【腰痛】に効く肌つまみ
腰の筋肉の血流を改善し柔軟性を取り戻す
腰は、その字が示すとおり、体(月)の要。
生活するうえでたいへん大切な場所です。
腰にズーンとした痛みがあると、立ったり座ったりする日常の動作すらも困難になってしまいます。
そんな腰痛の原因の一つが、腰周辺の筋肉が硬くこわばってしまうことです。
筋肉が硬くなると、血管が圧迫されて血液循環が悪くなり、酸素や栄養素が筋肉に十分供給されないので、重だるさを腰に感じるのです。
そんなときには、お尻と腰の肌を大きくつまむようにしてください。
臀部の筋肉の毛細血管にいたるまで血液の循環がよくなり、酸素や栄養が十分届くようになって、筋肉の硬さが緩和します。
腰の重さや痛みが驚くほどらくになってくるはずです。


①腰のゾーンを中心に親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、2~3分行う。
つまみにくければ、中指・薬指を加えてもよい。
背骨近くは両側から腕を回して、両手の指で同時につまむとやりやすい。

②お尻の上部を中心に、親指から薬指までの4指の腹で大きくつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、2~3分行う。
片手だとつまみにくい場合は、両手を使うとつまみやすくなる。
※服の上からつまんでもよいが、できれば直接肌をつまむほうが効果が高い
【ひざ痛】に効く肌つまみ
ひざ周りの血行が改善し炎症物質を流す
ひざ痛やひざの違和感は、ほとんどの人が一生で一度は経験する症状です。
大きな原因としては、加齢による太ももの筋肉の衰えがあります。
特に、女性の場合は男性よりも筋肉量が少ないので、加齢とともに基礎代謝が低下して太りやすくなるため、ひざ関節にかかる負担が大きくなり、ひざ痛が起こるケースが多くなっています。
そんなひざ痛も、ひざの裏やひざの皿(膝蓋骨)の辺りの肌をつまむことで、ひざ周囲の血行がよくなり、炎症物質が排出されて痛みが改善します。
ひざ痛はスポーツなどでひざを酷使することによっても起こりますから、運動をした後にひざ周囲の肌を引っ張っておくと、疲労回復も早く、トラブルが起こりにくくなります。


①ひざの皿の上を親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
ひざを伸ばしながら行うと肌が突っ張らずにつまみやすい。

②ひざの裏を親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
ひざを曲げながら行うと肌が突っ張らずにつまみやすい。

③ひざの皿のすぐ上の太もも部分を、左右同時に親指と人さし指の腹で1~2分つまむ。
つまみにくい場合は中指も加えた3指で行うとやりやすい。
【頭痛】に効く肌つまみ
緊張とストレスによる脳の血行不良を改善
頭痛の原因はさまざまですが、特に明確な病気があるわけではないのにくり返し起こる頭痛(一次性頭痛)と、病気が原因で現れる頭痛(二次性頭痛)に大別されます。
一次性頭痛の場合は緊張やストレス、および脳への血行不良が原因で起こることが多いので、肌つまみを行うのが効果的です。
頭髪部や首をセルフケアすると、血流がよくなり、リラックス効果を得られるので、つらい頭痛がたちまち軽快します。
肌がつまみにくい頭部は、手の腹を頭部に当てて、頭皮を寄せるように動かしてください。
ただし、二次性頭痛の場合は、くも膜下出血や脳腫瘍など危険な病気が原因となっているおそれがあるので、医師の診察を受けることが必要です。


①頭の正中線に沿って前髪の生え際からうなじまでを、親指と人さし指の腹で肌を寄せるように細かくつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、2~3分行う。
同様に、左耳の上から頭頂を通り右耳の上までもつまむ。

②首の前側の中央(あご下から鎖骨まで)と、首の後ろ側の中央(ぼんのくぼから首の付け根にある骨の出っ張りまで)を親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。

③首の左右を親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、1~2分行う。
両側同時につまんでも構わない。
【頻尿】に効く肌つまみ
腎機能を高めるツボも刺激できる
頻尿とは、1日に8回以上トイレに行くことだとされています。
また夜間であれば、3回以上トイレに起きるようであれば、頻尿を疑うべきでしょう。
頻尿は、多くの場合、加齢により尿によう道括約筋が衰えることで起こります。
また、ストレスが頻尿を誘発するケースもあるようです。
さらには、東洋医学の見方では、腎の働きが弱くなることで起こるとされています。
そんな頻尿を改善するためには、恥骨の上辺りや、そけい部に沿って肌つまみを行うようにしてください。
恥骨の上には、腎の働きを高めるツボがあり、頻尿の改善効果が得られます。
またそけい部や恥骨の上をつまめば、尿道括約筋の血流も促進され、その衰えを抑制することができます。


①恥骨の上を親指と人さし指の腹でつまむ。
少しずつつまむ位置をずらしながら、2~3分行う。
両手の指で同時につまむようにするとやりやすい。

②そけい部のくぼみを親指と人さし指の腹でつまむ。
ビキニラインに沿って少しずつつまむ位置をずらしながら、2~3分行う。
左右のそけい部とも行う。
両手の指で同時につまむようにするとやりやすい。
※服の上からつまんでもよいが、できれば直接肌をつまむほうが効果が高い
【便秘】に効く肌つまみ
腸に刺激を与えて蠕動運動を促す
3〜4日くらいお通じがない状態を便秘といいますが、まったく出ないだけでなく、出し切れない状態も便秘のうちに入ります。
便秘になると、おなかが張ってスッキリしないだけでなく、ひどいときには腹痛や頭痛を起こすこともあります。
便秘は、食生活だけでなく、体調や体質、生活習慣などの影響が複雑にからんで、腸の蠕動運動(内容物を先に送ろうとする動き)が低下することで起こります。
腹部の肌をつまむことで、腸の動きが活性化します。
へそを中心に、腹部の肌を時計回りに入念につまんでいきましょう。
この辺りには、便秘解消に効くツボも点在しています。
特に下腹部(丹田)をていねいに引っ張るようにすると効果的です。


①へその下を親指と人さし指の腹でつまむ。
時計回りに少しずつつまむ位置をずらしながら、腹全体を5~6分行う。
つまみにくければ、中指・薬指を加えるとやりやすい。
解説者のプロフィール

徐堅
整膚考案者。世界整膚連盟総裁。1951年、北京体育大学を卒業後来日し、愛知教育大学大学院修了。愛知医科大学第一生理学教室で研究にいそしむかたわら、企業の陸上競技部のトレーナーを務める。選手のケガの手当の際に肌を引っ張ることで痛みが和らぎ、腫れも早く引くことに着目し、肌を引っ張る手技と理論を「整膚」として1992年に確立する。1994年から日本を拠点に世界各国に整膚の普及に努める。著書に『整膚論』『整膚学』(ともに整膚学園刊)をはじめ約50種類。