甘酒は発酵食品なだけに、冷蔵庫の中でも発酵が進んで味が変化し、長く保存ができません。
そこで私がお勧めしているのが、甘酒を凍らせた「甘酒氷」です。
凍らせることで保存性を高め、いつでも甘酒を手軽に取ることができます。
もちろん、栄養成分も変わりません。
凍らせることによってシャーベットのような食感となり、おいしさが倍増します。
「甘酒氷」の作り方
【必要な道具】
・炊飯器
・計量カップ
・温度計
【材料】
●麹……200g(生でも乾燥でもOK)
●米……2合(もち米などでなく、普通の米でOK)
●水……350ml(乾燥麹を使う場合。生麹の場合は260ml)
※麹はスーパーなどでも市販されており、生と乾燥どちらを使ってもよい。
メーカーによってさまざまなタイプがある。

②①にほぐした麹を加え、さっと混ぜる。
※乾燥タイプと生タイプどちらを使った場合でも、板状のこうじはあらかじめほぐしておく。

③保温スイッチを再度入れて、ふきんをかけて12時間保温する。
※保温中の温度は50℃台を保てるとベスト。

④保温している間に、3回ほど、空気を入れるようにしてかき混ぜるとよい。
※炊飯器によっては温度が上がり過ぎてしまうので、かき混ぜるほか、保温スイッチを入れたり
切ったりなどして調整する。

⑤12時間保温したら、トロッとした甘酒の出来上がり(米粒がおかゆのようにふやけて甘みが出る)。

⑥保温スイッチを切り、粗熱が取れたら製氷皿に移して冷凍する。
凍ったら製氷皿から外してビニール袋などに移して冷凍保存するとよい。
凍らせずに甘酒として楽しむ場合は、ふた付きの容器に移して冷蔵庫へ。
甘酒氷の食べ方

【甘酒氷Q&A】正しい保存方法は?甘くないけど失敗?離乳食に甘酒は使える?
Q1:作った甘酒が甘くないのですが、これは失敗ですか?
A:保温のときなど、仕込みの温度が適切でないと発酵がうまくいかず、甘くなりません。
また、発酵力の弱い麹だと甘くならないことがあります。
甘くなくても、麹のよさはあります。捨てずに活用しましょう。
塩を加えて漬け物の漬け床に利用したり、ミキサーにかけてポタージュスープに加えたりして食べてください。
Q2:作った甘酒を、半分は凍らせて、半分はそのまま冷蔵で保存していました。
冷蔵庫で保存していたほうは、日がたつにつれて、酸っぱくなってきたのですが、大丈夫でしょうか。
A:凍らせた「甘酒氷」は長期保存しても変化しませんが、冷蔵保存の甘酒は乳酸発酵が進んで酸っぱくなってきます。
ヨーグルトや古漬けのような酸味でしたら食べても問題はありませんが、不快なにおいがするようでしたら食べられません。
冷蔵保存の場合、容器の壁についた甘酒からカビが生えることが多いので、なるべく小さな容器で保存して早く使い切るようにします。
また、容器やスプーンは、必ず清潔なものを使用してください。
Q3:出来上がった甘酒がとろっとしておらず、少しゆるいおはぎのような感じです。
また、少し茶色がかっています。食べてみると甘いのですが、これでいいのでしょうか?
A:甘酒の発酵の適温は、55℃前後(50~59℃)です。
保温のときの温度が高すぎると麹の酵素による分解が不十分になり、米の粒がしっかり残って硬い仕上がりになります。
50℃台で保温できれば、米の粒がとろけて、ゆるくなり、扱いやすい硬さになるはずです。
甘味も風味も、今以上にグッと増すでしょう。

Q4:市販の甘酒を凍らせて甘酒氷にしてもOKですか?
A:市販のものを冷凍しても構いません。
ですが、購入のさいには、商品のラベルに明記されている〈原材料〉を必ず確認してください。
米・麹以外(塩も可)のものが添加されている場合は、甘酒本来の栄養分を期待することはできません。
また、凍らせたときの食感も違うはずです。

Q5:甘酒を凍らせても、凍り方がゆるいというか、カチカチにはなりません。
これで大丈夫なのでしょうか?
A:甘酒氷は硬めのシャーベット状で、水を凍らせたようなカチカチ状にはなりません。
甘酒氷の食感も、ぜひ楽しんでください。
Q6:甘酒や甘酒氷は、子どもに食べさせていいのでしょうか?
A:今回ご紹介している「麹で作った甘酒」にはアルコールが含まれていないので、小さな子どもや妊婦さんでも食べることができます。
ただし、離乳食として与える場合はぬるま湯などで薄めてください。
キューブ状の甘酒氷を幼児のおやつにするときは、のどに詰まらせないように注意してください。
また、冷たいものを食べ過ぎないように、果物に混ぜるなどの工夫も必要でしょう。
Q7:甘酒や甘酒氷は、いくら食べてもいいのでしょうか?
A:天然の甘味とはいえ、取り過ぎれば太ります。
たくさん食べたいときには、ごはんや砂糖の量をいつもより減らしましょう。
Q8:甘酒や甘酒氷を取ってはいけない人はいますか?
A:厳格に糖分の摂取を規制されているような重度の糖尿病の人は、医師に相談しながら取るようにしてください。
料理研究家のプロフィール

小紺有花(ここん・ゆか)
発酵食大学教授。
麹料理研究家。麹のおいしさや麹文化の素晴らしさを伝えるため、金沢を拠点に、麹料理の教室やワークショップなどを多数開催。近著に『しょうゆ麹&甘酒も。簡単で本当においしいレシピ93 塩麹のおつまみとおかず』(河出書房新社)。
●発酵食大学
https://hakkoushoku.jp/
【作り方】
①普通の水加減でごはん2合を炊き、炊き上がったら一度保温スイッチを切る。
そこに水を加えて軽くかき混ぜて63~65℃にする。