
階段や坂道を下りるとひざがきしむように痛い
私は、若いころに仕事で体を酷使した結果、50代半ばで左ひざを悪くして、半月板の手術を受けました。その後は何事もなく過ごしてきましたが、年を取るにつれて、左ひざが痛むようになってきたのです。
階段や坂道では、下りのときに、ひざがきしむように痛みます。仕事でお客様を案内しているときなどは、ほんとうにこたえます。
また、正座をすると左ひざの裏側に激痛が走るようになり、いつしか正座ができなくなってしまいました。
私の趣味は謡曲(能の詞章を謡うこと)です。謡曲は、教室で教わるときも発表会のときも、正座が原則です。しかし、私は正座ができないため、特別に背の低いイスで謡うことを許してもらっていました。これは、謡曲をする身として情けなく、先生やほかの生徒さんにも申し訳なく思っていました。
もちろん、ひざを治すためにいろいろな病院や治療院に行きました。しかし、治療をしてもらっても、ひざの状態はいっこうによくなりません。
「加齢には逆らえないのか」とあきらめかけていたところ、知人が紹介してくれたのが、石橋輝美先生でした。
最初に治療を受けたときは、正直、「こんな方法でよくなるのかな?」と疑いました。というのも、ひざとは全く関係のない、手の甲を刺激されたからです。しかし、治療が終わってみてビックリ。これまでどんな治療を受けてもできなかった正座が、その場でスッとできたのです。キツネにつままれるとは、まさにこのことです。
そして先生から、自宅でできるセルフケアとして教わったのが、「へそさすり」です。へそさすりは、おなか周りとみずおちをさする簡単な健康法です。
私は、昨年12月からへそさすりを、朝晩の1日2回行っています。おなかとみずおちを手のひらで数分、時計回りに軽くさするだけですが、これまでおなかをさすったことなどなかったので、その気持ちよさに驚きました。
私は、みずおちをさするときに、指を奥に押し込むようにしています。最初のころは、みずおちの奥のほうに、コリコリとしたかたい箇所がありました。それが、へそさすりを続けるうちに、「かたいところはあるかな」と探っても、見つからなくなっています。
しっかりした便が1日2回つくように!
へそさすりで、いろいろな効果を感じています。劇的によくなったのは、便の状態です。
私は、以前から便がやわらかく、下痢のような状態でした。排便の時間帯も回数も、不規則でした。
それが、へそさすりを始めてからは、しっかりと形のある便になり、朝は必ず、そして昼か夜にもう1回と、1日2回出るようになったのです。おならもよく出るようになりました。
謡曲のときも、おなかに力が入るようになり、声を張ったり抑揚をつけたりすることが、以前よりもうまくなった気がします。
また、便やおならがよく出るようになったからでしょうか、おなかが凹み、ズボンやベルトが緩くなってきました。おなか周りがスッキリしたので、腰も軽々と回せます。
さらに、食事がおいしく感じられるようになりました。大食いをするわけではありませんが、とにかく、何を食べてもおいしく感じるのです。おいしく食べられてスッキリと便が出せる生活なんて、かつては想像できませんでした。
そして、肝心のひざの状態ですが、こちらもかなりよくなってきました。階段や坂道を下りるときの激痛はなくなりました。長時間の正座にはまだ不安があるものの、これまで何年経っても変化がなかったことを思うと、短時間でも正座ができるようになったのは、私にとって大きな改善です。
今ではへそさすりが毎日の習慣になり、やらないと気が済まないほどです。不安なく正座ができる日が来ることを期待しつつ、これからもへそさすりは続けていきます。

正座をして謡える!
大腿動脈の血流が改善し、ひざの痛みが軽減(大津接骨院院長 石橋輝美)
おなかの状態が悪いと、軟便や便秘といった腸のトラブルをはじめ、体のさまざまな部位に不定愁訴が現れます。守谷さんの場合、おなかの上部にガスがたまっていました。このため、鼠径部から足に向かう大腿動脈の血流が滞り、ひざに痛みが出ていたと思われます。
へそさすりでおなかを時計回りに刺激することで、おなかの血液と神経の巡りがよくなり、腸の状態が改善しました。このことは、便の状態がよくなり、おならがよく出ることからも推測できます。
また、大腿動脈の血流も改善したことで下半身の冷えやむくみが取れ、ひざ痛という不定愁訴も軽減したのでしょう。