「もっと食べたい!」が自然に抑えられる
「糖質を減らす生活を続けたら、逆に調子が悪くなった」という声を聞くことがあります。原因の多くは、極端な糖質減らしと、必要な栄養素の摂取不足です。やみくもに糖質を減らすだけでは、健康になれません。最低限の糖質は取りつつ、必要な栄養素もあわせて取ってください。
必要な栄養素①たんぱく質
たんぱく質は筋肉や骨、皮膚や臓器、血管や血液、ホルモンや神経伝達物質、酵素などの材料です。材料が不足すれば、筋肉や骨、皮膚や臓器の新陳代謝が滞り、健康ではなくなります。神経伝達物質が減れば、精神不安につながります。筋肉が減り基礎代謝が落ちると、やせにくく太りやすい体になります。
日本人の大半は、たんぱく質不足です。体に必要なたんぱく質の摂取量は、体重1㎏あたり1日1.6g。体重50㎏の人なら、1日80gのたんぱく質が必要です。
肉や魚は正味量の約20%がたんぱく質ですから、1日に合計400gの肉や魚を食べれば、80gのたんぱく質を補うことができます。3食に分ければ、1食あたり25〜30g程度のたんぱく質(肉や魚なら120〜150gに含まれる量)を摂取すればOKということです。
肉や魚の他には、卵や大豆といったたんぱく源も、積極的に食事に取り入れましょう。
たんぱく質が消化吸収されるときに、食欲を抑えるホルモンが分泌されることがわかっています。たんぱく質を摂取すれば、「もっと食べたい!」という欲求を、自然に抑えられるでしょう。
必要な栄養素②食物繊維
糖質を減らすとなれば、主食を減らすことになりますが、主食は食物繊維も含んでいます。食物繊維が不足すると、便秘になりやすいです。
主食を減らす分、食物繊維が多い海藻やきのこ、葉野菜を取りましょう。便秘予防はもちろん、食物繊維には、糖質の吸収をゆるやかにして、食後高血糖を抑える作用もあります。
糖質減らしが無理なく続く食事と栄養の秘訣


適量の糖質を食べながら、たんぱく質と食物繊維を取れば、血糖値スパイクを防止でき、健康効果が高まります。そこで、手間なくできて冷蔵庫にストックしておける、たんぱく質と食物繊維の作り置きレシピを紹介します。作り置きレシピをうまく活用して、心も体も元気に毎日を送りましょう。
たんぱく質の作り置きレシピ

レシピ1 ゆで鶏(冷蔵保存で4〜5日)

【材 料】
・鶏胸肉…1枚(約200g)
・塩…小さじ1
【作り方】
鍋に鶏胸肉がかぶるくらいの水と塩を入れ、沸騰したら鶏胸肉を入れて蓋をし、火を止める。そのまま冷めるまで置き、ゆで汁ごと保存容器へ
肉類の中でも、鶏胸肉に含まれるたんぱく質の量はトップクラスです。また、鶏胸肉には疲労の原因となる乳酸の分解を促進する「イミダゾールジペプチド」というアミノ酸が豊富に含まれており、疲労感を軽減する効果が報告されています(斎藤)
ゆで鶏のアレンジレシピ3品

《鶏めし》
【材 料】
・裂いたゆで鶏…適量
・ご飯…7分目
・わさび…適量
・しょうゆ…適量
【作り方】
ご飯の上にゆで鶏、わさびをのせ、しょうゆを2〜3滴たらす

《鶏トマト》
【材 料】
・裂いたゆで鶏…適量
・トマト…1個
【作り方】
トマト1個をひと口大に切り、ゆで鶏をのせ、好みのドレッシングをかける

《鶏だしスープ》
【材 料】
・ゆで汁…1カップ
・塩・しょうゆ…適量
【作り方】
ゆで汁を温め直し、塩、しょうゆで味つけする
レシピ2 ポン酢味玉(冷蔵保存で4〜5日)


【材 料】
・卵…5個
・ポン酢…100ml
【作り方】
鍋に卵を入れ、かぶるほど水を入れ沸騰したら、弱火で7分ゆでる。冷水で冷やしながら皮をむく。ジッパー付きの保存袋や容器に卵とポン酢を入れて密閉し、冷蔵庫で半日以上漬ける
卵は良質なたんぱく源ですが、コレステロールが心配という声を聞きます。しかし、近年の研究で、食事から得るコレステロールでは、血中のコレステロール値は変わらないことがわかっています(斎藤)
レシピ3 サバピーマン(冷蔵保存で4〜5日)


【材 料】
・サバ味噌煮缶…1缶
・ピーマン…4個
・ゴマ油…大さじ1
【作り方】
ピーマンを細長く切る。フライパンにゴマ油を熱し、ピーマンを炒める。サバ味噌煮缶を加えて、水気がなくなるまで炒める
サバなど青魚には、動脈硬化やアレルギーを防ぐと言われる「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれます。サバ缶1缶で、1日に摂取すべきオメガ3脂肪酸の目安量を取ることができます(斎藤)
食物繊維の作り置きレシピ
レシピ4 エノキワカメ(冷蔵保存で4〜5日)


【材 料】
・エノキ…1袋
・乾燥ワカメ…大さじ2
【作り方】
エノキは石づきを除き、食べやすく裂く。ワカメは水に戻しておく。湯を沸かし、エノキとワカメをさっと湯に通し、ざるにあけ、よく水を切る。エノキとワカメを調味料と混ぜて完成
海藻は、他の食品と比べて、食物繊維が含まれる量が多いので、積極的な摂取をお勧めします。酢も血糖値の上昇を抑えてくれます(斎藤)
レシピ5 アボカド玉ネギ (冷蔵保存で4〜5日)


【材 料】
・アボカド…1個
・新玉ネギ…1/2個
・レモン汁または酢…大さじ2
・オリーブオイル…大さじ2
・塩…少々
【作り方】
アボカドは皮をむき、食べやすい大きさに切る。新玉ネギはスライスして10分水にさらす。調味料は混ぜておく。保存容器にアボカド、玉ネギの順に入れ、調味料を回しかけ蓋をして冷蔵保存
アボカド1個に、ゴボウ1本分相当の食物繊維が含まれており、便秘予防に最適です。抗酸化作用のあるビタミンEが豊富なアンチエイジング食材でもあります(斎藤)
レシピ6 手間なし大豆レシピ

《ココア豆乳》
【材 料】
・無調整豆乳… コップ1杯
・ココアパウダー(無糖)…大さじ1
【作り方】
豆乳にココアパウダーを入れスプーンでよくかき混ぜる
大豆に含まれるイソフラボン、ココアに含まれるカカオポリフェノール、どちらも美容効果が期待できます(斎藤)

《アマニ納豆》
【材 料】
・納豆…1パック
・アマニ油…大さじ1
【作り方】
納豆にアマニ油をかけて混ぜる
納豆に含まれるナットウキナーゼには血栓を溶かす作用があります。血流をよくするオメガ3脂肪酸のアマニ油をかけて食べましょう(斎藤)
作りおきレシピを活用した1日の献立例

監修者のプロフィール

斎藤糧三(さいとう・りょうぞう)
医師。日本医科大学を卒業後、産婦人科医に。日本機能性医学研究所所長、一般社団法人日本ファンクショナルダイエット協会副理事長、サーモセルクリニック院長。食物過敏症検査(通称:遅延型フードアレルギー検査)をいち早く導入し、腸内環境の再生によってアレルギーなどの慢性疾患を根治に導く次世代型医療・機能性医学を日本に紹介、日本人として初めての認定医になる。