ふだんの歩き方をかかと体重に変えるだけ
プライマリーウォーキング®の特徴は、かかと体重®で、脚を後ろに残して歩くということです。
行進歩行のように脚を前に上げることを意識すると、腸腰筋(股関節を曲げるための深部にある筋肉)を緊張させて使うため、筋肉が疲れて、腰が丸まってしまいます。
すると、ひざや股関節に負担がかかり、ゆがみや痛みを引き起こしてしまうのです。
一方、プライマリーウォーキングは、脚を前に上げるのではなく、後ろに残すことによって、腸腰筋を伸ばして使うので、負担をかけません。
その結果、腰が丸まることがなく、腰痛やひざの変形が起こりにくくなり、痛みも改善されるのです。
余計な力をかけずに歩くので、長く歩いても疲れにくくなります。
筋力が弱い人でもコツがわかれば、すぐに歩けるようになるでしょう。
プライマリーウォーキングを続けると、早い人だと2週間で体が変わります。
ふだんの立ち方と歩き方をかかと体重に変えるだけで、体の痛みやゆがみがなくなるので、ぜひ次の立ち方から実践してみてください。
かかとに体重をかけてまっすぐに立つ
プライマリーウォーキングは、立ち方から始まります。
まずは、重心をかかとの上に乗せてまっすぐに立ちますが、これが自然にできている人はほとんどいません。
特に、日本人は胸板が薄く、肩関節が前に落ちて、ネコ背になっている人が多いので、前傾姿勢になりがちなのです。
靴下の前半分が破けやすい、足裏の前の部分にタコができるといったことはないでしょうか?これは、重心が前にかかっていて、つま先体重で歩いているから起こることです。
また、内またで歩くと、O脚になったり、股関節やひざの変形につながったりします。
プライマリーウォーキングでは、つま先を片足30度(合計60度)外側に向けて立ち、歩くのが基本です。
「まっすぐ立ってください」と言うと、胸を張る人がいますが、背中や腰が反ったり、肩周りに力が入ったりした状態では、上半身の血流が悪くなります。
上体を脚の上に楽に乗せるようにしましょう。
「かかと体重」の立ち方

ひざを前に出さずつま先を外側に向けて歩く
かかと体重で立ったら、いよいよ、プライマリーウォーキングのスタートです。
最初に、片脚のひざから下を後ろに上げます。
このとき、ひざが前に出ないように気をつけてください。
そして、上げた脚を前にまっすぐ伸ばします。
このときもつま先が立った姿勢のときと同じ、片足30度外側に向けるのを意識しましょう。
着地は、かかととつま先を自然に地面に落としますが、やはりつま先は外側に向けたままです。
着地した足のかかとに体を乗せたら、反対側の脚も同様に、ひざから下を後ろに上げて、進んでいきます。
腕は勝手に振られるので、意識する必要はありません。
また、歩幅は広くとらず、自然な歩幅で歩きます。
急いでいるときは、歩幅を広くするのではなく、ピッチをアップして進んでください。
最初のうちは太ももを手で押さえて、ひざを前に上げない歩き方を意識するのもいいでしょう。
また、1歩目でひざを前に出さないことに慣れるため、ひざを後ろで直角に曲げて、片脚立ちの練習をするのもお勧めです(下の写真参照)。
かかと体重歩きの方法とコツ

筋肉痛は脚を正しく動かせている証拠
さらに、かかと体重のコツをつかむまで、かかと歩きを5歩ほど行い、体重をかかとの上にかけて歩く方法を、体に認識させるのも効果的です(下の写真参照)。
プライマリーウォーキングで唯一、意識する筋肉は、太ももの後ろの筋肉(ハムストリングス)です。
初めてプライマリーウォーキングを行ったときには、太ももの後ろが筋肉痛になる人がいますが、それは脚を正しく動かせている証拠ですので、心配はいりません。

日常生活でもかかと体重を意識して
歩くときはもちろんのことですが、座っているときにもかかと体重は意識してください。
床に脚がつかない椅子に座っていると、太ももの後ろ側の血管やリンパ管が圧迫され、むくみの原因になります。
かかとが床にしっかりつくよう、椅子の高さを調節しましょう。
また、横座りは、骨格のゆがみにつながるのでNGです。
プライマリーウォーキングは、歩く距離や強度を競うような運動プログラムではありませんが、ふだんの立ち方、歩き方をかかと体重に変えるだけで、驚くほど体が変わり、代謝や機能もアップして、健康になれます。
「鍛えない・頑張らない・力を入れない」をモットーに、ぜひ続けてみてください。
解説者のプロフィール

岡本啓司
一般社団法人プライマリーウォーキング指導者協会会長、岡本流身体調整研究所代表。鍼灸師、整体師、トレーニング運動指導士。28年以上の治療と研究を元に、筋力を使わずに効率よく歩く「鍛えない・頑張らない・力を入れない」全く新しい理論の「プライマリーウォーキング®」を創案・提唱。2010年、プライマリーウォーキング指導者協会を立ち上げ指導者の育成にも力を入れている。その美容・運動・医療効果が注目され、今では健康施設や企業、医療機関でもとり入れるところが増えている。
●岡本啓司オフィシャルサイト
http://keiji-okamoto.com/primarywalking/