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【野球肘のセルフチェック法】医療機関へのかかり方について

【野球肘のセルフチェック法】医療機関へのかかり方について

ひじに痛みがあっても、彼らなりの理由から痛みを口にしたがらない子供や、どこからが「痛み」なのかよくわからない子供は少なくありません。ほうっておくと、子供たちが悲しい思いをします。気持ちに左右されず物理的にひじの不調や問題、痛みを発見するチェック法を紹介しましょう。【解説】山本智章(新潟リハビリテーション病院院長)

野球ひじのセルフチェック法

 ひじに痛みがあっても、彼らなりの理由から痛みを口にしたがらない子供や、どこからが「痛み」なのかよくわからない子供は少なくありません。ほうっておいたり、気がつかなかったりすると、子供たちが悲しい思いをします。

 彼らの不調や変化は、近くで接している保護者がいちばん見つけやすいはずです。ひじに手を当てたり、ひじを動かしたりして、ちょっとでも顔をしかめるようなら、痛みのある可能性があります。

 ただし、「痛いの?」「痛いんだろう?」ときいても、子供たちはなかなか「うん」とはいいません。理由は、先ほどお話ししたように、「休むと試合に出られなくなる」とか「サボってると思われる」と心配しているからです。

 そこで、気持ちに左右されず物理的にひじの不調や問題、痛みを発見するチェック法を紹介しましょう。ひじを問題なく曲げ伸ばしできるか、左右でひじの角度に差はないかをチェックします。

【ひじの関節チェック法】

❶子供を立たせた状態で、手のひらを上に向けて肩の高さで両腕を前に伸ばす
❷パートナーが手首を軽く持ち、下に曲げるようにしてひじを伸ばす。このとき無理に伸
 ばさないよう注意すること
❸視線をひじの高さに置き、ひじから先の角度に左右差がないかを確認する
❹手首を軽く持ち、ひじの高さは変えずに、ひじをゆっくり曲げ伸ばしする。このとき、左右のひじが同じように曲げ伸ばしできるかチェックする

 ひじに痛みや可動域の問題がある場合、①の状態でもひじから先の角度に左右差が出ます。角度がついているほうのひじ(伸びないほうのひじ)に、痛みや可動域を狭める障害の原因があると考えられます。

 ③の状態でも同様のことがいえます。本来、子供のひじは軟らかく、曲げ伸ばししたときに、ひじが反対側(この場合は下側)にも曲がります。この状態で左右差があるかないかを確認してください。

 また、ひじを曲げたときに痛みが発生するケースもあります。ひじを曲げたときに顔をしかめたり、曲がり具合に左右差があったりしないかを確認しましょう。
 このチェックで大切なことは、左右差がないかを確認することです。痛みや問題がある場合、片方の腕だけで行うとしっかり伸びているように見えても、両腕で比べたときに角度に差があることがハッキリします。

 毎日チェックをする必要はありませんが、定期的に行うことをおすすめします。1ヵ月に1回くらい行い、試合が続く時期には少し多めにチェックをしましょう。

 チェックして痛みや問題に気がついたら、前述したように、まずは1週間休んで様子を見ます。復帰して痛みが再発しなければ問題はありませんが、再発した場合は早急に医療機関を受診してください。

 保護者にお願いしたいのは、チェックで問題が見つかっても「なんでいわなかったんだ」などとお子さんをしからないことです。いつごろから、どんなときに、どこに痛みがあったのかをくわしくきき、指導者に報告してお子さんが休みやすい環境を整えてください。

 脅すわけではありませんが、チェックで見つかった野球ひじは、その後の対処しだいでよいほうにも、悪いほうにもころびます。正しい対処法に導くのは大人の責任です。

医療機関へのかかり方

 2007年の「第2回ドカベンカップ(現・新潟地区学童軟式野球新人戦)」で行った検診では、「病院や接骨院などの医療機関を受診したことがありますか」という質問をしました。すると、「痛みがある」と答えた290名のうち、「受診している」と答えたのは7%にあたる20名だけでした(図を参照)。

 残りの93%、270名は「受診していない」と回答しました。つまり、体のどこかに痛みがあっても、ほとんどの子供が医療機関を受診していないのです。

 これは、すでにお話ししたように、「病院へ行くと休めといわれる」など、子供たちの気持ちのうえでの事情もありますが、どのタイミングで、どんな医療機関に行けばよいのかがわからないという理由もあるのではないでしょうか。

 タイミングについては、前述したように、1週間休んで復帰したら痛みが再発した場合には必ず受診してください。また、ひじの外側が痛む場合は、すぐに受診することをおすすめします。

 どんな医療機関にかかればよいのかについては、X線などの設備がそろった整形外科やスポーツ整形外科を受診してください。
 休んでも痛みが再発したり、外側型の野球ひじが疑われたりする場合は、骨や軟骨に障害が起こっている可能性があります。この場合、ひじの可動範囲や曲げ伸ばしのチェック、触診での痛みの有無などだけでは、ひじの状態を正しく判断できません。整形外科やスポーツ整形外科をすすめるのは、X線などでひじの状態を正しく判断し、適切な治療を受けるためです。

 できれば、スポーツ専門の「スポーツドクター」がいるスポーツ整形外科を受診するとよいでしょう。日本体育協会のホームページで、協会に登録しているスポーツドクターを調べることができます。都道府県やスポーツ種目で検索できるのでご利用ください。どうしてもスポーツドクターが近くにいないときは、一般の整形外科を受診しても問題ありません。

 ひじの中の状態を正確に見るためには、ひじを45度に曲げてX線撮影を行います。これはひじ特有の構造のためで、45度に曲げて撮影することで、病変が起こりやすい骨が成長する部分をしっかり見ることができます。また、小学生では左右を比較するような方法でX線撮影を行うことが必要です。

 このような方法でひじの状態を正しく把握することが、その後の治療やリハビリテーション(機能回復訓練)に役立ち、早期復帰につながります。

解説者のプロフィール

山本智章(やまもと・のりあき)
1959年、長野市生まれ。76年、長野県屋代高校入学と同時に野球班に所属。79年、新潟大学医学部入学。準硬式野球部に入部。85年、新潟大学整形外科入局。93年、米国ユタ大学骨代謝研究室。2001年、新潟リハビリテーション病院整形外科勤務。10年、同病院院長。日本体育協会公認スポーツドクター、新潟アルビレックスベースボールクラブチームドクター、新潟市野球連盟副会長、新潟市少年硬式野球連盟医事顧問、野球障害ケア新潟ネットワーク代表。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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