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朝イチで飲む抹茶レモンで脳が活性化!記憶力が改善する効果

朝イチで飲む抹茶レモンで脳が活性化!記憶力が改善する効果

抹茶に含まれるカテキンなどのポリフェノールは、抗酸化力の強い物質であることがわかっています。さらに、レモンの皮に含まれる「ノビレチン」というポリフェノールには、認知症の原因の1つとされている、アミロイドβという物質の脳への沈着を減らす働きがあるという研究結果が出ているのです。【解説】丁宗鐵(医学博士・日本薬科大学学長)

解説者のプロフィール

丁宗鐵(てい・むねてつ)
●百済診療所
東京都中央区日本橋3-15-7 八重洲聖徳ビル4F
03-3271-3400
http://kampochiryou.com/

医学博士。日本薬科大学教授・学長。百済診療所院長。
1947年、東京都生まれ。横浜市立大学医学部で漢方と出会う。その後、北里研究所東洋医学総合研究所、アメリカのスローン・ケタリングがん研究所、東京大学医学部、東京女子医科大学などを経て現職。テレビ東京系『主治医が見つかる診療所』やNHKラジオにて長年レギュラーを務める。著書は『名医が語る親子学: 子どもの体質を知って個性を伸ばす』(明治書院)ほか多数。

抹茶の有効成分が活性酸素を撃退し脳を活性化

 夏バテしやすい季節にお勧めの飲み物が、抹茶にレモン汁を加えた「抹茶レモン」です。

 抹茶とレモンは健康面で相乗効果が得られる組み合わせです。それを説明する前に、まずは、抹茶とレモンそれぞれに含まれる、有効成分について説明しましょう。

 抹茶がほかのお茶と違うのは、茶葉を粉末にしてそのまま飲むので、茶葉の栄養成分をまるごと摂れるところです。

 茶葉の栄養成分として有名なのが「カテキン」です。
 カテキンはポリフェノールの一種で、活性酸素を除去してくれる働きがあります。

 私たちが生きていくには、酸素が必要です。しかし、私たちの体に取り込まれた酸素の一部は、そこで高い酸化力を持つ『活性酸素』に変わります。
 この活性酸素は加齢とともに増え、がん細胞を増やしたり、動脈硬化を引き起こしたり、老化を進めたりといった悪さをします。

 この活性酸素の働きを阻害するのが、抗酸化力です。抹茶に含まれるカテキンなどのポリフェノールは、抗酸化力の強い物質であることがわかっています。

 また、カテキンは、お茶の渋みを感じさせる成分で、これが脳の活性化につながります。
 渋みや苦みというのは、本来、毒の存在を教える味です。ですから、抹茶を口にすると、脳に警告反応が伝わります。

 すると、自律神経(※)が副交感神経優位のリラックス状態から、交感神経優位のアクティブな状態へと入れ替わります。
 その結果、頭がシャキッとして、仕事や家事が捗りやすくなるのです。


※ 意志とは関係なく、体温や発汗、血液循環などの生命維持に欠かせない機能を調節している神経。活動時に活性化する交感神経と、休息時に活性化する副交感神経がある。

抹茶とレモンで認知症に効く成分が溶け出る!

 一方、レモンには、疲労回復に役立つクエン酸が入っています。暑くて夏バテしやすい時期には、ぴったりの果物です。

 さらに、レモンの皮に含まれる「ノビレチン」というポリフェノールには、脳の記憶機能を改善して認知症の発症を遅らせたり、アルコールなどの毒素を分解する肝臓の働きを活性化したりする作用があることがわかっています。

 認知症の中でも最も多いアルツハイマーは、アミロイドβという物質の脳への沈着が原因の1つとされています。
 ノビレチンには、アミロイドβの沈着を減らす働きがあるという研究結果が出ているのです。

 そして、抹茶には、このノビレチンを吸収しやすくする成分が含まれています。
 抹茶をかき混ぜると泡立ちますが、これは「サポニン」という成分によるものです。
 抹茶に含まれるサポニンは、レモンの皮のノビレチンが溶け出すのを助けてくれます。

 ですから、抹茶と輪切りレモンを組み合わせると、ノビレチンを吸収しやすくなります。
 ただし、輸入されているレモンの皮には農薬と防腐剤が使われているものが多いので、薬剤を使っていない国産レモンを使うことをお勧めします。

 また、カボスやスダチ、ユズやシークワーサーといった柑橘類の皮にもノビレチンが含まれていますから、「抹茶カボス」「抹茶スダチ」「抹茶ユズ」として召し上がるのもお勧めです。

 クエン酸による疲労回復効果を高めたければ、抹茶レモンに梅干しを加えるのもいいでしょう。

輪切りレモンを使うとレモンの有効成分が摂りやすい

レモンは皮ごと輪切りにして使うと、皮に含まれるノビレチンが抹茶に溶けて、有効成分が摂りやすくなる。ノビレチンは、認知症予防や肝機能改善などに効果があることがわかっている。

お勧めは朝一番の常温の抹茶レモン

 抹茶レモンを飲むタイミングとしては、午前中か、午後の遅くない時間帯を推奨しています。
 先ほど述べたように、抹茶に含まれるカテキンやカフェインには、交感神経を活性化する働きがあるため、夕方以降に飲むと、興奮して眠れなくなる可能性があります。
 逆に朝一番に抹茶レモンを1杯飲むと、脳がシャキッとして、元気な1日を送れるでしょう。

 また、カテキンはたくさん摂ればいいというものではありません。
 胃腸の弱い人は控えめにすべきですし、抹茶レモンを飲むのは、多くても1日2~3杯程度にとどめておきましょう。

 暑い夏は冷たいものが飲みたくなりますが、冷えは万病のもとです。
昔、抹茶は病気の予防や心臓が悪い人が飲んでいて、薬として中国から日本に伝わったものです。
 さらに、薬はもともと温めて飲むものでした。ですから、抹茶レモンを飲むときは、冷やしすぎず、常温で飲むことをお勧めします。

 抹茶を買う習慣がない人もいると思いますが、わざわざ買ってこなくても、フードプロセッサーやコーヒーミルがあれば、いつも使っているお茶の葉を粉砕して、抹茶の粉末を作ることも可能です。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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