味は酸っぱいが究極のアルカリ性食品
「梅肉エキス」とは、青梅を搾った汁を長時間煮詰めて、濃縮したもののことです。
日本独自の伝承薬として、古くから「高貴薬」として重宝されていました。
なぜなら、1kgの青梅から取れる梅肉エキスはたったの40gとごくわずか。そのぶん、梅肉エキスの一滴に、青梅10粒分ほどの有効成分がギュッと濃縮されています。そのため、さまざまな症状に卓効があります。例を挙げましょう。
①食中毒・食あたり
強力な殺菌作用で、赤痢菌や病原性大腸菌といった強い細菌をも打ち負かす
②胃もたれ・胸やけ
胃の働きを正常にして、消化吸収を促す
③便秘・下痢
整腸作用があり、便秘と下痢どちらも改善
④カゼ・インフルエンザ
殺菌作用や解熱作用で、感染症を速やかに治癒に導く
⑤疲労感の解消
クエン酸が疲労物質の代謝を促す
⑥高血圧・低血圧
血液をサラサラにして血流をよくして血圧を安定させる
このほかに、肝臓や腎臓の働きをよくする作用や、免疫機能を活性化する作用などもあります。つまり、梅肉エキスは万病に効くのです。
これほど幅広い症状に効くのは、梅肉エキスが究極のアルカリ性食品だからです。
にごった血液を浄化し血行をよくする
食品をpH値(水溶液の性質を表す単位)で分けると、現代の食品のほとんどは、酸性に属しているのはご存じでしょうか。例えば、白米、肉、魚、卵、砂糖は、酸性の食品です。
アルカリ性の食品には野菜や海藻がありますが、食事全体でみると量が少なめで、現代食は酸性に偏りがちです。
酸性に偏った食事は、糖質や脂質が多く、血液がにごります。すると、すべての臓器の機能が低下するので、様々な病気にかかりやすくなります。
また、血行が悪くなるので、体温も下がります。低体温は万病のもとといわれ、内臓の働きの低下やがんなどを招きやすい体質、脳に十分な血液が行き渡らないため、認知症にもなりやすくなるでしょう。このように血液のにごりは、全身に悪影響を及ぼします。
梅肉エキスは、味は酸っぱいものの、強いアルカリ性の食品です。ですから、少量で血液を浄化してくれるのです。
農学博士の忠田吉弘先生の研究によると、梅肉エキスには、血液をサラサラにする「ムメフラール」という成分が豊富に含まれていることがわかっています。ムメフラールは、青梅の果汁を煮詰める過程で生成される物質で、梅干しや梅酒には含まれていません。
薬効を最大限に引き出すには旬のものを使う
私は梅肉エキスを40年間、作り続けています。試行錯誤と研究を重ね、薬効を最大限に引き出す製法にたどり着きました。
今回、ご紹介するのはその最高峰のレシピです。このレシピには、難関ポイントが二つあります。
一つは、青梅の選び方です。すべての薬草には「今が最も薬効が高い」という旬があり、これを「適期」と言います。
青梅は、5月20日頃(※適期は地方によって異なる。この適期は北九州の場合)から毎日、木から青梅をもぎ取り、種を割って判断します。
種の中には、薄皮に覆われた「仁」があります。この仁は、青梅ができたての頃はゼリー状ですが、しだいに乳白色に変わります。そのときが適期です。
仁が白く硬くなり始め、薄皮に筋が入り始めたら「遅すぎる」ということです。
二つ目は、下準備です。青梅をもぎ取ったその日に、約半日水につけてアク抜きをします。
とはいえ、この二つの条件を満たす青梅を準備するのは、家に梅の木があるとか、農家に知り合いでもいなければ、実際のところ難しいでしょう。
それでも、最高峰の基準を知っておけば、いずれそういう青梅に出合えるかもしれません。まずは、新鮮な青梅で作ってみることをお勧めします。
「梅肉エキス」のとり方
梅肉エキスのとり方ですが、直接なめてもお湯で溶いてもおいしくいただけます。お子さんには、お湯に溶いた上に、砂糖で甘味をつけるとより飲みやすくなるでしょう。
病気予防には、1日1回、アズキ粒くらいの量を毎日とることをお勧めします。食あたりや腹痛など、なんらかの症状があるときは、大豆粒1~2個分に量を増やします。
とるタイミングですが、梅肉エキスは空腹で飲むと胃を痛めることがあるので、必ず食後にとりましょう。吐き気があるときも、水1杯を飲んで、胃を潤してからにしましょう。
35年前に私が立ち上げた「薬草の会」の会員さんは、高齢になっても元気で、がんや認知症になる人はいません。
通常、年を重ねるほど血液はにごりますが、会員さんたちは梅肉エキスで日々、血液を浄化しています。だから、若々しくて元気いっぱいなのでしょう。
梅肉エキスは、塩分や糖分が入っていない、純粋な食品です。そのため、だれが飲んでも安心で役に立ちます。
ちなみに、梅肉エキスは賞味期限がなく、何年たっても薬効は衰えません。よい青梅が手に入る機会があれば、まとまった量を作るといいでしょう。
「薬草の会」では毎年30~100㎏の梅を使って作る