解説者のプロフィール

清水百合(しみず・ゆり)
●六本木しみず歯科
東京都港区六本木7-18-13-401
03-3408-8779
六本木しみず歯科院長、日本元気キレイ医歯学研究所代表。
料理食育研究家としても活躍。著書『忙しいあなたのための歯科治癒職』(東京臨床出版)、『アンチエイジング歯科医からの積極的治癒食』(フレグランスジャーナル社)が好評発売中。
口の中の状態が体全体に影響する
私は歯科医師という立場で、健康や美容に役立つ食事や食材について研究しています。
近年、口の中の状態が体全体の健康を左右することが明らかになってきました。
例えば、歯周病は歯ぐきに炎症を起こすだけの病気ではありません。歯周病菌やその毒素は血管へと入り、認知症や心筋梗塞、糖尿病など、命にかかわる病気を引き起こす、とわかってきたのです。
元気に過ごすためには、口内の健康を保つことが必要不可欠です。そのために役立つ食材として、私がお勧めしているのがレモンです。
レモンにはビタミンCやクエン酸、ポリフェノール類がたっぷりと含まれています。疲労回復や生活習慣病の予防、改善など、さまざまな効果が期待できます。
なかでも私が注目しているのが、酸味によってもたらされる効果です。
レモンは酸っぱいので、食べるとたくさんの唾液が出てきます。唾液は口内を健康に保つために、なくてはならないものです。その主な役割を挙げましょう。
①口臭や歯周病の予防
唾液で口内が潤うと口臭や歯周病を予防します
②洗浄作用
口内の汚れを洗い落として、虫歯を防ぎます
③咀嚼や嚥下の補助
食物は唾液と混ざることによって、嚙み砕きやすく、飲みこみやすくなります
④消化を助ける
唾液には消化酵素のアミラーゼが豊富です
⑤味をおいしく感じる
食物の味は唾液と混ざることによって、舌にある味覚に届き、おいしく感じます
⑥免疫力を高める
唾液には細菌の感染から体を守る酵素が豊富です
もちろん健康面だけでなく美容面でもいいことがあります。
特に高齢者は積極的にレモンをとるとよい
レモンといえば、色を白くする、シミを防ぐといった美肌効果が思い浮かびますが、その効果は粘膜にももたらされます。
レモンをとることによって、歯ぐきは健康的なピンク色に。くちびるも潤い、プルプルになります。
また、高齢者は特にレモンを日常的にとるといいでしょう。年を重ねると、唾液の分泌が減り、口内が渇きがちになります。すると、飲みこみにくさや、薬の副作用による味覚障害などでお困りの人もいるでしょう。レモンは唾液の分泌を促すため、そういった悩みの改善にうってつけです。
私自身、レモンが大好きで、ザクザク切って皮ごと料理に入れたり、生果汁を搾って飲み物にしたりして、レモンを活用しています。今回は、簡単でおいしい「レモンミルク」をご紹介しましょう。
美肌のためには日が暮れてから飲む!
作り方は50㎖の牛乳にレモン2分の1個分の生果汁を搾るだけ。簡単ですが、飲むとさっぱりするおいしいドリンクになります。お好みで、大さじ1程度のハチミツを加えると、さらに飲みやすくなるでしょう。
牛乳とレモンは互いの栄養価を高め、弱点を補う相性のいい組み合わせです。
例えば、レモンにはカルシウムを体に吸収されやすい形に変えるキレート作用があります。この働きによって牛乳のカルシウムが吸収されやすくなるので、歯の強化や骨粗鬆症の予防に役立ちます。
一方で、レモンの酸味は胃が弱い人にとって刺激となることがありますが、牛乳には胃の粘膜を保護する働きがあります。胃が弱い人も安心して、レモンをとることができます。
ミキサーがあるなら、レモンの皮も加えるといいでしょう。レモンのポリフェノール類の多くは皮の白い部分に含まれているので、より栄養価が高くなります。
ただし、皮を入れると舌触りにざらざら感が出ます。飲みやすさを考えると、皮は8分の1個分程度でよいでしょう。
このレシピは患者さんやセミナー参加者にもお伝えしていますが、いつも大好評です。
「口の中がさっぱりする」「飲みやすく、疲れも取れた気がする」「元気が出た」「骨や歯が丈夫になりそう」といった声をいただいています。
ただし、とるタイミングには注意が必要です。レモンには紫外線の吸収を促すソラレンという成分が含まれています。
レモン摂取後に日光に当たると日焼けやシミを招く場合があるので、気になる人は日が暮れてからとるといいでしょう。
歯科医がお勧め!レモンミルクの作り方

【材料】(1人分)
牛乳…50ml
レモン…1/2個
ハチミツ…大さじ1

【作り方】
❶レモンを搾る。
❷グラスに牛乳を注ぎ、①を加えてよく混ぜる。
❸甘味がほしい場合は、ハチミツを加える。
◎ヨーグルトのような食感に変わる!

【飲み方】
1日1回、サッと飲み、その後、水で口をしっかりゆすぐ。