「ゴマ油うがい」はインドに伝わる健康法の一つ
ゴマ油といえば、酸化を防止する力があり、健康や美容によい油として知られています。
とはいえ、料理以外には使わない人がほとんどでしょう。
実は、そのゴマ油を使ってうがいをすると、口の中のトラブルの改善や予防をする効果が期待できるのです。
「ゴマ油を口に含むなんて、ベタベタして気持ち悪い」と思われる人も少なくないでしょう。
ところが正しい「ゴマ油うがい」は、逆に口がさっぱりして軽さを感じます。
メントール系の洗口液とは別物の、おだやかなスッキリ感があります。
ゴマ油うがいは、古代インドより数千年にわたって伝承されている、世界最古の医学「アーユルヴェーダ」の健康法の一つ。
欧米では「オイルプリングセラピー」として知られており、口内のトラブルをはじめ、健康や美容、アンチエイジングになると注目を集めているのです。
ゴマ油うがいでは、「太白ゴマ油」を使います。
料理によく使うのは、濃い茶褐色の焙煎ゴマ油ですが、これを口に含んではいけません。
香りと味が強過ぎて、すぐに気持ち悪くなってしまいます。
オイルうがいで使うのは、ゴマを生のまま搾って精製した無色で無臭の太白ゴマ油だけです。
アーユルヴェーダでは本来、ゴマ油を加熱して使います。
人肌程度に温めると浸透力が上がって、なじみやすくなるのです。
しかし、まずは気楽に始めるのが一番だと私は思っています。
そのため、今回は加熱をしない方法をご紹介します。
ゴマ油うがいのやり方
やり方は、とても簡単です。
まず、おちょこ約1杯分の太白ゴマ油を口に含みます。
オイルが歯と歯の間に通るよう、左右、前後に転がす感じでゆっくりと動かしましょう。
最初は少量から始めてもOK。うがいといっても、ガラガラする必要はありません。
ゴマ油うがい終了のサインは「目がうるむ」「鼻の奥がツーンとする」「口の中が唾液でいっぱいになる」です。
わかりにくい人は、まず5分間行い、慣れてきたら時間や量も増やしていきましょう。
唾液がたっぷり出て、ゴマ油と混ざり合うことで、ゴマ油が軽く感じられたら、うがい完了です。

朝、歯を磨いてすぐに行うのがよい
お勧めは朝起きて、歯を磨いてすぐ。
なぜなら、起床時は一日のうちで最も口の中が汚いからです。
朝起きたときに口が臭いと感じたり、ネバネバして不快だったりすることはありませんか?
就寝中はあまり口を動かさないため、唾液の分泌が減り、雑菌が増殖して、口内環境が最悪になっています。
朝一番でゴマ油うがいをすると、就寝中に増殖した細菌や口の中の汚れ、不要物をゴマ油がからめ取って、クリーニングをしてくれます。
歯周病やムシ歯、口臭などのトラブルを起こす細菌や、そのエサとなる死んだ粘膜細胞まで根こそぎスッキリ浄化してくれるので、歯周病の改善や予防をすることができるのです。
また、唾液腺が活性化され、殺菌や洗浄作用のある唾液がよく出るようになります。
口内炎もできなくなった
ゴマ油は、他の油より浸透しやすく、歯と歯の間、くちびると歯肉との間の溝など、歯ブラシでは届かない隅々まで入り込んでいきます。
そのため、歯や歯肉、舌や粘膜にこびり付いた細菌や汚れ、古い細胞まで、はがすようにからめ取り、きれいな唾液が分泌されるのです。
ゴマ油うがいでは、口の中がパンパンになるほど、大量の唾液が分泌されます。
さらにゴマ油が口の粘膜から吸収されると、オイル成分が口内や、のどをうるおして乾燥を防ぎます。
唾液の分泌量アップと、潤いのダブル効果でドライマウスの予防になるのです。
私の場合、疲労が蓄積したときに口の端が切れることがなくなり、口内炎もできなくなりました。
1回たった5分、ゴマ油を口に含むだけ。
誰でも簡単にできて、歯磨きでは落ちない洗浄力で歯周病をはじめ、口内のトラブルを解決します。
料理に使っている太白ゴマ油を、一度口に含んでみてください。
解説者のプロフィール

川島一恵
鍼灸あん摩マッサージ指圧師・アーユルヴェーダヘルスコーディネーター。
1999年、世界初のアーユルヴェーダ宿泊施設「バーベリン・リーフ・アーユルヴェーダ・リゾート」を訪問、その効果を実感。日本窓口として、その普及に尽力している。著書に『たったひと口、オイルの力』(大和書房)などがある。