たくさんの人にレモンのよさを知ってほしい!
「こんなにおいしいのに、もったいない」
これは瀬戸田町のレモンに初めて出合ったときの感想です。
瀬戸田町は広島県尾道市、瀬戸内海に浮かぶ生口島と高根島という二つの島からなる町です。国産レモン発祥の地であるとともに、国産レモンの日本一の産地でもあります。
レモンといえば、「揚げ物やサラダにちょっと搾ってかけるもの。くし切りにして添えるもの」と、誰もが思っているでしょう。それは、レモンの一大産地である瀬戸田町においてもそうでした。
産地だから、そこら中にレモンがある。だけど、誰もレモンの使い方を知らないし、レモンで料理をしようなんて思いもしない。使い方を知らないから、瀬戸田のレモンのよさをどう伝えていいかもわからない。そんな状況だったと思います。
かくいう私も、お菓子を作るときにちょこっとレモンを使うくらいで、レモンのよさを知りませんでした。
でもあるとき、ハイボール(ウイスキーの炭酸水割り)に瀬戸田のレモンを搾って入れたところ、レモンの香りが高く、すごくおいしくておしゃれな飲み物になったのです。
ああ、こんなにステキな飲み物になるなんて、レモンてすごい! もっとたくさんの人にレモンのよさを知ってほしい。
そう思ったのが7年前です。
実はその2年前から、仕事を辞めて瀬戸田町に移り住み、勝手に瀬戸田町のよさをアピールすることを始めたんです。
そうこうするうちに、柑橘農家を営む夫と知り合って結婚して、今では二児の母でもあります。
いつの間にかレモンの伝道師に!?
こうして大阪生まれ、大阪育ちの私が、瀬戸田のレモンのよさを広めるため、日々の生活の中にレモンをどう使うかを研究して、いつの間にかレモンの伝道師のようになっていました。
最初は島の女性たちに、料理やドリンクにちょこっとレモンを使う方法を紹介して、「レモンを使うと、おいしいものがもっとおいしく、おしゃれになる」ということを知ってもらい、喜んでもらっていました。
人にレシピを聞かれることも増え、より多くの人に伝える手段として、日本最大のレシピサイト「クックパッド」にレシピを投稿したのです。
時代が国産のレモンに注目し始めてくれた背景もあり、クックパッドのニュースで取り上げていただいたり、新聞や雑誌でインタビューを受けたり。NHKの番組でもレシピを紹介していただきました。

「瀬戸田レモンは皮が薄くて果汁がたっぷり!」と長光さん
栄養は皮に豊富なので国産のを使ってほしい
レモンの旬は、10月から翌年の5月くらいまで。いちばんレモンを使いたい夏に、国産のレモンは高価で品薄になります。
レモンは、皮に多くの栄養価が含まれるため、できれば低農薬で作った国産のレモンを使ったほうが安心です。
だからこそ、レモンの旬の時期に「レモン仕事」をして、一年中、レモンを活用してほしいと思っています。
レモン仕事といっても、難しいことは一つもありません。カットしたレモンをそのまま食品保存袋やプラスティック容器に入れて、そこに塩を入れれば「塩レモン」に、砂糖を入れれば「レモンの砂糖漬け」になります。なんなら、搾った後の皮だけを冷凍しておいて、皮だけ使ってもいいのです。
レモンを毎日とるって難しいと思うかもしれませんが、日々の生活にちょこっとプラスするだけで、風味が上がります。
いつもの天ぷらが、いつもの南蛮漬けが、いつもの野菜が、レモンでさらにおいしくなる!というのをぜひ、知ってもらって習慣化してほしいです。
私がこうしてレモン仕事をするようになってから、実は、義理の父の体調がすごくよくなったのです。
義理の父は、糖尿病からくる腎不全で、もう何年も人工透析をしています。私が嫁いでしばらくしてから、レモンの酵素ジュース(砂糖漬けをさらに発酵させたもの)を大さじ1~2杯グラスに入れて、水で薄めたものを飲んでもらっていたのです。すると、1ヵ月ほどした頃、透析の先生から「血液の数値が軒並みすべてよくなっているけど、なにかした?」と言われたそうなんです。
義父は、柑橘農家を営みつつも、これまではレモンを常食することはなかったのですが、今では欠かさずレモンをとるようになりました。
ここから、レモン仕事とその活用レシピをご紹介します。どれもすごく簡単なので、ぜひお試しください。
レモンの砂糖漬け

【材料】(作りやすい分量)
国産レモン…3個(約300g)
砂糖…300g(レモンと同量)
(保存期間は約1年)

【作り方】
❶レモンをよく洗って水気を拭き取り、包丁またはスライサーを使って薄切りにする。

❷①を保存容器に入れ、砂糖をのせる。
❸常温で置いて、砂糖が溶け切ったら冷蔵庫で保存する。

漬けて1年後のレモンの砂糖漬け
【注意事項】
・カビが生えやすいので、レモンや保存容器の水気をしっかりふいておく。
・レモンの種も一緒に漬けるが、食べるときは種は取り除く。
さっぱり!レモンスカッシュ

【材料】(作りやすい分量)
国産レモン…1/2個
レモンの砂糖漬け汁…大さじ2
炭酸水…200ml、ミントの葉…適宜
【作り方】
❶レモンを搾って、果汁をグラスに入れる。レモンの砂糖漬け汁も入れる。
❷炭酸水を注いで、搾ったレモンをのせ、あればミントの葉を添える。
※旬のレモンがない場合は、その代わりにレモンの砂糖漬け2枚を入れる。
夏にピッタリ!さわやか!チキンの南蛮漬け

【材料】(2人分)
鶏もも肉…1枚(200~300g)
塩・コショウ…少々、カタクリ粉…適量
揚げ油…適量
ニンジン…1/3本、ピーマン…1個
Ⓐ白だし…大さじ1、水…100ml
酢…大さじ1、塩…小さじ1/2
Ⓑレモンの砂糖漬け汁…大さじ1
レモンの砂糖漬け(みじん切り)…2枚
【作り方】
❶鶏肉は余分な脂肪を取り除き、一口大に切り、塩・コショウをしてカタクリ粉をつけ、油でカラリと揚げる。
❷ニンジンとピーマンはせん切りにする。
❸Aを鍋に入れ、沸騰したら火を止めて②を入れる。
❹③の粗熱が取れたらBを混ぜる。
❺①を④に漬けてから皿に盛り付ける。
減塩&減糖の酢飯になる!レモン寿司

【材料】(2人分)
Ⓐレモンの砂糖漬け(みじん切り)…2枚
酢…小さじ2、塩…小さじ1/2
チリメンジャコ…大さじ2
ご飯…お茶わん2杯分
【作り方】
❶大き目のボウルにAとチリメンジャコを入れて混ぜる。
❷①に熱々のご飯を入れて、切るように混ぜる。
❸粗熱が取れたら、一口大に握る。
マヨネーズがおしゃれに!レモンのディップ

【材料】(2人分)
むきエビ…4尾、アスパラガス…2本
レモンの砂糖漬け…1枚
マヨネーズ…大さじ1、コショウ…好みで
【作り方】
❶エビは背ワタと尾を取り除き、色が変わるまでゆでる。
❷アスパラガスは塩ゆでして3等分に切る。
❸レモンの砂糖漬けをみじん切りにして、マヨネーズと和える。味を見て、好みでコショウを加える。
❹皿に①と②を盛り、③を添える。
レモン風味のフレンチドレッシング

【材料】(2人分)
レモンの砂糖漬け汁…大さじ1
酢…大さじ2、オリーブ油…大さじ1
レモンの砂糖漬け…1枚
塩・コショウ…適宜、ベビーリーフ…70g
【作り方】
❶レモンの砂糖漬け汁と酢を混ぜ合わせる。
❷①に少しずつオリーブ油を加えながらよく混ぜる。
❸レモンの砂糖漬けをみじん切りにして、②に加え、塩・コショウで味を調える。
❹好みのサラダ(写真はベビーリーフ)に③をかけていただく。
パンケーキにピッタリ!レモンクリームチーズ

【材料】(2人分)
パンケーキ
Ⓐ小麦粉…80g、砂糖…大さじ1〜2
ベーキングパウダー…小さじ1
卵…1/2個、牛乳…70ml
溶かしバター…5g、クリームチーズ…30g
レモンの砂糖漬け汁…大さじ1
レモンの砂糖漬け…2枚
【作り方】
❶ボウルにAを入れ、混ぜる。
❷別のボウルに卵を割り入れ、よく混ぜ、牛乳を加え、①に入れて、泡だて器でざっくり混ぜる。
❸②に溶かしバターを加えて混ぜ、15分ほど休ませる。
❹フライパンを熱して油(分量外)を引き、一度、濡れ布巾で冷ましてから、③をおたま1杯分入れて、弱火で焼く。表面がフツフツと泡だってきたら、ひっくり返して小麦色になるまで焼く。
❺④を皿にのせ、クリームチーズを半量、のせる。
❻みじん切りにしたレモンの砂糖漬けと砂糖漬けの汁の半量を、⑤に添える。
塩レモン

【材料】(作りやすい分量)
レモン…2個
塩…20g(レモンの重量の10%)
レモンのくし切り…1〜2個(レモン果汁大さじ1と1/2分)
(保存期間は約1年)

【作り方】
❶レモンをよく洗って水気を拭き取り、包丁またはスライサーを使って薄切りにして、保存容器に入れる。
❷①に塩を入れて3日ほど置く。1日1回混ぜる。

❸塩が溶けてレモンがトロッとしてきたら、レモンをくし切りにして、香りを移すためレモンの皮目を下にして果汁を搾る。
❹さらに3日ほど置いたら冷蔵庫で保存する。ときどき混ぜるとよい。

■塩レモンはピュレ状にすると便利!
塩レモンは、お肉や魚、野菜にすり込んだり、スープの味付けにちょこっとのせたり、しょうゆに混ぜたりなどの使用が多いので、フードプロセッサーやミキサー、バーミックスなどでピュレ状にしておくと使い勝手がよく、重宝します!
豚バラの塩レモンソテー

【材料】(2人分)
豚バラのブロック…70g
塩レモンのピュレ…小さじ1〜2
コショウ…適宜、パセリ(みじん切り)…適量
【作り方】
❶豚バラを1cm厚さに切る。
❷ポリ袋に豚肉と塩レモンを入れ、よくもみこんで10分おく。
❸フライパンを熱し、②を並べて焼く。肉から脂が出てきたら、少し火を弱め、じっくり焼いて裏返す。
❹③を皿に盛り、コショウを振って、あればパセリを散らす。
さわやかコンソメスープ

【材料】(2人分)
ニンジン…1/4本、タマネギ…1/2個
キャベツ…1枚、ソーセージ…2本
水…300ml
酒(白ワインでも)…大さじ1
鶏ガラスープ(顆粒)…小さじ1
塩レモンのピュレ…小さじ1/4
黒コショウ…少々、パセリ(みじん切り)…適量
【作り方】
❶ニンジンとタマネギは薄切りにする。
❷キャベツは一口大のざく切りに、ソーセージは一口大に切る。
❸鍋に水、酒、①を入れて熱し、沸騰したら弱火にして、鶏ガラスープを加え、15分ほど煮る。
❹③に②を加え、さらに5分ほど煮る。
❺④の火を止め、カップに盛り、ピュレ状にした塩レモンをのせ、黒コショウを振る。あればパセリを散らす。
氷レモン

【材料】(作りやすい分量)
レモン…2個
【作り方】
❶レモンを角切りにする。
❷冷凍保存できる食品袋に入れ、密閉して冷凍庫で保存する。

■搾った後のワタを取って冷凍しちゃおう!
レモンの栄養価の大部分は皮にあります。そこで、果汁だけを使ったときは、レモンのワタを取り除いて、食品保存袋に入れて冷凍しておくことをお勧めします。香りが高く、薬味として大活躍します!
長光さんがほれ込んだ!香り高いハイボール

【材料】(1人分)
氷レモン…5~6個、氷…適量
ウイスキー…好みの量、炭酸水…150ml
【作り方】
❶グラスに氷レモン、氷を入れ、好みの量のウイスキーを加え、最後に炭酸水を注ぎ入れる。
氷レモンの皮の薬味使い

【材料】(1人分)
絹豆腐…1/4丁、万能ネギ…1本
氷レモン(皮のみ)…適宜
【作り方】
❶皿に絹豆腐をのせ、みじん切りした万能ネギをのせる。
❷凍らしたレモンの皮部分を、おろし金でおろし、①に散らす。
※いただくときに適宜、しょうゆやポン酢をかける。
砂糖漬けのレモンで作る!セミドライレモン

【材料】(作りやすい分量)
上記のレモンの砂糖漬けのレモンスライス…20枚
【作り方】
❶鉄板にクッキングシートを敷き、その上にレモンのスライスを並べる。
❷オーブンを100℃に温めて、表裏、各30〜40分焼いて水分を飛ばす。
(レモンの厚さが3mm以上なら、150~180℃で焼くとよい)
❸粗熱が取れたら、ガラスの保存容器に入れて保存する。
長光さんの嫁ぎ先の瀬戸内海を見渡す丘にある柑橘農園