私は梅肉エキスを40年間、作り続けています。試行錯誤と研究を重ね、薬効を最大限に引き出す製法にたどり着きました。
今回、ご紹介するのはその最高峰のレシピです。このレシピには、難関ポイントが二つあります。
一つは、青梅の選び方です。すべての薬草には「今が最も薬効が高い」という旬があり、これを「適期」と言います。
青梅は、5月20日頃(※適期は地方によって異なる。この適期は北九州の場合)から毎日、木から青梅をもぎ取り、種を割って判断します。
種の中には、薄皮に覆われた「仁」があります。この仁は、青梅ができたての頃はゼリー状ですが、しだいに乳白色に変わります。そのときが適期です。
仁が白く硬くなり始め、薄皮に筋が入り始めたら「遅すぎる」ということです。
二つ目は、下準備です。青梅をもぎ取ったその日に、約半日水につけてアク抜きをします。
とはいえ、この二つの条件を満たす青梅を準備するのは、家に梅の木があるとか、農家に知り合いでもいなければ、実際のところ難しいでしょう。
それでも、最高峰の基準を知っておけば、いずれそういう青梅に出合えるかもしれません。まずは、新鮮な青梅で作ってみることをお勧めします。
梅肉エキスの作り方
【用意するもの】
【作り方】

❶できるだけ新鮮な、もぎたての青梅を手に入れ、一晩、水につける。

❷翌朝になったら①の梅をザルに上げ、1度、流水ですすぐ。梅を割り、種と実とに分ける。

❸②の梅の実をジューサーにかけ、液体とカスとに分ける。その後、さらしで作った袋に液体を入れ、さらに漉して液体にカスが入らないようにする(さらしは搾らない)。※ジューサーがなければミキサーで攪拌するか、おろし金でおろし、その後、布巾でこす。

❹③で出来上がった液体を火にかけ、コトコトと煮る。

❺ゆっくりゆっくり混ぜて、時間をかけて煮詰めていく。液体の量が、最初の半量になったら、液体を鍋からボウルに移し、湯せんで火を通していく。

❻しだいに液体が真っ黒になる。ヘラですくったとき、ポトポトポトと落ちる場合は、まだ水分がある証拠。液体の表面がツヤツヤして、自分の顔が映るくらいになり、エキスが糸を引くようになったら完成。

❼煮沸消毒した容器に入れて保存する。

梅のカスの活用法
1)梅漬け
煮沸消毒した瓶に、梅の実のカス、梅の実のカスの3倍量の梅酢を入れ、梅の実のカスの2~3%量の塩を入れる。あれば赤ジソも小さく切って入れる。3ヵ月ほど冷暗所で寝かせたら出来上がり。
2)梅ジャム
ほうろう鍋に、梅の実のカスと同量の砂糖、梅の実のカスの倍量の水を入れて、火にかける。梅の実が透き通ってきて、水分が飛び、練り上がったら完成。
3)梅みそ
煮沸消毒した瓶に、梅の実のカス、みそ、砂糖をそれぞれ1:1:1の割合で入れる。冷蔵庫に入れ、1週間ほどしてなじんだら出来上がり。
青梅
(1kgの青梅からは約40gの梅肉エキスが作れる)
さらしで作った袋
(梅が全量入るくらいの大きさ)
ジューサー
(なければミキサー、またはおろし金)
ほうろう鍋
(なければ土鍋かステンレスの鍋)
ほうろうのボウル
(なければ土鍋かステンレスのボウル)