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甘酒の健康効果を高める食べ方は「甘酒寒天」 寒天の有効成分とその作り方を解説

甘酒の健康効果を高める食べ方は「甘酒寒天」 寒天の有効成分とその作り方を解説

これまで私は、甘酒の摂取をお勧めしてきました。今回、甘酒の効果をさらに高める機能的な食べ方として、新たにお勧めするのが、甘酒と寒天を併せてとる、「甘酒寒天」です。テングサという海藻を主原料とする寒天は、甘酒以上に食物繊維が豊富な食品です。【解説】桑島靖子(桑島内科医院副院長)

解説者のプロフィール

桑島靖子(くわじま・やすこ)
●桑島内科医院
香川県東かがわ市三本松751
TEL 0879-25-0771
http://kuwajima.net/

桑島内科医院副院長。
日本内科学会内科専門医。日本東洋医学会漢方専門医。日本抗加齢医学会専門医。
30代に悩まされ続けた不定愁訴を、漢方と栄養療法で自ら克服した経験から、漢方、栄養療法、点滴療法を取り入れた複合的なアプローチで内科疾患、不定愁訴の治療・予防に当たる。共著に『子宮を温める食べ方があった!』(青春出版社)などがある。

認知症患者の興奮症状が甘酒の摂取で改善した!

2016年秋から『壮快』で特集を組み、たびたび紹介してきた「甘酒」は、大きなブームを巻き起こしました。
米こうじと水だけで簡単に手作りでき、アルコール分を含まないので誰でも安心してとれるのがうれしいところです。しかし、最大の魅力は、やはりその多彩な健康効果でしょう。

20㎏や10㎏といった大幅ダイエットに成功した、糖尿病が改善した、抜け毛が減った、などといった驚きの体験談が寄せられ多くの反響を呼んできました。甘酒ファンを公言する芸能人も続々誌面に登場。その人気は衰えるところを知りません。

私が甘酒を勧めるようになったのは、私たちのチームが実施した、特別養護老人ホームでの臨床研究がきっかけです。
認知症が進んでいる患者さんに、甘酒を毎日とってもらったところ、便秘や下痢、食欲不振、夜間の興奮などの症状が改善しました。ホーム内でカゼがはやったときも、甘酒を飲んでいたグループは重症化せずに、数日で回復。甘酒をとらなかった患者さんと比較して、明らかな効果が実証されたのです。
私たちはこの研究成果を、日本抗加齢医学会で発表し、大きな注目を浴びました。

温度を60度程度に保って手作りした甘酒は、こうじ菌が発酵する過程で作られた酵素や、ビタミン(特にB群)を、豊富に含みます。1日に大さじ4杯程度をとるといいでしょう。「飲む点滴」といわれるほど栄養価が高いので、高齢者の栄養補給源に最適です。

酵素は、食べ物の消化・吸収を助けたり、代謝を高めて血行を促進したりと、生命活動の維持に重要な役割を果たします。
また、ビタミンB群も、糖や脂質の代謝を促します。ビタミンB群が疲れ取りに効くとされるのは、優れた代謝促進機能のためです。肌や髪、ホルモンの合成に欠かせないため、美容にも効果的。「甘酒を飲み続けたら色白美肌になった」という話も、よく耳にします。

寒天の成分がシワを減少紫外線ダメージも防ぐ!

さらに特筆すべきは、甘酒に含まれるオリゴ糖や食物繊維、なかでも水溶性食物繊維の役割です。これらは、胃や小腸で消化吸収されずに大腸まで届き、腸内で「短鎖脂肪酸」という脂肪酸の産生を増やします。

食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、腸にはその両方が、必要不可欠です。ただ、短鎖脂肪酸を増やすのは、主に水溶性のほうです。

短鎖脂肪酸は、大腸で細胞のエネルギー源となり、その活動を活性化。腸粘膜を修復してバリア機能を高めたり、悪玉菌の増殖を抑えてガンの発生を防いだり、アレルギー反応を抑制したりと多くの機能を持ちます。

血糖の調整や、血圧の降下、脂肪の取り込みを抑制するのでダイエットにも有効。加えて、慢性腎不全の進行を抑制、セロトニンという神経伝達物質の産生を助けてうつ病を予防するなど、数え切れないほどの優れた健康効果があるのです。

これまで私は、甘酒の摂取をお勧めしてきました。今回、甘酒の効果をさらに高める機能的な食べ方として、新たにお勧めするのが、甘酒と寒天を併せてとる、「甘酒寒天」です。

テングサという海藻を主原料とする寒天は、甘酒以上に食物繊維が豊富な食品です。
海藻類に含まれる食物繊維の水溶性と不溶性の割合は、文部科学省の提供する日本食品標準成分表に掲載されていません。よって寒天についても、どちらの食物繊維が多いのかは不明ですが、食物繊維の総量は非常に多く、甘酒同様、短鎖脂肪酸の産生を強力に促進します。

つまり、甘酒と寒天を併せてとることで、この作用が相乗し、短鎖脂肪酸から享受できる健康効果を、さらに高めることができるのです。

寒天の有効成分は、食物繊維だけではありません。寒天だけに含まれる独自成分・アガロペクチンには、抗ガン作用やコレステロール低下作用が認められています。

さらに、寒天のアガロペクチンを摂取することで、肌のシワが減少したという研究報告があります。紫外線によるコラーゲンの破壊も抑制するので、甘酒といっしょにとることで、美肌効果がさらにアップ。甘酒と寒天は、女性には非常に魅力的な組み合わせといえるでしょう。

おいしくて健康・美容効果抜群の甘酒寒天を、ぜひ新習慣として取り入れてください。

甘酒寒天のメリット

⃝便秘・下痢の改善 ⃝血糖の調整 ⃝血圧の降下 ⃝コレステロール値の低下 ⃝ダイエット ⃝認知症の改善 ⃝食欲不振の改善 ⃝免疫力の向上 ⃝新陳代謝の促進 ⃝美肌 ⃝育毛 ⃝腸粘膜のバリア機能強化 ⃝アレルギー反応の抑制 ⃝腎不全の進行抑制 ⃝ガン予防 ⃝うつ病予防……などなど多彩な効果が期待できる!

腸ヘルシー!甘くておいしい「甘酒寒天」の作り方は2つ!

①「本格派・甘酒寒天」…甘酒を寒天で固める!

エネルギー:59kcal 塩分:0.0g(各100g当たり)

作った甘酒(作り方は下項)を、寒天で固めて作る「本格派」。ツルリとしてのどごしがいいので、甘酒は好きだけど米粒の食感が苦手、という人にもお勧めです。

1日に食べる目安量はこのくらい!
※寒天の摂取量で換算。糖を控えたい場合は甘酒の分量を減らしてもよい(その分、水の量を増やして作る)。または、かける甘酒の量を調整できる②の「簡易版」甘酒寒天がお勧め。

【材料】(出来上がり目安量=600ml/2日分)
甘酒…300ml(常温に戻しておく。作り方は下項参照)
粉寒天…4g、水…30ml

【作り方】
❶水の半量(150ml)を鍋に入れ、粉寒天を振り入れて火にかけ、かき混ぜながら煮溶かす。

❷沸騰したら、吹きこぼれない程度に火を弱め、2分間フツフツと煮立て続ける。

❸火を止めて、残りの水を加えてよく混ぜ、温度を下げる。さらに甘酒を加え、均一になるようよく混ぜる。

❹型に流し入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存。3日ほどで食べ切る。

②「簡易版・甘酒寒天」…寒天に甘酒をかける!

エネルギー:0kcal 塩分:0.0g(寒天のみの場合。各100g当たり)

寒天の上から、作った甘酒(作り方は下項)をかけるだけの「簡易版」。甘酒の量を好みで調整できるので、ご家族皆で召し上がれます。まずは基本の寒天を作りましょう。

1日に食べる目安量はこのくらい!

【材料】(出来上がり目安量=600ml/2日分)
粉寒天…4g、水…600ml

❶水を鍋に入れ、粉寒天を振り入れて火にかけ、かき混ぜながら煮溶かす。

❷沸騰したら、吹きこぼれない程度に火を弱め、2分間フツフツと煮立て続ける。

❸火を止めて、型に流し入れる。粗熱が取れたら冷蔵庫で保存。作った甘酒(作り方は下項)をかけて、3日ほどで食べ切る。

寒天Q&A

Q1 いろんな種類があるけれど?

A1
煮溶かして固めるなら、棒寒天や糸寒天も、粉寒天と同様に使えます。凝固力は粉寒天のほうが強く、粉寒天の4gは棒寒天・糸寒天の8gに相当します。


Q2 溶ける温度と固まる温度は?

A2
およそ90度前後で溶け、40度前後で固まります。常温に置いて固め、粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れて保存しましょう。


Q3 1日に食べる目安量は?

A3
粉寒天2g程度がいいでしょう。これでおよそ1.5gの食物繊維がとれます。粉寒天4gで寒天を作ったら、その半量が目安です。

待つだけ簡単!基本の「甘酒」の作り方

【監修・栄養計算】舘野真知子(料理研究家・管理栄養士)

①いちばんシンプルなのはこれ!「米こうじだけの甘酒」

■炊飯器を使った作り方

エネルギー:114kcal 塩分:0.0g(各100g当たり)

【材料】(出来上がり目安量=500ml)
米こうじ…200g(乾燥でも生でも同量)、約60度のお湯…400ml

❶炊飯器に、ほぐした米こうじとお湯を入れ、さっと混ぜる。

❷炊飯器のふたを開けたままふきんをかけ、保温モードにし、そのまま6時間保つ。

※途中で、1~2度かき混ぜるとよい。その際に温度を確認し、下がっていたら炊飯器のふたを閉め、温度が上がっていたら一時的にふきんを外すなどして、60度前後を保つようにする。

❸ほんのりと黄色みを帯び、甘みが出ていたら出来上がり。

■保温水筒を使った作り方

エネルギー:114kcal 塩分:0.0g(各100g当たり)

【材料】(出来上がり目安量=450ml)
米こうじ…150g(乾燥の場合。生の場合は150~200g)
約60度のお湯…300ml

❶保温水筒に、ほぐした米こうじを入れる。

❷①にお湯を注ぎ、ふたをして全体がなじむように振る。ときどき振り混ぜつつ、8時間おく。ほんのりと黄色みを帯び、甘みが出ていたら出来上がり。

※電気ポットの横など、少し温かい場所に置くとなおよい。
※手順②の4時間ほど経過した時点でいったん鍋に移し、弱火で1分加熱してから水筒に戻すと、失敗が少ないうえ、より甘くやわらかい仕上がりになる。

②大量に作りたい人向け!「おかゆを使った甘酒」

エネルギー:112kcal 塩分:0.0g(各100g当たり)

【材料】(出来上がり目安量=900ml)
米(もち米を使うとより甘みが増す。精白米や玄米でも可)…1合
水…600、水(追加分)…200ml
米こうじ…200g(乾燥でも生でも同量)

【作り方】
❶米は洗い、水600mlに30分(玄米の場合は一晩)つけておく。

❷①を炊飯器に移し、おかゆモードで炊く。

❸おかゆができたら、追加分の水を注いで混ぜ、温度を下げる。

❹60度前後になったら、米こうじを加え、よく混ぜる。

❺炊飯器のふたを開けたままふきんをかけ、保温モードにし、そのまま8時間保つ。

※途中で、1~2度かき混ぜるとよい。その際に温度を確認し、下がっていたら炊飯器のふたを閉め、温度が上がっていたら一時的にふきんを外すなどして、60度前後を保つようにする。

❻ほんのりと黄色みを帯び、甘みが出ていたら出来上がり。

甘酒の保存方法と摂取目安量

●粗熱を取り冷ましてから、保存容器や、ジッパー付きの食品保存用袋に入れる。よく洗って乾かしたペットボトルに入れてもよい。

●常温で放置しておくと酸味が出るので、冷めたらすぐに冷蔵庫または冷凍庫で保存する。冷蔵庫なら2~3日、冷凍庫なら1~2ヵ月は保存が可能。

●冷蔵で保存する場合、容器に入れる量は8分目までにとどめ、1日1回はふたを開閉する(発酵が進んで発生するガス抜きのため)。

●1日に大さじ4杯(60ml)程度を、食後にとるのがお勧め。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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