
2度の交通事故で体はボロボロだった
私は現在、太極拳や気功などのインストラクターを仕事にしています。でも実は、若い頃に交通事故に2度も遭い、以前は体がボロボロでした。
1度目の事故の後は、無理して中国武術の激しい稽古を続けたため、右ひざが曲げづらくなり、ときどき激痛が走るようになっていました。
そして15年前、2度目の交通事故後には、ひざ痛に加えて、ムチウチや腰痛などにも悩まされるようになったのです。
そんな私を見かねて、太極拳の仲間が「リハビリに役立つかも」と、古久澤靖夫先生が主宰するヨガや整体を組み合わせたブリージングストレッチ本院を紹介してくれました。
そこで、セルフケアとしてさまざまな体操とともに「正座あおむけ」を教わったのです。
正座あおむけは、文字通り、正座の姿勢から上半身を後ろに倒し、あおむけに寝た姿勢にして、両腕をバンザイさせるポーズのことです(基本的なやり方は「正座あおむけ」のやり方参照)。
ひざも腰も悪い私にとっては、難度の高いポーズで、当然のことながら最初はうまくできません。ひざが床からこぶし一つ分、日によってはそれ以上の高さまで浮いてしまうのです。また、太ももの前面が突っ張って痛みました。
ただ、痛めていた右ひざは、突っ張り感はあるものの、つらくなるほどの痛みは感じませんでした。

武術が得意な朝倉さん
あらゆる痛みと無縁!肩こりもない
正座あおむけは、おなかの筋肉のストレッチになるほか、痛みをはじめとする自分の体の状態に集中できるポーズです。
また、事故でゆがんだ私の体を治すのに役立つように感じられました。そこで、ほかの体操とあわせて自宅でも朝晩行うことにしたのです。
私は、正座あおむけの姿勢を作ったら、頭上へ伸ばした両腕を、息をゆっくりと吐きながらひざ側へ倒し、次に息をゆっくりと吸いながら頭上へ戻す、という動作を8~12回ほどくり返しています。こうすると、肋骨が動いてより深い呼吸ができるのです。
こうして、正座あおむけを続けていたところ、つっぱり感や痛みが3ヵ月ほどで気にならなくなりました。
当初は15秒ですらきつかった姿勢の維持も、1分以上維持できるようになりました。
徐々に、しかし確実に、体は変わっていきました。腰痛はすっかり消え、右ひざの痛みもいつの間にか消えていたのです。
おなかの冷えからくる腰痛もなくなりました。以前の私は、冷たいビールを飲んだり冷房などで体を冷やしたりすると、よく腰が痛んでいましたが、今はあらゆる痛みと無縁です。肩もまったくこりません。体のゆがみが解消したと、実感しています。
過剰な食欲が抑えられ太りにくくなった
60㎏前後だった体重は、一時は53㎏まで落ちました(身長は159㎝)。今は55㎏前後で安定しています。
正座あおむけを続けていると余計な食欲がわかないような気がしています。
また、以前の私はおそらく胃下垂ぎみだったのだと思います。食べすぎたりお酒を飲みすぎたりすると、胃の重たい感じがありました。
それも、正座あおむけをすると即効で食べたものが収まるべきところへ収まるような心地よい感じがします。また、多少食べすぎても太りません。
大げさに聞こえるかもしれませんが、この15年で生き方も変わりました。以前の私は、人前で何かをするという行為が苦手でした。そんな私が、今は武術を指導するインストラクターをしているのです。
東洋医学では、内臓の状態と感情は関連していると考えます。私が精神的に積極的になったのは、正座あおむけで肋骨や内臓が引き上がったことと関係があるのかもしれません。
そのほか、煮詰まったときや、夜に寝付けないときにも、正座あおむけが役立ちます。呼吸が深くなり、心身がリラックスするのがわかります。
この先も、正座あおむけをする習慣は続けるつもりです。

毎日の正座あおむけで精神的に積極的になった
肋骨が上がり上半身のひざへの負担が減った(ブリージングストレッチ本指導講師・ブリージング整体師 チンパン)
朝倉さんのように、正座あおむけで太ももの前面が突っ張るかたは少なくありません。
中国医学では、太ももの前面には消化器の状態が表れると考えます。食べすぎの人はこの部位が硬くなりやすく、内臓が下垂している可能性もあります。
内臓下垂によって肋骨が下がると、上半身の重さがひざにのしかかります。朝倉さんも、内臓下垂だったのかもしれません。正座あおむけで改善したのは、肋骨が上がり、ひざや腰の負担が軽くなったからでしょう。また、以前よりも太りにくくなったのは、内臓が上がり、消化力も上がり、食欲が正常に戻ったためだと思われます。