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【即効性】ギックリ腰の治し方 手のツボを「指組み」で刺激 慢性腰痛も改善

【即効性】ギックリ腰の治し方 手のツボを「指組み」で刺激 慢性腰痛も改善

筋肉がこわばると、体を支えている骨格のバランスがくずれて、ぎっくり腰を起こしやすくなります。ぎっくり腰に即効性があるのが、手の甲にある「腰腿点」(ようたいてん)という反射区を利用した「指組み」治療です。この「指組み」のやり方をご紹介します。【解説】内田輝和(鍼メディカルうちだ院長・倉敷芸術科学大学生命科学部教授)

ぎっくり腰は、実は突然起こらない

 重いものを持ったり、体をひねったりした瞬間、ギクッと強烈な痛みが腰に走る、ギックリ腰。中高年になれば、こうした経験がある人も多いのではないでしょうか。

 ギックリ腰は、あたかも突然起こるように見えますが、実はそうではありません。ギックリ腰が起こる要因は、少しずつ作られているのです。
 それは、筋肉疲労や腰の冷えからくる筋肉の過緊張です。筋肉がこわばると、体を支えている骨格のバランスがくずれて、ギックリ腰を起こしやすくなります。

 そのギックリ腰に即効性があるのが、手の甲にある腰腿点を刺激する「指組み」です。
 腰腿点は、昔から中国で使われてきた手の反射区です。手には全身の各部位に対応する場所(反射区)があり、そこを刺激することで、痛みや症状を改善できるのです。

 腰に対応する腰腿点は、手の甲の人差し指と中指の間、中指と薬指の間の2ヵ所にあります。
 手をグッと握ってこぶしを作ってみてください。甲側の指のつけ根の関節が大きく飛び出しますね。この関節の少し手首寄りにある、骨と骨の間のくぼみが腰腿点です。

 ここを指組みで刺激すると、ギックリ腰だけでなく、慢性的な腰痛にも効果があります。
 慢性腰痛のなかでも、特に指組みが効果を発揮するのは、筋・筋膜性腰痛です。これは、主に腰から上が痛くなる腰痛で、腰を曲げると特に痛みます。

 原因は、ギックリ腰と同じように、筋肉疲労や冷えからくる血行不良、筋肉の過緊張です。この慢性腰痛が、ギックリ腰を起こす素地にもなります。

指組みのやり方

ゴルフ中のギックリ腰の痛みがその場で緩和!

 指組みのやり方は、次のとおりです。

❶ いすに腰かけ、両手を組んで指を軽く曲げます。反対側の手の指(人差し指と中指、または中指と薬指)が、腰腿点に当たっていることを確認します。

❷ 手を組んだまま、10秒ほど指で押さえます。

❸ 甲側を上に向け、ひじを伸ばしながら、ゆっくり前屈します。

 ひじを伸ばすと、指に力を入れなくても腰腿点に圧がかかり、刺激が強くなります。
 腰腿点への刺激は、強めのほうが効きます。強い刺激を加えると、脊髄から脳に刺激が伝わりやすくなり、脳から痛みを遮断する指令が届きやすくなるからです。

 痛くて、いすに腰かけることもできないようなら、腰の痛い側を上にして横になり、痛みのある側の手の腰腿点を押すだけでも効果があります。
 腰かけられるようになったら② を行い、体を動かせるようになったら ③ までというように、段階的に行うといいでしょう。

 前屈は、無理のない範囲で、少しずつ行ってください。だんだん体が動くようになったら、左右にねじる運動を加えると、さらに効果的です。
 このようにストレッチと組み合わせることで腰の筋肉の緊張がほぐれ、血行がよくなります。つまり反射区の刺激とストレッチの両方の効果で、腰痛が改善するのです。

 この指組みで、ギックリ腰の痛みが劇的に改善した例があります。Aさん(50代・女性)は、私といっしょにゴルフのラウンド中にギックリ腰を起こしてしまいました。ティーショットの際に腰に激痛が走り、ゴルフどころではありません。
 まだ3ホールめでしたが、Aさんはあまりの痛さに、プレイの続行をあきらめかけていました。しかし、この指組みのやり方を教え、ショットのたびに行ったところ、痛みが和らいで、無事に18ホールを回ることができたのです。

 このように、指組みは即効性がありますが、ふだんから行っていると、慢性腰痛の予防や改善にも役立ちます。その場合、おふろ上がりや、朝、体を動かし始めて血流がよくなったときに行うと効果的です。

解説者のプロフィール

内田輝和
1949年生まれ。倉敷芸術科学大学教授。
関西鍼灸柔整専門学校卒業。鍼メディカルうちだを岡山と東京に開設。
『10秒顔さすりで老眼、近視、緑内障はよくなる』(主婦の友社)など、著書多数。

●鍼メディカルうちだ
http://medical-uchida.com/

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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