解説者のプロフィール

関由佳(せき・ゆか)
内科医。
学生時代から予防医学に興味があり、野菜ソムリエ、味噌ソムリエの資格を取得。
食事で血糖値をコントロールする方法を学び、ダイエット外来や糖尿病治療にそのメソッドを応用し栄養指導を行う。
2013年にニューヨークの料理専門学校に留学し、その後約半年間ミシュラン星つきレストランや精進料理店などでインターン後帰国。
現在は小西統合医療内科で女性のための栄養療法を担当しながら、岡山大学大学院で腸内環境と発酵豆の関係について研究中。
近著は『みるみる痩せる!味噌汁ダイエット』(宝島社)。
健康にとって、食事は「基礎中の基礎」
私は、学生の頃から、
「人はなぜ病気になるのか」という「予防医学」に興味を抱いていました。
また、昔から料理が好きだったので、
「どんなものを食べたら病気にならず、健康でいられるのか」という点にも関心がありました。
しかし、残念なことに、医学部では栄養学の授業はありません。
このまま医師になるのか、それとも料理人になるべきか、
真剣に悩んだこともあります。
けっきょく、卒業後は大学病院の糖尿病科に入り、
薬を使わず、食事や栄養面から、糖尿病など生活習慣病を治していこうと決めました。
しかし、投薬が中心の大学病院では、
すぐに限界がやってきました。
3年後、私は糖尿病専門のクリニックに移り、
食事指導を中心にした治療に、ようやく取り組むことができました。
そこで確信したのは、
健康にとって、食事は基礎中の基礎だということです。
食べ物を変えた人は、血糖値などのデータも確実に改善していきますが、
変えない人にはさらに薬が必要になりました。
発酵食品でアレルギーが軒並み改善
ただ、中には食事を変えても、症状が変わらない患者さんがいました。
アトピー性皮膚炎、じんましん、慢性的な痛みといった、アレルギー性疾患の患者さんです。
サプリメントで栄養を補っていただいても、成果はあがりませんでした。
こうした患者さんに共通していたのが、
便秘や下痢といった排便の不調です。
つまり、腸の状態が悪いということです。
食事を変えても、腸の状態が悪ければ、
食事から栄養を消化吸収できません。
消化力が落ちていると未消化物も生まれやすくなります。
未消化物は、炎症の原因となり、アレルギー反応につながります。
そこで私は、患者さんの腸内環境の改善に取り組み始めました。
目をつけたのが、腸を整える「発酵食品」です。
アレルギー反応を起こしやすい食べ物を減らしつつ、
発酵食品を取るよう患者さんに指導し始めました。
すると、アレルギー性疾患が、軒並み改善していったのです。
食のたいせつさを改めて実感した私は、
料理や栄養の知識を深めたいと思い、
ニューヨークの料理専門学校に留学し、調理技術と栄養学を勉強しました。
このとき、初めて味噌を手作りしたのですが、それが大成功!
それ以来、ますます発酵食品に、
特に味噌を始めとする「発酵豆」の世界にのめり込んでいきました。
発酵あんこの魅力は「シンバイオティクス」であること
「発酵あんこ」も、発酵豆のひとつで、すばらしい利用法だと思います。
発酵あんこの魅力は、それが「シンバオイティクス」であることです。
シンバイオティクスとは、
腸の善玉菌を増やすなど、人体によい影響を与える有用菌と、
そうした菌のエサになる、食物繊維やオリゴ糖などをいっしょに取ることです。
有用菌の整腸作用をより高められる方法として、注目されています。
発酵あんこは、糀に含まれる有用菌や、菌が作り出すオリゴ糖、
アズキに含まれる豊富な食物繊維をいっしょに取ることができる、
シンバイオティクスの好例です。
腸内環境が整えるには、ヨーグルトと食べるといい
お勧めは、発酵あんこをヨーグルトと食べること。
糀の有用菌に、ヨーグルトの乳酸菌が加われば、
腸内環境が整っていくはずです。
発酵あんこは、糀の力で自然な甘みが作り出されています。
糖分には変わりなく過食は禁物ですが、甘さは控えめで、
アズキの食物繊維に血糖値の上昇を抑える働きがあるので、
血糖値や体重の心配をすることなく、安心して甘味を楽しめます。
私自身、発酵豆を毎日食べています。
便通が改善して、肌ツヤもよくなりました。
周りでは、発酵豆を生活に取り入れてから、10kgやせたかたもいます。
中性脂肪やコレステロールの数値が正常になったり、
脂肪肝が改善した例もあります。
毎日の食卓に、
発酵あんこなどの発酵豆があれば、確実に体は変わるはず。
まずは手軽に作れる発酵あんこを試してはいかがでしょうか。

消化力が落ちる原因は「精製糖質」の取りすぎ
消化力が落ちる原因のひとつが、
白砂糖や小麦など精製糖質の取りすぎです。
腸は、過剰な精製糖質を消化しきれず、未消化物が生まれます。
未消化物は、腸に炎症を起こし、アレルギー反応の原因になります。
特に、小麦に含まれるグルテンは消化しづらい上に、
パンやパスタ、揚げ物の衣、調味料にも含まれており、過剰摂取になりやすいもの。
腸が弱っているかたは、まずは精製糖質を少な目にし、消化力を回復させましょう。

未消化物で弱った腸
発酵豆ドクターで料理家の関由佳先生が勧める「発酵あんこ」の使い方
ホウレンソウの白和え

豆腐と発酵あんこを1:1で混ぜて和え衣を作ると、砂糖不使用の白和えができます
甘ずっぱさがクセに!豆ドレッシング

発酵あんこ適量をオリーブオイルで溶き、少量の塩と酢を入れれば簡単ドレッシングの出来上がり。サラダにかけて