気功教室で毎回必ず行う呼吸法
私は北九州を中心に、長年、気功教室を主宰しています。
現代は、だれでも心と体のバランスをくずしやすいものです。
ストレスから、さまざまな体の不調を招くケースも少なくありません。
気功教室では、体に無理のない運動と、心地よいリラクゼーションを行い、少しずつ元気を蓄積していきます。
教室では毎回、いろいろな運動を行いますが、その中で必ずメニューにあるのが、背骨を揺らしながら深い呼吸をする気功です。
この気功法には、左右に背骨を揺らすものと、前後に揺らすものの二つがあります。
左右に背骨を揺らす気功を行うと、腰痛が改善し、前後に背骨をゆらす気功を行うと股関節痛が改善します。
これらは、「痛み取り呼吸」としてお勧めです。
左右の背骨揺らし

前後の背骨揺らし

❶足を開いて伸ばして座ってください。無理して、限界まで足を開く必要はありません。自分が楽な角度に開きましょう。
❷深い呼吸をしながら、前後に背骨を揺らします。ゆっくり大きく息を吐きながら上体を前に揺らし、吸いながら戻します。
これを5回行います。
❸足をもう少し開いて、同様に5回上体を前後に揺らします。
この前後の背骨揺らしを毎日行っていると、股関節がやわらかくなって、だれでも開脚の角度が大きくなっていきます。股関節がほぐれて、股関節痛も解消していくでしょう。
この前後に背骨を揺らす気功は、片頭痛などにも大変効果があります。東洋医学でいう腎を刺激することができ、全身の血行がよくなって、頭痛が解消するのです。
冷え症や不眠症の改善にも有効!
この二つの背骨を揺らす気功は、どちらかだけを行うのではなく、両方やりましょう。
それぞれの気功を5分ずつ行うとして、併せて10分くらいの運動なので、毎日行っても苦にならないはずです。
両方実行することで、さまざまな健康効果が期待できます。
その一つが、ひざ痛の改善です。
ひざ痛は、腰が痛いとか、股関節が硬いときに、それをかばうために無理な力がひざにかかって、痛みが発症するケースが多いのです。
そこで、前後、左右の背骨揺らしで骨盤や股関節の関節を緩めることで、ひざへの負担が少なくなり、痛みが解消します。
加齢により、腰、ひざ、股関節などの痛みを抱える人が多くなります。
そんな痛みがあると、旅行に行けなくなったり、孫と遊べなくなったりして、生活の楽しみが激減してしまうでしょう。
そこで、この背骨揺らしの呼吸法を行って、痛みを取り去り、生活の可能性をどんどん広げることをお勧めします。

また、深い呼吸とともに背骨を揺らすことで得られる効果は、痛みの解消ばかりではありません。
関節が緩むと、緩んだ部分から気が流れていき、それとともに体が温かくなります。
したがって、冷え症の改善にも最適です。
また、呼吸法とともに背骨を揺らすと、腸の働きが大変よくなります。
そのため、この気功を実行した人の中には、便秘が解消した人が非常に多いのです。
リラックス効果も高いので、不眠症が改善し、ぐっすり眠れるようにもなります。
そして、免疫力が高まるため、カゼをひいても治りやすくなります。
ゆったりと精神を集中することで、さまざまな思いを解放することができます。
そのため、精神的なダメージを受けても、回復が早くなります。
うつにも陥りにくくなるはずです。
体の痛みを取り去り、心身の健康を高めることができるので、皆さんもちょっとした時間を見つけて、ぜひ実行してみてください。
解説者のプロフィール
古屋ネネ(ふるや・ねね)
九州気功協会会長。
❶あぐらをかいて座ります。いすに座って行ってもかまいません。
ゆっくり呼吸しながら、丹田に意識を集中させます。丹田は、へその下にあって、一種の生命エネルギーである気が集まるところです。
❷意識が丹田に集まったら、深い呼吸をしながら、背骨を左右にゆっくり揺らします。
❸そのまま、今度は意識を尾てい骨に集中させてから、背骨を通って上へ移動させます。
へその後ろ、みずおちの後ろ、胸の後ろ、首の後ろと背骨を上がって、頭のてっぺんまで通してください。
そして今度は同様に、背骨の中を通って下に移動させ、尾てい骨まで下ろしましょう。
これを2回行います。
2往復で5分程度です。このように、意識をゆっくり上下に移動させることで、体内の気の通りがよくなります。また、深い呼吸とともに左右に背骨を揺らしていると、腰周りの筋肉がほぐれていき、腰痛が改善してくるのです。