解説者のプロフィール

野崎洋光(のざき・ひろみつ)
1953年福島県生まれ。89年日本料理店「分とく山」を開店。現在は総料理長として3店舗を統括。伝統を生かしながら、新たな試みにあふれる料理にファンも多い。メディアでも大活躍しており、近著に「きゅうり食べるだけダイエット」(株式会社KADOKAWA)がある。
還暦前におなか周りの脂肪が気になった
私は、東京の広尾で日本料理店を開業して29年になります。 今から5年以上前の、60歳間近の頃、私は、腹周りの脂肪が気になっていました。
料理人は案外食生活が乱れがちです。仕事中は味見で腹がふくれますし、店が終わった後はつきあいで飲みに行くこともしばしば。まともな食事は、お昼のまかないだけという日も珍しくありません。
そんな食習慣がたたったのか、当時の私の体重は68㎏(身長は165㎝)、腹周りのサイズは80㎝超。また、その頃に受けた人間ドックでは、脂肪肝とコレステロール値の高さを指摘されていました。もともと健康で、病気で寝込んだことはありませんが、この先も元気で仕事を続けるためにも、少しやせようと決意したのです。
このとき私がダイエットに利用したのが、キュウリです。
私の故郷の福島県はキュウリの産地。子どもの頃は、畑からキュウリをもいでよく丸かじりしていたので、愛着のある野菜です。
キュウリは歯ごたえがあるので「食べた」という満足感が得られます。また、生のままでも食べられるので、仕事の合間にポリポリとかじることができます。ビタミン、ミネラルもとれますし、熱気のこもる厨房での水分補給にもうってつけ。しかも、入手は簡単で安価です。
そこで、仕事の合間はもちろん、小腹がすいたときや朝食、夜食の代わりに、毎日キュウリを食べました。多いときは1日に10本近く食べたでしょうか。
食べ慣れてくると、毛細血管までサラサラと水が流れるような血流を感じるのです。体重も落ちました。2ヵ月でなんと11㎏減の、57㎏までやせたのです。気になっていた腹周りの脂肪も、妻がビックリするほど薄くなりました。ベルトの穴は、いちばん太い端の穴からいちばん細い端の穴まで、約11㎝以上縮んだのです。
キュウリを食べた以外に、生活習慣は変えていないので、するするとやせたのは、キュウリのおかげだと思っています。
この体重は現在もほとんど変わりません。腹周りのサイズも70㎝台です。
たまにつきあいで飲み食いが続くと腹に脂肪がたまりますが、キュウリを意識して食べると、体はすぐに元に戻ります。
肝機能値、コレステロール値も改善しました。おかげさまで、今も持病はありません。

ダイエット成功のための五つのアドバイス
ここで、「キュウリ食べるだけダイエット」のコツをお教えしましょう。
❶キュウリは、身の太ったものを選んでください。スイカと同じように、キュウリも皮の近くはあまりおいしくありません。太ったキュウリであれば、中心部に近いおいしい部分をたっぷりと味わえます。
❷青臭さが気になるときは、さっと湯通しをしましょう。丸ごとキュウリを熱湯に10秒ほどつけたら、すぐに冷水で冷やす。これで青臭さが消えて、色が鮮やかになります。
❸味つけは薄味・シンプルがベスト。私がキュウリを丸ごとかじるときは、みそをつける程度です。濃い味は、案外飽きやすいものです。シンプルな味ほど長く続けられます。
❹キュウリは体を冷やすため、気温の下がる冬は、キュウリとあわせて温かい汁物や、体を温める効果のある、ショウガと一緒に食べるとよいでしょう。
❺キュウリ食べるだけダイエット中も、ご飯やおかずはある程度の量を食べてください。私の経験上、ご飯は減らしすぎると、お通じが滞ります。
自身の体験と、食材などについて勉強を重ねるうちに、私は、やせたいなら食べるべきだと考えるようになりました。食べたいという欲求を、肉、油、糖分で満たすのではなく、キュウリに代表される野菜を中心とした食事で満たしてやれば、健康的にやせると思うのです。
具体的には、300g程度の新鮮な野菜に主食、主菜、汁物をあわせ、1食当たり1㎏は食べることをお勧めします。食事の内容は、伝統的なお惣菜がよいでしょう。
まずは日々の食事を、日本人が昔から食べてきた、和食に変えてみてはいかがでしょうか。
キュウリ食べるだけダイエットをきっかけに、これまでの食生活も見直してみてください。
タコのおろしキュウリあえ
■タコをよく噛めばダイエット効果が高まる!


【材料】(1〜2人分)
キュウリ……1本、セロリ……1/4本(30g)
ゆでタコ……50g、長ネギ……1/2本
Ⓐしょうゆ……大さじ1
酢……大さじ1(煮切って冷ます)
溶きカラシ…適量
【作り方】
❶キュウリとセロリをすりおろす。
❷ゆでタコはそぎ切りに、長ネギは白髪ネギにする。
❸ボウルに②を入れて①とあえ、器に盛る。
❹Aをかけ、カラシを添える。
キュウリのツナあえ
■ノンオイルツナでヘルシーにたんぱく質を摂取!


【材料】(1〜2人分)
キュウリ……2本、長ネギ……1本
青ジソ……5枚、ツナ缶(ノンオイル)……1缶(70g)
【作り方】
❶キュウリは小口切りにする。長ネギは白髪ネギにする。青ジソは千切りにして水にさらし、水けを切る。
❷ボウルに①と汁を切ったツナを入れてあえ、器に盛る。
たたきキュウリの塩コンブあえ
■豊富な食物繊維で腸の働きを整え体重ダウン!


【材料】(1〜2人分)
キュウリ……2本、塩コンブ……10g
ゴボウ……30g
【作り方】
❶キュウリは両端を切り落として5cmの長さに切り、縦半分に切って、ふきんに包み、すりこ木でたたく。
❷塩コンブは3cm長さに切る。ゴボウはささがきにしてさっとゆで、水で洗って水けを切る。
❸ボウルに①と②を入れ、あえる。
キュウリのおかかあえ
■おかかのうま味で減塩対策!

【材料】(1〜2人分)
キュウリ……2本、削りガツオ……15g
【作り方】
❶キュウリを小口切りにする。削りガツオはフライパンで空炒りし、冷まして粗くほぐす。
❷ボウルにキュウリを入れ、削りガツオを加えてまぶし、器に盛る。
キュウリとキャベツの浅漬け
■おなかがすいたときの作りおきに最適!


【材料】(作りやすい分量)
キャベツ……1個、キュウリ……2本
青ジソ……3~4枚、塩……25g
Ⓐ水……1 と1/4カップ
塩……小さじ1、コンブ……3g
【作り方】
❶キャベツはざく切り、キュウリは3mm幅の斜め切り、青ジソは千切りにして、ともに塩をまぶして10分おいてからもみ、ザルに上げる。
❷Aをひと煮立ちさせ、冷ます。
❸低めの温度(70℃)の湯に①をザルごと15秒浸し、冷水にとってもみ洗いし、水けを絞る。
❹ポリ袋に②と③を入れ、30分おく。
キュウリと桜エビのサラダ
■桜エビは骨粗鬆症の予防、免疫力アップに効果大!


【材料】(1〜2人分)
キュウリ……2本、桜エビ……20g
タマネギ……1/2個(20g)、青ジソ……5枚
Ⓐしょうゆ……大さじ1、水……小さじ2
酢……小さじ2(煮切って冷ます)
ゴマ油……小さじ1、白いりゴマ……大さじ2
【作り方】
❶キュウリは小口切りにする。タマネギは薄切りに、青ジソは小さくちぎって水にさらし、水けを切る。
❷Aの材料を混ぜ合わせる。
❸ボウルに①を入れて混ぜ、器に盛る。
❹桜エビを散らし、②をかける。