
掃除と片づけにまとまった時間はいらない
「毎日時間に追われて、片づけにまで手が回らない!」「家がすぐ“カオス”になる!」「効率よく家事をすませたい!」掃除や片づけ、家事に関して、こんな悩みを抱えているかたは、非常に多いようです。
私は知的家事プロデューサーとして、日々の家事を効率化できるさまざまなメソッドを、メディアやセミナーなどでご紹介しています。
家事効率がよくなると、「めんどうな家事」も、気軽に、気楽に、ごく短時間で取り組める「楽しい家事」に変わります。
家事の中でもとりわけ、掃除や片づけに、多大な時間と体力・気力を費やしているかたは少なくありません。
でも、掃除や片づけが効率よくこなせる状況、すなわち「勝手に片づく」状況を整えられれば、掃除や片づけに、まとまった時間はいらなくなります。
掃除や片づけに時間がかからなくなると、余った時間を自由に使えます。
仕事や趣味に励んだり、家族と豊かな時間を過ごしたりするのもいいですね。
ゆっくり休むことも可能です。
おおげさに聞こえるかもしれませんが、家事を時短できると、驚くほど、毎日が幸せになります。
と言っている私自身も、昔は家事が苦手で、掃除も片づけも大嫌い。
家は年じゅう散らかりっぱなしでした。
当時の私は会社員でしたが、疲れて仕事から帰ってきて、片づいていない部屋を見ると、リラックスするどころか、余計に疲れてしまいます。
帰宅して、ゆっくり休みたくても、部屋が散らかっていたり汚れていたりしたら、気が休まりません。
家が散らかり放題で、夫があまり帰ってこなかった時期もあります。
家が散らかっているせいで、イライラしてしまったり、家族と険悪な雰囲気になってしまったりという経験は、皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。



空間が片づくととてつもなく心地がいい
さて、「勝手に片づく家」とはどんな家だと思いますか?その特長は2つ。
「散らからない」こと、そして「汚れない」ことです。
まず「散らからない」から考えてみましょう。
モノが散らかる大きな原因は、持ちすぎているからです。
自分に合う量(=ストレスなく管理できる量)、家に合う量(=ゆったり収納できる量)を保てていれば、散らかることはなくなり、家の中で「見つからない!」「あるのかないのかわからない!」とイライラすることがなくなります。
ただし、注意していただきたいのですが、これは「モノの減量化」をしましょうという話ではありません。
最低限の所持品になるまで「捨て続ける」「減らし続ける」ではなく、あくまで「暮らしやすい適量にし、その量を保つ」のです。
実は私が、掃除や片づけへのネガティブマインドをなくし、家事が好きになれたのは、この「適量」の心地よさを知ったのがきっかけです。
それは台所の、コンロの脇の1段の引き出しでした。
台所でいちばんよく開閉する引き出しにもかかわらず、モノが入りすぎていて、必要なモノが一目で見つからない。
また例え、ばおたまを取り出そうにも、斜めに入った菜箸が引っかかって、取り出せない。
そんな状況なので、料理が好きにもかかわらず、食事の準備のたびに、私は何度もイライラしていました。
ここさえなんとかすれば、料理が、そして家事が楽になるかも――と、ある日私は、引き出しのモノを全部取り出し、週1 回以上使わないモノをすべて取り除いてみました。
引き出し1段なので、作業はすぐ終了。
すると……それまでは見るだけでイライラしていた引き出しが、見違えるほどスッキリしたのです!ついさっきまで、中を見るたびにゲンナリしていたのが、今度は逆に、用もないのに、引き出しを開閉してニンマリする有り様でした(笑)。
たった引き出し1段でも、1日に何度も見たり使ったりする場所がスッキリ整い、使い勝手がいいと、とてつもなく心地がいい。
料理の時間は、もちろん短くなりました。
その心地よさにやみつきになった私は、その後あっという間に、家じゅうを片づけてしまいました。
1カ月半程度で、持ちすぎていたモノはすっかり撤去され、家全体が整ったのです。
以来、再び家がカオスに戻ったことは、まだ一度もありません。

家事が楽になると穏やかな心で過ごせる
次に「汚れない」についてですが、汚れない家とは、どんな家にも必ずあるホコリや細かいゴミが、めんどうな掃除をしなくても、たまらない家のことです。
そんな家を叶えるための2つの簡単なメソッドは別記事でご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
苦痛だった家事を楽しくこなせるようになると、精神的なゆとりが生まれ、焦ったり不安になったり、不機嫌になることがなくなりました。
いつも穏やかに過ごせるようになりました。
夫と語り合う時間も増え、夫婦ゲンカもなくなりました。
「たった1カ所と言われても、その1カ所を片づける気力さえない……」「どこから手をつけていいのか判断できない……」というかたもいるでしょう。
私ももともと片づけが苦手だったので、気持ちはよくわかります!そんなかたはまず、自分がいちばん楽しい時間を過ごしているエリアをチョイス。
そこに落ちているゴミを取り除くか、床に散らばっているモノを1カ所に集めてみてください。
それだけでも、きっと達成感を得られます。
そしてその部屋で、より楽しい時間を過ごせるようになります。
私の場合は料理が好きなので、キッチンの引き出しを整えたことで、料理がいっそう楽しくなり、「片づけ=意外と楽しい!」というマインドになれました。
そして、片づけに加速がつきました。
家を整えるうえで最も重要なのは、暮らしている人が幸せかどうかです。
みんな幸せで、家事に支障がなければ、無理に、モデルルームのような家にする必要はないと思います。
ご自身のペースで、家族みんなが快適な毎日を過ごせる家を、作ってみてくださいね。

解説者のプロフィール

本間朝子
不動産会社の企画営業、フードプランニング会社のチーフディレクターを経て独立。自分自身が仕事と家事の両立に苦労した経験から、時間と無駄な労力を省く家事メソッド「知的家事」を考案。「時間がない」「家事が大変」と嘆く多くの主婦の悩みを解決している。日本テレビ「ヒルナンデス!」やNHK「あさイチ」などメディアでも精力的に活躍。著書に『写真でわかる! 家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(青春出版社)など。