調理台周辺は「いつも必要」なものだけに
“憂うつな台所”を“大好きな台所”に変える片づけとは、一言で言い換えるなら「台所のフラット化」です。
調理台(コンロ・作業スペース・シンク)・床・冷蔵庫のドア面にあるものを完全撤去し、フラットな面を確保します。
フラットだと、汚れがついたときにすぐ拭けるので、清潔さを保ちやすいのです。
まず調理台・床・冷蔵庫のドア面と、調理台の近く(真下・真横)の棚のものを、3つに仕分けましょう。
①いつも必要なもの
②たまにしか使わないが、必要なもの(重箱・ホットプレート・大きい鍋など)
③直近1年間でほとんど使っていないもの

仕分けたら、①~③それぞれを、次のように片づけます。
1.調理台近くの棚の中に収納
2.調理台から離れた場所(例えば、調理台から離れた位置の棚・高い位置の収納スペース・他の部屋の押し入れや物入れなど)に収納
3.手放す
仕分けるのが大変そうですか?
ご安心ください。
台所じゅうのすべてのアイテムを仕分けるのは大変だと思いますが、調理台の上とその近辺のスペースだけなので、そこまで時間はかかりません。
ふだん使わないアイテムがなくなると、調理台近くの収納スペースはスッキリします。
「いつも必要」なアイテムだけをゆったり収めます。
食器を洗うスポンジや洗剤も、シンクに置きっぱなしでなく、水気を切って、収納スペースに収めます。
【リスト】4人家族の台所は「これだけ」あればじゅうぶん!

水切りかごやキッチンマットは思い切って手放す
ところで、洗った食器の一時置き用の水切りかごや、キッチンマットをお持ちのかたは、仕分けついでに、思い切って手放しましょう。
水切りかごは、水アカがたまったり、菌の温床になったり、清潔さを保ちにくいアイテムです。
水切りかごがなくても、シンク横にふきんを敷き、洗い終わった食器をその上に置けばだいじょうぶです。
キッチンマットも、水や油が染み込んだまま何日も放置されがち。
マットを踏んだ足に汚れがつくと、その足を介して、キッチンの汚れが家じゅうに広がります。
床の汚れは、マットに吸わせるより、すぐ拭くほうが清潔です。
それに、キッチンマットだけを洗うために洗濯機を回して、乾かして……という手間をかけるより、こまめに床を拭くほうが、明らかに労力がいりません。
この2つを手放すだけでも、台所の憂うつ度は確実に下がります。
だまされたと思って(笑)、今すぐ撤去してください。
調理台のすぐ真下に こんなに大量の不用品!【体験者Yさん】

調理台やその真下の収納スペースなどにあったアイテムのうち、高木先生の必須リストを参考に、Yさんが③と認定したもの。
②のアイテムとともに収納スペースから撤去したら、調理台にあったものは、棚にゆったり収まった。
手放した数日後、Yさんに感想を聞いたところ……
「調理中に「あれ、どこに入れたっけ?」と作業が止まることが、激減しました。水切りかごはもともとなかったのですが、シンクのたらいとキッチンマットは、なくなってもなんの不便もありません。思い切って手放してよかったです。
解説者のプロフィール

高木ゑみ
料理家。
1985年、東京都生まれ。
慶應義塾大学卒業。海外留学や数々の厨房での修業の後、エコール辻東京フランス・イタリア料理マスターカレッジを卒業。
2009 年より中目黒で主宰している料理教室は生徒数800 人超と大人気で「なかなか予約の取れない教室」と評判。企業向けレシピ開発・出張料理・メディア出演も精力的に行っている。
著書『考えない台所』(サンクチュアリ出版)は12万部突破。最新刊『もう献立に悩まない』(マガジンハウス)も好評。