MENU
オクラ水を飲むタイミングは「食前」!血糖値の乱降下を防ぐ効果

オクラ水を飲むタイミングは「食前」!血糖値の乱降下を防ぐ効果

「オクラ水」は、糖尿病対策において優秀な利用法です。当然、糖尿病を治すには生活習慣全般を見直す必要があり、オクラ水だけで治るというわけではありません。しかし、食事療法の一助としては、大いに期待できる飲み物です。【解説】鶴田加奈子(つるた鷺ノ宮クリニック副院長)

解説者のプロフィール

鶴田加奈子(つるた・かなこ)
つるた鷺ノ宮クリニック副院長。
2009年、山梨大学医学部卒業。国立国際医療研究センターや日本赤十字社大森赤十字病院での勤務医を経て、2015年より現職。日本糖尿病学会糖尿病専門医。日本内科学会内科認定医。日本野菜ソムリエ協会認定・ジュニア野菜ソムリエ。女医+(じょいぷらす)所属。糖尿病をはじめとする生活習慣病の治療を、野菜を取り入れた食生活など、生活習慣の実践的なアドバイスを交えながら行っている。

胃の内壁に作用して血糖値の急上昇を抑制!

 私が糖尿病専門医として重要視しているのが、食事療法です。
 私は、まず、食事療法の目安として、血液検査の結果や身長、体重などを考慮して、患者さんに必要なエネルギー(カロリー)や脂質、塩分の摂取量を決めていきます。そして、それを守るためにどんなことができるのか、日ごろの生活習慣を伺いながら、具体的な食事指導を行っています。

 もちろん、糖質制限も重要ですが、腎機能不良のかたを除く多くの患者さんに共通してお話をしているのは、「野菜をしっかり食べましょう」ということです。

 野菜は、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富で、なにより低エネルギーです。たくさんの野菜を使い、脂質や塩分を程よく取り入れながらおいしく食べることは、満足感につながり、食事療法が長続きしやすくなります。
 私は、この「野菜が食事療法の要」という理念から、「ジュニア野菜ソムリエ」の資格を取得したほどです。

 さて、今回の「オクラ水」は、糖尿病対策において優秀な利用法です。当然、糖尿病を治すには生活習慣全般を見直す必要があり、オクラ水だけで治るというわけではありません。しかし、食事療法の一助としては、大いに期待できる飲み物です。

オクラ水については、↓の記事で詳しく紹介されています。

 緑黄色野菜であるオクラは、ほかの淡色野菜に比べて、ビタミンやミネラル、カリウムやβ
カロテンが豊富に含まれています。健康に欠かせない栄養素がまんべんなく含まれていて、美容効果も期待できます。

 そして、オクラのネバネバをもたらす、ムチンやペクチンといった水溶性(水に溶けやすい)食物繊維も見逃せません。水溶性食物繊維を積極的に摂取することは、糖尿病の改善において、非常に有効だからです。

詳しく解説しましょう。
 水溶性食物繊維は、胃の内側にまんべんなく張りき、食べ物が小腸に進むスピードを緩やかにしてくれます。つまり、食べ物が消化・吸収される時間が遅くなるので、血糖値の急上昇を抑えられるのです。

 また、水溶性食物繊維を摂取すると、小腸から出ているインクレチンというホルモンの分泌が促進されます。
 インクレチンは、血糖値が高くなるときに、インスリン(膵臓から分泌される、血糖値を下げる働きがあるホルモン)を出そうと促すホルモンです。このインクレチンが増えれば、インスリンが正常に分泌されるようになるのです。

 また、インクレチンは脳に働きかけて、食欲を抑制する作用があることもわかっています。
 こうして、ネバネバ成分が多く溶け出ているオクラ水を飲めば、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるのです。

朝食の前に飲むと血糖値が上がりにくい

 オクラ水の利点は、摂取のしやすさにもあります。
 野菜の摂取量の目標は、成人1日当たり350gです。そのうち、緑黄色野菜は120gといわれています。数字だけ見ると簡単に感じますが、これだけの野菜を毎日食べるのは、その手間や金銭面を考えると、容易ではありません。

 その点、オクラ水は材料も安価で、手軽に作ることができます。そして、残ったオクラを食べれば、野菜の摂取量の増加はもちろん、水溶性食物繊維とともに、果肉に多く含まれる不溶性(水に溶けにくい)食物繊維をとることもできます。

 食物繊維の摂取量が増えれば、便通改善だけでなく、糖尿病のリスク低下にもつながります。欧州糖尿病学会の医学誌で発表された、3万人を対象にした調査によると、食物繊維を多くとると、2型糖尿病になるリスクが18%低下して、体重のコントロールも良好になることが判明しています。

 また、近年、食後の血糖値の急上昇が動脈硬化を進行させて、脳梗塞や心筋梗塞などによる突然死のリスクを高めると懸念されています。
 実際、ヨーロッパで行われた調査では、血糖値の乱高下がある人は、正常な人に比べて、心筋梗塞による死亡リスクが2倍も高くなるという結果が出ているのです。オクラは、こうした突然死のリスクを減らすためにも役立つでしょう。

 そして、血糖値の乱高下を防ぐためにも、食事の最初に野菜を食べる「先ベジ」を行いましょう。血糖値が最も上昇しやすい時間帯は朝ですが、朝食時に野菜を準備するのは、意外とめんどうです。
 その点、オクラ水なら、前日に漬けるだけなので楽に先ベジを実践できます。また、糖質をたくさん摂取しそうな食事(ビッグミール)をとる前にオクラ水を飲むのもお勧めです。

豊富な食物繊維で血糖値を抑える

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連するキーワード
最新記事
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2020-04-27 10:34:12
腱鞘炎やバネ指は、手を使うことが多いかたなら、だれもが起こす可能性のある指の障害です。バネ指というのは、わかりやすくいえば、腱鞘炎がひどくなったものです。腱鞘炎も、バネ指も、主な原因は指の使いすぎです。痛みやしびれを改善する一つの方法として、「手首押し」をご紹介します。【解説】田村周(山口嘉川クリニック院長)
更新: 2020-03-23 10:16:45
筋肉がこわばると、体を支えている骨格のバランスがくずれて、ぎっくり腰を起こしやすくなります。ぎっくり腰に即効性があるのが、手の甲にある「腰腿点」(ようたいてん)という反射区を利用した「指組み」治療です。この「指組み」のやり方をご紹介します。【解説】内田輝和(鍼メディカルうちだ院長・倉敷芸術科学大学生命科学部教授)
更新: 2020-03-02 10:09:34
慢性的な首のこり、こわばり、痛みといった首の不調を感じたら、早めに、まずは自分でできる首のケアを行うことが大切です。【解説】勝野浩(ヒロ整形クリニック院長)
更新: 2020-02-25 10:06:07
首がこったとき、こっている部位をもんだり押したりしていませんか? 実は、そうするとかえってこりや痛みを悪化させてしまうことがあります。首は前後左右に倒したりひねったりできる、よく動く部位です。そして、よく動くからこそ、こりや痛みといったトラブルを招きやすいのです。【解説】浜田貫太郎(浜田整体院長)
更新: 2020-02-17 10:18:14

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル