
アメリカでは高用量のビタミンDサプリメントの売り上げが急増
ビタミンDというと骨の健康にいいことは100年ほど前から知られており、日光浴すると体内で合成できるビタミンというイメージぐらいで、あまり注目されて来なかった。
ところが今世紀に入り、骨の健康以外にも重要であることが分かってきているという。
それで、アメリカでは高用量のビタミンDサプリメントの売り上げが増えているという。米国医師会雑誌によると、一日当たり1000IU以上のビタミンDを摂っている成人の割合は、2003~2004年で0.4%だったが2013~2014では18.2%と大幅に増えていることが報告されている。
またアメリカで発売されているマルチビタミンにはビタミンD3が高用量で配合しているものも、見受けられるようになっている。
これは最近ビタミンDの多くの健康効果が発表、報告され、一般の人に評価されているからだと分析されている。
ビタミンDは疾病リスクを下げ高血圧を改善する
ある臨床研究によるとビタミンDは急性肺感染症のリスクを下げることが判明。
そしてビタミンDはガンのリスクを下げるという報告もされている。閉経後の女性を対象とした実験で、1日に2000IUのビタミンD3と1500mgのカルシウム、もしくはプラセボを与えた臨床試験では、ガンの発生率が有意に低下したという。
中国では、自閉症児に対してビタミンDの臨床試験が行われた。ビタミンD治療(注射による1か月あたり150,000IUの投与と1日当たり400IUの経口摂取を3か月続けた)結果、自閉症児の行動異常に有意な改善が見られたという。
また別の試験ではビタミンD3の高用量摂取によって、血圧低下がみられる結果が得られ、なんと7割以上の人の高血圧が改善したという。
ビタミンDは免疫力の調整と増強の他「サルコペニア」防止にも有効
また日本の研究者によれば、加齢に伴う筋肉量の減少「サルコぺニア」対し、筋肉合成に欠かせないタンパク質合成には、栄養としてアミノ酸とともにビタミンDが特に重要だとしている。
実験ではアミノ酸(BCCA)とビタミンDと筋力トレーニングを組み合わせ、週に3回、3か月間高齢者に実施。結果5%筋肉量が増加し、サルコペニアの指標の一つでもある歩行速度も改善したという。
アミノ酸(BCCA)はスポーツクラブ等でトレーニング中に補給することが、日本のトレーニング者の間では流行している。筋肉増強に有効なことが科学的にも裏付けられていることになる。
また別の研究では、ビタミンDの作用は免疫力の調整と増強だとして、多くの自己免疫との関連性が示唆されている。
今まであまり注目されていなかったビタミンDだが、健康維持にとってうれしい報告や研究が多くなっている。身近なビタミンで、これほどの健康効果があるとは驚きだ。これからも研究・報告に注目していきたい。
引用元
https://isom-japan.org/v14n03/
「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」URL https://isom-japan.org/
参考 静脈経腸栄養Vol28 No.5 高齢者の栄養について考える 高齢者のサルコペニア改善のためには 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 山田 実
論文
Doi:1038/ncprheum0855
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18594491
記事構成/ケンカツ!編集部