プロフィール

秋元才加(あきもと・さやか)
1988年生まれ。2006年より、AKB48のメンバーとして活躍。2013年にAKB48を卒業後は、女優やマルチタレントとして、映画やドラマ、舞台、情報番組などで活躍している。体づくりやスポーツにも精通しており、ランニングやワークアウトなども積極的に行う。スポーツインストラクターの資格も取得。2018年8月5日より上演のミュージカル『ゴースト』に出演予定。
松宮詩依(まつみや・しえ)
天現寺ソラリアクリニック院長。1979年、東京都生まれ。2006年、昭和大学医学部卒業。昭和大学リハビリテーション科助教、新横浜リハビリテーション病院などを経て、2017年より現職。専門は形成外科、美容外科、リハビリテーション科(筋肉学)、抗加齢科(アンチエイジング)。分子栄養医学認定医、ピラティスインストラクター、マスターストレッチインストラクター。「アンチエイジング・形成美容外科医 松宮詩依 公式サイト」にて、エビデンスに基づいた医療・美容・健康情報を発信している。
女性にこそ筋トレは必要!

松宮詩依(以下、松宮) 秋元さんはAKB48でご活躍されていた頃から、とても引き締まったお体ですね。
秋元才加(以下、秋元) ありがとうございます(笑)。AKB48の頃は、劇場で1日3回公演をやっていて、歌やダンスがトレーニングになっていたんです。
松宮 私も小さい頃からずっとダンスをやっていました。
秋元 えっ、そうなんですか?
松宮 でも、靭帯(骨と骨をつなぎ関節を形成する強靭な結合組織の束)を切ってから地上では踊れなくなり、「エアリアルシルク」を始めました。エアリアルとは「空中演技」のことで、シルク ドゥ ソレイユ(世界中で人気を集めるサーカス団)の種目の1つでもあります。
秋元 天井からつるされた布を使って、空中で行うパフォーマンスですね。医師とエアリアルシルクのパフォーマーという、2つの顔をお持ちだなんてビックリです!
松宮 秋元さんは体のことを深く勉強されていると聞きました。トレーナーの資格も取られたそうですね。
秋元 はい。「美コア」というエクササイズのトレーナー資格を取りました。筋肉があると代謝がアップしてやせやすくなるんですよね。しかも、よい姿勢になるし、肩こり、腰痛、ひざ痛といったこりや痛みのケアにも、筋肉が重要な役割を果たしていることを学びました。
松宮 見た目も内側も若返るんですよ! 「筋肉がつくから筋トレはしない」という女性も多いですが、女性にこそ筋トレは必要です。筋肉は何もしないと年々約1%ずつ落ちていくというデータもありますので、ご自身の筋肉年齢をチェックしておくこともたいせつです。
記事末に簡単に筋肉年齢を診断できる「チェックテスト」をつけました。ぜひ皆さんも筋肉年齢を調べてみてください。
筋肉の細胞には、体の活力をアップさせる「ミトコンドリア」が多いんです。最近では、糖尿病や認知症を防ぐホルモンが、筋肉から出ているという研究があるんですよ!
秋元 うわっ、筋肉ってスゴイ!
体の内側の筋肉を鍛えると腰痛も解消

松宮 特に大事なのが、体幹部の深層筋である「インナーマッスル」を鍛えることです。表側の筋肉は普段から使っています。アンチエイジングやケガの予防には、インナーマッスルを鍛えることが重要なんです。
秋元 そういえば私も以前、腰痛が出ることがあったのですが、インナーマッスルを鍛えてからは痛むことが減りました。
松宮 インナーマッスルが弱いと、ランニングをしたときにひざや足首を痛めます。関節に負担がかかってケガが多くなるんです。筋肉は縮めるだけでなく、伸ばす方向にもついていますが、伸ばす筋肉が働かなくなると、重力に負けて、骨と骨の間が縮んで関節が下がってしまうんです。インナーマッスルを鍛えて、筋肉を引き上げるだけで、ひざや腰の痛みがなくなっていくんです。
秋元さんは普段どんなことをされていますか?
秋元 私はいつも、「今、ここの筋肉を使っているんだ」と意識して体を動かしています。それだけでも、実はじゅうぶんインナーマッスルを鍛えられるんですよね。
「筋トレをしよう!」と力んでも、いつも運動をしていない人や時間のない人は長続きしないんです。だから、日常生活の中でやれる簡単な動作がオススメですね。
私の場合、エスカレーターを使わずに階段を上がります。足を上げるときに腸腰筋(骨盤や背骨を足のつけ根を結ぶ筋肉)を意識するんです。横断歩道で待っている間には、おなかに力を入れます。これだけでも体は確実に変化してくるんですよね。
松宮 使っている筋肉を意識するのは重要ですね! 実は、体にマヒがある人も、リハビリの際に、「ここの筋肉を使っている」と意識すると、筋肉を鍛えやすいし、回復が早いんですよ。
私も「歯磨きしながら太ももの内側の内転筋に力を入れて鍛える」といった「ながら筋トレ」をちょこちょこやっています。
秋元 ながら筋トレでは、何か道具を使うことはありますか?
松宮 最近は小さなトランポリンを使っています。
秋元 最近、家庭用の小さなトランポリンが流行ってますよね(※1)。
松宮 トランポリンの上で跳ねるだけなので、テレビを見ながらでもできますが、これが実はけっこうたいへん。おなかを引き上げないとうまく飛べないので、自然とインナーマッスルが鍛えられますよ。
秋元 確かに。バランスボールもいいですよね(※2)。乗っているだけで体幹のトレーニングになります。
※1、2 インターネット通販で、家庭用トランポリンは4000円程度、バランスボールは1500円程度

筋肉は何歳からでも増やせる!

大阪城で約1時間ランニングした後の秋元さん。ランニングするときも体幹を意識しながら走るそう
松宮 筋肉は鍛えれば、何歳からでも増やせますからね。80歳のかたがスクワットをやって、山登りができるまでになったというケースもあります。
秋元 スクワットはとても効率がいいエクササイズですよね! 太ももには体の中でいちばん大きな筋肉がついていて、ここを鍛えれば、全身の筋肉量がアップします。
松宮 足の大きい筋肉は、大腿四頭筋と言いますが、ここは一度つくと落ちにくいという点でもスクワットはお勧めです。

エアリアルシルクを演じる松宮先生。腕だけでなく、腹筋や背筋も使うので、インナーマッスルが鍛えられる
筋肉のために加工食品は控えめに

松宮 ところで、秋元さんは筋肉をつけるために食事の面で気をつけていることはありますか?
秋元 朝一番に食べるものって、なんだか体がグイグイ吸収しそうな気がするんですよ(笑)。なので、加工食品は食べず、体にいいものを食べるよう心がけています。
松宮 それはいいですね。加工食品は控えめにしたほうがいいです。
秋元 今は、茶がゆと梅干しが基本の朝ごはんで、温かいものを食べて、代謝を上げることを意識しています。おなかの空いていないときは無理に食べず、お白湯だけ、という日もあります。
松宮 秋元さんのように筋肉がついていれば、炭水化物を食べても大丈夫です。筋肉を減らさないためには糖質も必要なんですよ。でも、筋肉が少ない人が炭水化物を取りすぎると、糖質過多になって、脂肪がつきやすくなるので注意が必要です。
秋元 自分の体の筋肉の状態によって、取るべきものって変わってくるんですね。
松宮 そうなんです。私は仕事柄、自分の栄養状態をチェックできるので、足りない栄養素を取るようにしています。お肉も食べますが、食べ過ぎると腸内環境が悪くなるので、お肉だけで必要なたんぱく質を取りきるのは難しいです。そのため、たんぱく質は、大豆やインゲンマメなどが入った植物性のプロテインも補っています。
秋元 筋肉を作るには、たんぱく質を取る食事が基本なんですね。
松宮 今日から筋肉をつけたい人は、太ももの内側に力を入れたりなど、日常でできるごく簡単な動作を取り入れてみてください。

『秋元才加 1st Photobook ありのまま。』
(徳間書店刊・1300円+税)
筋トレでは普段意識しない筋肉を鍛えると効果大(天現寺ソラリアクリニック院長 松宮詩依)
加齢とともに、体を支える筋肉が弱まります。これらのチェックテストは日頃から行うことで、効果的な筋トレにもなります。物を持つ、歩くなどの日常動作で使いやすい筋肉は比較的保たれやすいのですが、意識が行きにくい腹筋、脊柱起立筋(背骨を動かす、姿勢を意識する)、呼吸筋(意識して肺をふくらませてみる)などを、1日数分程度でいいので意識的に動かすと、さらによいでしょう。
1分であなたの筋肉年齢がわかるチェックリスト
