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慢性痛やしびれの根本原因「トリガーポイント」の探し方と押し方

慢性痛やしびれの根本原因「トリガーポイント」の探し方と押し方

お尻の周辺にトリガーポイントがある場合は、腰痛、ギックリ腰、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、座骨神経痛などと診断されるような痛みやしびれが起こることが多いでしょう。肩甲骨の周辺の筋肉にトリガーポイントがある場合は、首の痛み、肩こり、頭痛、手のしびれが現れます。【解説】斉藤究(さいとう整形外科リウマチ科院長)

痛いけど気持ちのよいところ

全身に発生する痛みやしびれの大部分は「トリガーポイント」が発している、と言われています。
まさに、私たちの体に現れる痛みの「親玉」です。

だからこそ、このトリガーポイントを効率よく刺激することが、全身のあらゆる痛みの改善につながっていくのです。
トリガーポイント療法を始めるにあたり、まず最初にすることは、自分の痛みの原因となっているトリガーポイントがどこにあるのか、探すことです。

トリガーポイントは、一度できると別の場所に次々に転移する性質があり、一度に複数のトリガーポイントが見つかることも珍しくありません。
筋肉の流れに添い、1ヵ所ずつ丁寧に探していくことが大切です。

トリガーポイントの探し方から説明しましょう。
まず、日ごろ痛みやしびれを感じる付近に、効き手の親指の腹を当ててください。

次に、親指の腹を当てた辺りに、筋肉のしこりがないかを探します。
そして、当てた指を皮膚から離さず、皮膚の下にある筋肉を触るように皮膚を「ずらす」とよいでしょう。

「しこり」と言うと、コリコリした硬いもの、というイメージかもしれませんが、石のように硬くはありません。
手の母指球(親指の下のふくらみの部分)に力を入れたときくらいの硬さをイメージしてください。

しこりが見つかったら、そこを押してみましょう。
痛みがズーンと響くところが目安です。

「あ~、そこそこ」と、思わず声が出てしまう、痛いけど気持ちのよいところがトリガーポイントです。
背中や腰、お尻など、手の届かない場所のトリガーポイントを探すときは、フェイスタオルを硬くしばった「タオル玉」がお勧めです(詳しくは別記事「「トリガーポイント」を自分で刺激する「タオル玉」の作り方」参照)。

あお向けに寝た状態で、タオル玉を肩甲骨や背中、お尻などの下に置き、タオル玉の位置をずらしたり、体の位置をずらしたりしながら響くところを探し当てるといいでしょう。

トリガーポイントはまずふくらはぎから探せ

自分でトリガーポイントが見つけられないという人もいるでしょう。
その場合は、トリガーポイントが発生しやすい、好発部位から刺激してみることをお勧めします。
「肩甲骨の周辺」「お尻の周辺」「ふくらはぎの周辺」が、トリガーポイントが発生しやすい部位です(下図参照)。

肩甲骨の周辺には、僧帽筋や肩甲挙筋、棘下筋といった、背骨や肩や腕を支える筋肉があります。
これらの筋肉にトリガーポイントがある場合は、首の痛み、肩こり、頭痛、手のしびれが現れます。
肩甲骨周辺を丁寧に押してみて、痛みが響いて広がるところを見つけてください。

お尻の周辺には、小殿筋、中殿筋、大殿筋、梨状筋などがあります。
ここにトリガーポイントがある場合は、腰痛、ギックリ腰、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、座骨神経痛などと診断されるような痛みやしびれが起こることが多いでしょう。
お尻の周辺を丁寧に押してみて、痛みが響いて広がるところを見つけてください。

ふくらはぎの周辺には、腓腹筋やヒラメ筋といったアキレス腱につながる筋肉があります。
ここにトリガーポイントが発生すると、腰痛、ひざ痛、足首の痛み、アキレス腱の痛みなどが現れます。

トリガーポイントが発生しやすい部位の中でも、とりわけふくらはぎが要注意です。
上半身、下半身を問わず、どこかに痛みがあるときは、最初にふくらはぎの周辺を押して、筋肉の硬いしこり、トリガーポイントを探してみるといいでしょう。

トリガーポイントが発生しやすい場所

古い血液を排出し新しい血液を入れる

トリガーポイントが見つかったら、その場で速やかにほぐしましょう。
まず、片方の手の親指の爪の上に、もう一方の手の親指の腹を重ねて、トリガーポイントの上に置きます。

そのまま、奥のほうに響かせるように、30秒ほど指をギューッと押し込んでください。
複数のトリガーポイントが見つかった場合は、1ヵ所ずつ押していきます。

1分程度押せば十分です。
このように、トリガーポイントを指で持続的に圧迫することで、筋肉のしこりがほぐれます。

押すことで筋肉の中の古い血液を排出し、離すことで新しい血液が入る、というイメージです。
それが、痛みの改善へとつながるのです。

手の届かない場所への刺激は、タオル玉を利用しましょう。
タオル玉の結び目をトリガーポイントに当て、自分の体重を利用して刺激を加えます。

タオル玉の結び方を硬くしたり、緩くしたりすることで刺激の強弱を調整できます。
ご自身でトリガーポイント療法を行う場合、注意してほしいことがあります。

トリガーポイントを刺激することに加えて、日常生活の姿勢と動作を見直すことです。
前述のように、トリガーポイントの発生原因は、慢性の筋疲労(筋肉痛)が大きく関与するからです。

いくら的確にトリガーポイントを刺激しても、同じ姿勢や動作を続ければ、また筋疲労からトリガーポイントが生まれます。
慢性痛の人ほど時間を要するので、痛みが軽減するまで、気長にトリガーポイントをほぐすようにしましょう。

解説者のプロフィール

斉藤究
さいとう整形外科リウマチ科院長。
1999年、国立浜松医科大学卒業。東京災害医療センター救命救急、刈谷総合病院整形外科、名古屋医療センター整形外科リウマチ科、同卒後教育研修センター指導医、米国Los Angeles Veterans Affairs hospital留学を経て、2011年、名古屋市に開院。トリガーポイント療法を積極的に治療に取り入れている。日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医。MPS研究会会員。著書に『教えて!救急整形外科疾患のミカタ』がある。

●さいとう整形外科リウマチ科
名古屋市名東区平和が丘1丁目10番地
TEL 052-776-3110
https://saito-seikei.jp/

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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