解説者のプロフィール

森崎友紀(もりさき・ゆき)
1979年大阪府生まれ。
管理栄養士、製菓衛生師、中医薬膳指導員、野菜ソムリエ、食品衛生管理者の資格を持つ。
現在は料理研究家として、料理教室『UNITY☆MAGENTA』を主宰。
テレビや雑誌などのメディア、イベントなどでも活躍している。
『もっとおいしく、生大根ダイエット』(小学館)など、著書多数。
週刊少年ジャンプで連載中の『食戟のソーマ』(集英社)に料理協力。
子育ての傍ら、ブログやインスタグラムも日々更新中。
●森崎友紀オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/morisaki-yuki/
大根には酵素がたっぷり
大根は、日本人が昔から慣れ親しんできた野菜です。
私の実家でも、昔からよく大根を食べていました。
学生時代に一人暮らしを始めたころも、安くて調理しやすい大根を欠かしたことはありません。
料理研究家として、大根と真剣に向き合うようになったのは、数年前に出版したダイエット本『もっとおいしく、生大根ダイエット』(小学館刊)がきっかけでした。
調べてみると、大根は野菜の中でも、酵素(食物酵素)を豊富に含むことがわかりました。
酵素は、体内で生じるさまざまな化学反応の媒体となる物質です。
私たちの体には、食べたものを消化・吸収しやすい形へと変える消化酵素と、消化・吸収した栄養を熱エネルギーへと変える代謝酵素の2種類があります。
このうちの代謝酵素には、体や肌の調子を整える働きもあります。
体内の酵素の量は、年々減少するといわれています。
また、消化酵素を使いすぎると、その働きを補うために、代謝酵素が消費されてしまいます。
生の野菜や果物には、この消化酵素の働きを助ける食物酵素が含まれています。
ですから、食事で食物酵素をとれば、消化酵素の消費が抑えられて、代謝酵素がきちんと働くため、健康な体を維持しやすくなるというわけです。
生の大根には、炭水化物を分解するアミラーゼや、脂肪を分解するリパーゼ、たんぱく質を分解する
プロテアーゼといった酵素がたっぷりと含まれています。
ただ、酵素は熱に弱く、46~48℃の加熱で活性が失われてしまうといわれています。
ですから、酵素を体に取り入れるには、大根は生で食べるのがお勧めなのです。

生大根がダイエットにオススメな理由
また、大根には、代謝酵素を活性化させる、イソチオシアネートという成分も含まれています。
しかし、これも加熱によって減少してしまいます。
これを無駄なくとるためには、やはり大根は生で食べたほうがよいでしょう。
イソチオシアネートには、高い抗酸化作用もあります。
大根と同じアブラナ科のブロッコリーも、イソチオシアネートは豊富です。
ただ、ブロッコリーは生ではあまり食べませんし、調理法にも限りがあります。
一方で、大根は生で食べるのが容易な野菜です。
味にクセがないため、和洋中、どんな料理にもよく合います。
カロリーも100gで18kcalと低いため、ダイエット中のかたにもお勧めの野菜です。
私自身も、生の大根を意識して食べるようになってから、健康の管理がしやすくなりました。
忙しくて食生活が不規則になると、体調をくずすこともあります。
特に、私は肌が敏感で、気を抜くとすぐに荒れてしまいます。
そんなときも、生の大根をたっぷり食べれば、すぐに体調は回復。
肌の調子も整います。
生大根のおかげで、出産後に増えた体重も1年で元に戻すことができました。
切り方に変化をつけると飽きずに食べれる
健康と美容を維持するためには、1日に100~200gの生大根(輪切りで2~3cm程度)を食べるのがお勧めです。
みなさんのために、生大根をおいしく食べられる簡単レシピをご紹介していますので、ぜひ作ってみてください。
どれも自信作です!
生大根を飽きずに食べるには、大根の切り方に変化をつけるのがポイントです。
たとえば、サイコロ状の角切りにすれば、シャキシャキとした歯応えに。
薄く輪切りにすれば、繊維が断たれて、柔らかい食感になります。
「料理をするのはおっくう」というかたは、まずは、大根おろしから始めてみませんか?
しょうゆをたらしてそのまま食べてもいいですし、料理のトッピングにしてもいいですね。
特にお勧めなのが、市販のドレッシングやソースに、大根おろしを混ぜることです。
どんなドレッシングにもよく合いますし、塩分を減らせるという利点もあります。
なお、大根おろしは「皮付きのまま」で作りましょう。
皮にも栄養が豊富に含まれているので、捨ててしまうのはもったいないんです。
皮付きのまますりおろしても、味も食感も、ほとんど変わりません。
おいしくて健康的な生大根ライフを、楽しんでください。
生大根ダイエットレシピBEST6
大根の薬効を余すところなくとるためには、「生で食べる」のが鉄則です。
とはいえ、生の大根なんて、そんなに食べられない……と思ってはいませんか?
そんなあなたのために、『もっとおいしく、生大根ダイエット』(小学館刊)の著者の、管理栄養士で料理研究家の森崎友紀さんに、お勧めの生大根レシピをご紹介していただきました。
ちょっとした工夫で、生の大根を毎日飽きずにおいしく食べることができます。
ぜひ作ってみてください!
※すべてのレシピで、大根は皮付きで使用しています。気になるかたは、皮をむいてください。
大根ポン酢パスタ

●材料(2人分)
大根……300g
パプリカ(赤・黄)……各1/2個
好みのパスタ……150g
オリーブ油……大さじ1
ポン酢……大さじ4
ツナ缶……1缶
塩、コショウ、イタリアンパセリ……各適宜
●作り方
❶大根とパプリカは1cmくらいの角切りにする。
❷たっぷりの湯(分量外)を沸かし、湯に対して1%の塩を加え、パスタを表示時間どおりゆで、ザルにあげて水を切る。
❸ボウルにオリーブ油、ポン酢、軽く油を切ったツナ、塩、コショウをよく混ぜ合わせ、②と①を加えて和え、器に盛る。
あれば、イタリアンパセリをあしらう。
即席カクテキ

●材料(作りやすい分量)
大根……500g
キュウリ……1本
塩……小さじ1/2
A
しょうゆ、酢、ハチミツ……各大さじ2
すりごま、粉トウガラシ……各大さじ1
ニンニクすりおろし、ショウガすりおろし……各小さじ1
●作り方
❶大根は3mmの厚さのイチョウ切りに、キュウリは縦半分に切ってから斜め薄切りにして塩もみ
する。
しんなりしたら、水分を絞る。
❷Aの材料をすべて混ぜ合わせ、①を入れて手でよくもみ込み、冷蔵庫で10分以上寝かせる。
※冷蔵で1週間は保存可能。
※辛さをマイルドにしたい場合は、韓国の粉トウガラシを使うとよい。
即席カクテキを使って ビビンバ

●材料(2人分)
ホウレンソウ……1袋
薄切り牛肉……200g
焼肉のタレ(市販のもの)……大さじ3
A
ゴマ油、炒りゴマ……各大さじ2
塩……小さじ1/2
ゴマ油……大さじ1
ご飯……どんぶり2杯分
即席カクテキ……好みの量
温泉卵……2個
七味トウガラシ、コチュジャン……各適量
●作り方
❶ホウレンソウはゆでて3cm幅に切る。
❷牛肉はひと口大に切り、焼肉のタレをからめておく。
❸Aの材料を全て混ぜ合わせ、①を加えて混ぜる。
❹フライパンにゴマ油を熱し、②を炒める。
❺どんぶりに温かいご飯を入れ、その上に③、④、カクテキ、温泉卵を盛りつけ、七味トウガラシを振り、コチュジャンを添える。
おろしトマトつけうどん

●材料(2人分)
大根……200g
豚バラ肉……150g
エノキタケ……1束
長ネギ……1本
ゴマ油……大さじ1
うどん……2玉
A
水、めんつゆ(3倍希釈)、ホールトマト……各200ml
炒りゴマ……大さじ1
●作り方
❶大根はすりおろしてザルにあげる。
豚肉とエノキタケは5cm幅に、長ネギは青い部分はトッピング用に輪切りに、残りの白い部分は斜め薄切りにする。
❷鍋にゴマ油を熱し、①の豚肉、エノキタケ、ネギの白い部分を炒める。
❸②にAを加えて沸騰させ、5分ほど煮る。
❹うどんはゆでて冷水で洗い、ザルにあげる。
❺④を皿に盛りつけ、①の大根と炒りゴマ、トッピング用のネギをのせる。③を別の器に盛りつけ、うどんをつけていただく。
フルーツ大根サラダ

●材料(2人分)
大根……300g
リンゴ……1/4個
キウイフルーツ……1/2個
バナナ……1/2本
A
ヨーグルト……大さじ3
マヨネーズ、練乳……各大さじ1
●作り方
❶大根、リンゴは皮付きのままイチョウ切りにする。
キウイフルーツは皮をむいてイチョウ切りに、バナナは皮をむいて輪切りにする。
❷ボウルにAを混ぜ合わせ、①を和える。
※練乳がない場合は、同量のハチミツでも代用できるが、練乳を使ったほうがおいしい。
おろしみたらし豆腐だんご

●材料(2人分)
大根……200g
白玉粉……100g
絹ごし豆腐……150g
A
しょうゆ……大さじ1
砂糖……大さじ4
水……大さじ5
水溶き片栗粉
片栗粉……大さじ1/2
水……大さじ1
●作り方
❶大根はすりおろしてザルにあげる。
❷白玉粉に絹ごし豆腐を加えてよく混ぜ、耳たぶぐらいの硬さに仕上げ、だんご状に丸める。
❸②を沸騰した湯(分量外)に入れ、浮かんできたら2分待ってザルにあげ、水に取って水気を切る。
❹鍋にAの材料をすべて入れて火にかける。
沸騰したら、水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつけ、火を止めて①を加え、混ぜ合わせる。
❺③を器に盛り、④をたっぷりかける。