世界中から注目を集めた「エゴスキュー体操」
皆さんは、痛みや病気を治すために生まれた運動療法があることをご存じでしょうか。
それが、今世界中で大人気の「エゴスキュー体操」です。
この体操の考案者は、ピート・エゴスキュー氏。
彼は、米国カリフォルニア州サンディエゴに開設した自身のクリニックで、痛みや病気を根治させることを目的に、この体操の指導を始めました。
これまでの約40年間で、数十万人のアメリカ人がエゴスキュー体操を実践。
腰痛、ひざ痛、肩こりなどの痛みや、病院の治療でも改善しなかった病気や症状を奇跡的に回復させているのです。
ゴルフの帝王として知られるジャック・ニクラウスをはじめ、メジャーリーガーやハリウッドスターが、こぞってこの体操を実践したことでも世界中から注目を集めました。
私は、8年ほど前にこの体操と出合いました。
当時の私は、ひどい腰痛に悩まされていました。
あらゆる治療を試しても腰痛が治らずあきらめかけていたときに、このエゴスキュー体操を知ったのです。
実践してみると、あれほどつらかった腰痛がどんどん軽くなっていきました。
これに衝撃を受けた私は、エゴスキュー体操の本部があるアメリカに渡ってセラピストの資格を取得しました。
帰国後は、体操の指導や、日本の運営組織の仕事に携わるようになったのです。

ピート・エゴスキュー
身体構造の機能について長年研究を重ね、その成果をもとに、1978年「エゴスキュークリニック」(米国カリフォルニア州)を開設。その独特な運動療法は、「ゴルフの帝王」ジャック・ニクラウス、「カリスマコーチ」アンソニー・ロビンス、メジャーリーガー、ハリウッドのスターなどが、痛みや病気の治療法としてこぞって実践していることで知られる。
筋肉が本来の動きを取り戻す
病院やクリニックでの運動療法として、エゴスキュー体操を取り入れている医師も少なくありません。
内科医や痛みの専門医が、ギックリ腰、股関節痛、脊柱管狭窄症などの患者さんにこの体操を勧めています。
その結果、痛みが消えたという報告事例が私の元に届いています。
もちろん私も、エゴスキュー体操で痛みや症状が劇的に改善した例をたくさん目にしています。
なかでも印象深いのが、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症と三つもの病気を併発し、その痛みと闘っていた50代の看護師さんの例です。
この女性は、腰の痛みで寝たきりも覚悟したときにエゴスキュー体操を始めました。
体操を2ヵ月間続けたところで、骨が「ポキポキ」と音を立てて動いたのがわかったとか。
それがきっかけで、ゆがんでいた骨格が元に戻り、腰の痛みが和らいでいきました。
1年後には腰の痛みがすっかり消え、登山ができるまでに回復したのです。
現在も元気な日々を過ごされています。
そんなエゴスキュー体操には、何種類ものメソッド(方法)があります。
今回はその中から、寝た状態から足を上げるだけで腰痛、ひざ痛、股関節痛などの痛みを和らげる「寝るだけ体操」をご紹介しましょう。
「寝るだけ体操」のやり方は、とてもシンプルです。
まず、あおむけに寝て、両足をイスや台の上に乗せます。
このとき、ひざの角度は、できるだけ90度にするよう心がけます。
ひざの幅は、握りこぶしを横にして一つ分(約10センチ程度)にします。
両腕は、体側から45度の角度に開いて手のひらを上に向けます。
この姿勢を、リラックスし、らくに呼吸をしながら5分間保ってください。
「寝るだけ体操」に限らず、エゴスキュー体操をすると、日常生活で使われていない筋肉が目覚め、本来の動きを始めます。
正しく使われていない筋肉は、骨格をゆがませ、そこから痛みが生じるのです。
自然に痛みが軽くなる!
エゴスキュー体操では、日ごろ使われていない筋肉、または不自然に使われ過ぎている筋肉に「動き」という刺激を与え、元の動きを思い出させ、活発に動くようにさせます。
その結果、動きの悪くなっていた筋肉が、不自然に引っ張っていた骨や関節の位置を、元の位置に戻し、体全体のゆがみを解消に導きます。
「寝るだけ体操」も、寝て足を上げるという動作で、ふだん使わない骨盤周りや股関節の筋肉が刺激されます。
この刺激をくり返すことで、筋肉が目覚め、骨格が元に戻れば、自然に痛みが軽減していくでしょう。
ぜひ、この機会に「寝るだけ体操」にトライしてみてください。

解説者のプロフィール

水野加津人(みずの・かずと)
エゴスキュージャパン代表
●エゴスキュー・ジャパン
http://egoscuejapan.com/