緑茶コーヒーはなぜダイエット効果があるのか?

緑茶コーヒーは、なぜ、驚くほどのダイエット効果があるのでしょうか。
その理由をお話ししましょう。
まず、緑茶とコーヒーそれぞれに、ダイエットを促進する「やせ物質(有効成分)」が含まれています。
やせる理由1 カテキンの効果(血糖値の上昇を抑え、コレステロール吸収を抑制)
緑茶に含まれるカテキンは、ポリフェノールの一種で、タンニンという緑茶の渋みの主成分です。コレステロールの吸収を抑制したり、血糖値の上昇を緩やかにしたりします。
食事をするとヒトの血糖値は上昇し、すい臓からインスリンが分泌されます。また、血糖値が上がりやすい食べ物を摂取し過ぎると、インスリンが大量に分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖をエネルギーに変える一方、余った分を脂肪として蓄積します。この一連のサイクルで、緑茶に含まれるカテキンが有効に働くのです。
やせる理由2 クロロゲン酸の効果(脂質の代謝を活性化し、脂肪が燃えやすくなる)
次に、コーヒーに含まれるクロロゲン酸です。クロロゲン酸もポリフェノールの一種で、肝臓での脂質の代謝を活発にします。体内のエネルギー消費を増やして、脂肪が燃えやすい体にしてくれます。
やせる理由3 カフェインの効果(コーヒー・緑茶にそれぞれ含まれ、脂肪を燃焼させる)
さらに、緑茶とコーヒーには、天然由来の有機化合物であるカフェインが含まれており、これも脂肪を燃焼させる作用があります。
飲む際に注意!ミルクを加えると吸収率が落ちる
ちなみに、コーヒーを飲む際、ミルクを加えるかたは注意が必要です。
コーヒーの「やせ物質」であるクロロゲン酸は、ミルクを加えると吸収率が落ちるからです。クロロゲン酸が、ミルク中のたんぱく質「カゼイン」と結合することで、吸収が悪くなるのです。
その点、緑茶コーヒーならブラックが苦手という人でも、ミルクを入れずにおいしく飲めます。緑茶コーヒーであれば、ミルクを入れる必要がなく、クロロゲン酸のよさをそのまま引き出すことができるのです。
そのほかにも、緑茶とコーヒーを組み合わせると、それぞれの有効成分をバランスよく利用できるそという点が挙げられます。
緑茶コーヒーとして飲むと、カフェイン量を3分の2に減らせる!
イライラを抑えて暴飲暴食を防ぐ
コーヒーを飲むと眠れなくなる、とよくいわれます。
これは、カフェインの作用ですが、緑茶コーヒーとして飲むと、総計で摂取するカフェインの量が、コーヒー単独で飲んだときの3分の2に抑えられます。
カフェインの取り過ぎを防げるのです。
カフェインを取り過ぎると、自律神経(私たちの意志とは無関係に働き、内臓や血管をコン トロールしている神経)の一つである交感神経が優位になり、心身が戦闘モードになります。すると、イライラから生じるストレスで暴飲暴食を引き起こしかねません。
それを和らげてくれるのが、緑茶に含まれるテアニンというアミノ酸です。テアニンは、興奮抑制作用があるので、カフェインの興奮作用を抑えてくれます。この点でも、ダイエットに有効なのです。
簡単!「緑茶コーヒーダイエット」のやり方
食事の「直前」に飲むこと
緑茶コーヒーダイエットのやり方について、お話ししましょう。
基本的には、緑茶とコーヒーを1対1で混ぜるだけです。砂糖やミルクは加えないでください。
1回量は、カップ1杯(マグカップで、平均250~300㎖程度)です。
重要なのは、緑茶コーヒーを1日3回、毎回の食事の「直前に」飲むことです。さらに、それ以外の時間帯にコーヒーやお茶を飲む際、緑茶コーヒーに置き換えるとなおいいでしょう。
ダイエット効果を得るためには「続けること」が大事
コーヒーのクロロゲン酸は、焙煎すると減少します。
つまり、浅煎りのほうがクロロゲン酸の量が多く、ダイエットに向いています。
ただ、私は、コーヒーや緑茶の品質にこだわる必要はないと考えています。
緑茶コーヒーの重要な点は、根気よく続けること。そのためには、手軽にできるインスタントコーヒーや、コンビニのコーヒーでも、大いにけっこうです。
1週間ほどで体重がぐんぐん落ち始める!
また、緑茶コーヒーでダイエットをする際には、朝、必ず体重を量って記録しましょう。
実践してから1週間から10日ほどで、体重がぐんぐん落ち始めます。
体重を毎朝量り、それを記録します。折れ線グラフにすると、なおいいでしょう。体重が減っていくのを目の当たりにして、励みになります。
「緑茶コーヒー」のやり方
・緑茶とコーヒーを1対1で混ぜ、1日3回、食前に飲む
・1回に飲む量は、カップ1杯(マグカップで、平均250~300㎖)程度
※砂糖やミルクは加えないこと。
※飲む際は、ホットでもアイスでも可。
緑茶コーヒーダイエットを実践する際、毎朝、体重を量って記録するとさらに効果アップ!

緑茶コーヒーには、ダイエット効果以外にも、多くの健康効果があります。
例えば、適度なカフェインによる集中度アップ効果や、カテキンの美白・美肌効果、虫歯・カゼ予防などなど。
緑茶コーヒーは、ダイエットを実現しつつ、さまざまなメリットが得られる、すばらしい健康法なのです。
やせ過ぎてベルトを買い替えた!
「緑茶コーヒーダイエット」を、実際に試してもらった患者さんの数は100人以上。ダイエットに成功した皆さんの記録によると、1ヵ月平均で6.2㎏やせています。
緑茶コーヒーが生まれたのは、2015年のことです。その当時、私は糖尿病の患者さんのダイエットが、なかなかうまくいかないという悩みを抱えていました。
食事法や運動療法など、理論的に正しい方法を指導しても、多くのかたが続けられないのです。そこで、意志の弱い人でも簡単にできる、手軽なダイエット法を毎日考えていました。
そして、いろいろ考え抜いた結果、たどりついたのが、緑茶コーヒーだったのです。緑茶もコーヒーも、多くの有効成分が含まれており、どちらもダイエット効果があります。
つまり、緑茶とコーヒーを合わせて飲めば、ダイエット効果がより高まるだろうと考えたのです。そこで、実験台として、自分で緑茶コーヒーを試してみました。
ダイエット開始時、私の体重は92㎏もありました(身長178㎝)。高校時代は、68㎏でしたが、大学の医学部に入ってから太り始め、20代の終わりごろには、現在の体重に到達していたのです。
太った原因は、不規則な生活、睡眠不足、暴飲暴食、運動不足などさまざまです。太らないほうがおかしいくらいです。
むろん、自分でも、それらが体によくないとわかっていました。ダイエットがうまくいかない患者さんと同様、わかっていながら、それらの悪習を改められないからこそ、90㎏を超えてしまったわけです。
だいいち、ダイエットを勧める糖尿病専門医が、90㎏超えの肥満体では示しがつきません。そうしたことから、なんとかやせたいと考えていました。
緑茶コーヒーダイエットの決めごとは二つ。
❶1日3杯、緑茶コーヒーを食前に飲む
❷朝、体重を量って記録する
守るべきことは、これだけです。実際に始めてみると、体重がどんどん落ち始めました。
そして、10ヵ月あまりで、体重を67㎏まで落とすことに成功しました。結果的に、25㎏もの減量に成功したのです。
よくダイエットの本などに、その効果をベルトの穴で表現することがあります。例えば、「穴三つ分縮まった」などといいますが、私の場合はやせ過ぎて、ベルトそのものを買い替えなければなりませんでした。
おかげで体が軽くなってフットワークがよくなり、仕事の効率も上がりました。さらに、眠りの質もよくなったようで、以前より、熟睡できるようになりました。

免疫力が向上して扁桃腺が腫れなくなった
免疫力が向上したことも見逃せない効果でしょう。私は、もともと扁桃腺が弱く、年に1回は必ず高熱を出していました。しかし、緑茶コーヒーでやせてからは、一度も扁桃腺を腫らしていません。
また、自分自身で試して実感できたことですが、食前に緑茶コーヒーを飲むと、食欲が自然と落ちます。食べる量そのものが少しずつ減っていき、その積み重ねで、体重が自然に落ちていくのです。
緑茶コーヒーがダイエットに効果的な理由は、緑茶とコーヒーに含まれている「やせ成分」の働きが大きいでしょう。そのため、緑茶コーヒーを実践すると、おなか周りからやせていきます。見た目だけでなく、糖尿病など生活習慣病の改善のためにも、減らすべき内臓脂肪を、緑茶コーヒーは効果的に減らしてくれるのです。
この緑茶コーヒーダイエットは、私自身、非常に貴重な経験になりました。92㎏から67㎏までダイエットに成功したおかげで、太っている人の傾向も、やせられない人のつらさも理解できるようになったのです。
この成果を踏まえて、私が患者さんに緑茶コーヒーを勧めるようになると、次々とやせる人が現れ始めました。やせたいと願っているのに、ダイエットに失敗してしまうかた。いったんはやせられたのに、けっきょくリバウンドしてしまうかた。そんな皆さんに、緑茶コーヒーをお勧めしたいと思います。

解説者のプロフィール

工藤孝文(くどう・たかふみ)
●工藤内科
福岡県みやま市瀬高町太神1334-1
0944-63-7711
http://www.kudonaika.com/
https://ameblo.jp/takafumikudo/
工藤内科副院長。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、基幹病院での勤務を経て、福岡県みやま市にある工藤内科へ。診療のかたわら、スマホ診療による全国規模でのダイエット治療、漢方治療を行っている。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門とし、テレビにも多数出演して注目を集めている。著書に『元デブ医者が教える おいしく飲んでみるみるやせる緑茶コーヒーダイエット』(日本実業出版社)など、多数。

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