精神が安定する!内臓脂肪をへらす!
「1日1食のプチ断食をしたら、かえって太ってしまった」「間食がどうしてもやめられない」「いったんはやせても、必ずリバウンドしてしまう」などなど、ダイエットというものは、なかなかうまくいかないものです。
なぜでしょうか?たいていの場合は、さまざまなストレスが原因といえます。意識しているかいないかは別にして、あまりに忙しかったり、仕事のプレッシャーが大きかったりすると、過食に走ってしまうものです。
これには、自律神経の乱れが大いに関係しています。自律神経は、意志とは無関係に働き、内臓や血管などをコントロールしています。
昼間のアクティブな活動を支える交感神経と、夜の休息の神経である副交感神経の二つがあり、両者が拮抗して働いています。
しかし、仕事に追われて過労ぎみとなり、さまざまなストレスを抱え込んだ現代人は、交感神経が過剰に緊張した状態が続き、自律神経のバランスがくずれています。
すると、食欲をうまくコントロールすることができなくなり、その結果、何度試みても、ダイエットに失敗してしまうのです。
ダイエットに成功するためには、生活態度や心の持ちようが大変重要になってきます。ストレス解消に励み、心の余裕を取り戻さなければなりません。
こうした日常生活の配慮に加えて、いっしょに行うとダイエットに効果的な「耳の刺激法」を紹介しましょう。
刺激する箇所は、2ヵ所あります。
一つは、耳たぶの上部の中央にある「神門」というツボです。
耳の上部にくぼみがありますが、そのくぼみのへりの中央辺りに位置しています。
ただ、ツボの位置を厳密にとらえる必要はありません。
おおよその位置を押さえておけばじゅうぶんです。
神門の辺りに、人差し指や中指など自分でもみやすい指の腹を当てて指圧します。
目安としては、10回くらい指圧しましょう(下写真①)。
神門のツボへの刺激は、自律神経の乱れを正し、交感神経が優位な状態を改善する効果があります。
すると、イライラすることがなくなり、精神が安定します。
すると、過食に走ることがなくなり、食欲をコントロールしやすくなるはずです。
もう1ヵ所は、耳の穴のある中央のへこみにさわってみると、へこみの下部に、コリコリした出っぱりがあります。
ここを人差し指と親指で、表と裏ではさむようにつまんでもみほぐしてください(写真②)。
これも、10回程度を目安に行ってみましょう。
ここを刺激することは、内臓脂肪をへらしたり、消化器全般の働きを整えたりする効果があります。
この二つの刺激は、もちろん左右の耳に行います。
食事の前に行えば、食べすぎを防ぐ効果があるでしょう。

イライラをおさえいつもニコニコしよう
さらに、この二つのツボ刺激と併せて行ってほしい刺激法をご紹介しましょう。
やり方はとても簡単です。
両耳を、両手の人差し指と親指ではさみ、真横に耳を引っぱります。
そうして、引っぱりながら、「ニーッ」と声に出しましょう(上写真③)。
これを行うと、後頭部の緊張がほぐれ、リラックスするのに役立つはずです。
これは、いってみれば、笑う訓練のようなものです。
「ニーッ」と声に出して、いつもニコニコすることを心がけてください。
何年か前、知り合いの中国人から、日本人は「養生」を知らないといわれました。
病気になると、私たちは病院に行きますが、病気になる前に未然に防ぐために行うのが養生です。
多忙で、過労ぎみの日本人は、確かに養生をあまりしていないでしょう。
養生は、体を鍛えることではありません。
体にとって気持ちのよいことをして遊ぶのが養生の基本です。
ここでご紹介した「ニーッ」と声に出して笑う刺激法も、養生のよい方法です。
これを続けて、あくせくしたり、イライラしたりしていた気持ちが落ち着いてくれば、ダイエットにもよい影響を及ぼすことは間違いありません。
解説者のプロフィール

能見登志惠(のうみ・としえ)
とちの実健康倶楽部クリニック医師。
日本東洋医学会漢方専門医、日本麻酔科学会麻酔科認定医。鳥取大学医学部卒業、同大麻酔科入局、同大学手術部から公立豊岡病院麻酔科部長を経て、平成13年に山本記念病院へ。平成17年よりやまびこクリニックを兼務後、平成21年より山本記念会都筑ふれあいの丘クリニック院長、漢方外来や在宅医療を担当。学生時代より東洋医学を探求して、気功歴20年。現在とちの実健康倶楽部クリニックにて、気功体操の指導や講演会にも精力的に取り組む。