、一番上の辺りをつまむ)
❷皮をつまんだまま、体をゆっくり左右に10回ほど交互に倒して、わき腹を伸ばす。
❸わき腹のつまむ位置を下にずらして、同様に行い、いちばん下まで行う。