解説者のプロフィール

喜多條清光
天満大阪昆布主人。
1951年大阪天神橋生まれ。
38歳でコンブ問屋の3代目に。
フランス料理の学校をはじめ調理師学校にも8年間通い、調理師免許・ふぐ免許を取得し、国内外の料理を食べ歩くなど、和食にこだわらず
「美味・健康」の研究を重ねる。
「平成こんぶ塾」など、コンブ文化の啓蒙に努めるとともに、コンブのある食生活をもっと身近なものにするため、日々奮闘中。
2012年、NHK『あさイチ』の「昆布革命特集」に出演、好評を博す。
「神田川」などの作詞家、喜多條忠氏は兄。
著書に『大阪天神橋 昆布問屋の昆布水レシピ』(メディアファクトリー)、『奇跡の昆布革命』(大和書房)、などがある。
●天満大阪昆布
http://www.kombu.jp/
細かく刻むことでだしがよく出る
私は、日本三大祭の一つ「天神祭」で知られる「大阪天満宮」のおひざ元でコンブ屋をしています。
2013年12月に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、日本人の伝統的な食文化である「だし」が、より注目されるようになりました。
そのため、私のところにも、海外からコンブに関する問い合わせが増えています。
ところが当の日本では、「だしを取るのは面倒くさい」「正しいだしの取り方がわからない」という人が少なくないのが現状です。
和食の料理本を開くと、丁寧なだしの取り方が載っていますが、家庭でだしを取るときは、そこまで手間暇をかける必要はありません。
そこで私は、おいしいだしを、もっと手軽に、毎日使ってもらおうと、数年前から「コンブ水」を提案するとともに、コンブやコンブ水を使った料理レシピを紹介し続けています。
2012年にNHKの朝の番組『あさイチ』でコンブ水が取り上げられると、その手軽さとおいしさ、健康効果で反響を呼びました。
コンブ水とは、コンブを水につけておいて作る水だしのことです。
いろいろな作り方がありますが、私がお勧めしているのは、細かく刻んだコンブ10gを、1Lの水に一晩つけて作る方法です。
「コンブを刻むのが、ちょっと面倒」と思うかもしれませんが、コンブを細かく刻むことで、以下のようなメリットがあります。
①だしがよく出る
実は、コンブは表面からだけではなく、切った断面からもだしが出ます。
ですから、コンブを細かく刻むと、少量のコンブでも十分だしが取れます。
しかも、同じコンブで二度、つまり2L分のコンブ水が作れるので、経済的です。
だしがよく出るということは、コンブの有効成分もよく出るということなので、健康効果のアップも期待できます。
②手軽に作れ保存がきく
通常のコンブだしは、上手に取るには手間も時間もコツも必要ですし、傷みやすく、保存がききません。
その点、コンブ水なら、コンブを水につけるだけですし、日持ちもします。
③だしがらも利用しやすい
もともと細かく刻んであるので、そのまま佃煮にもできますし、だしがらをしょうゆや酢、オリーブ油に漬け込んで、万能調味料としても使えます。
作っておくと、いろいろな料理に活用できます。
コンブ水の基本的な作り方

危機的状態の体がコンブ水で救われた
コンブ水は、和食、洋食、中華、イタリアンなど、どんな料理にも使え、調理時間の短縮にもなります。
また、コンブのうま味成分によって、塩分や糖分の摂取量を減らすことが可能です。
実は私、50歳のころは体重が100kg近くになり、血圧は、最大血圧が165mmHg 、最小血圧が110mmHgありました(正常値は最大血圧140mmHg未満、最小血圧90mmHg未満)。
医師から「いつ心筋梗塞で倒れても不思議ではない」と言われて、それまでの暴飲暴食を猛省。
仕事柄、コンブ水が高血圧によいと知っていたので、毎朝コップ1杯のコンブ水を飲むことにしたのです。
1ヵ月ほどコンブ水を飲み続けていると、血圧がスーッと下がって、正常値になりました。
体重も、コンブ水を飲むのと合わせて、お酒や脂っこい食べ物を控えただけで、6~7kg減ったのです。
コンブ水が味覚の訓練になり、食べ物の好みが変わったのでしょう。
わが家では、塩分の高い市販の粉末だしやインスタント食品は、ほとんど食べなくなりました。
外食もしなくなり、自宅でヘルシーな食生活を続けるうちに、4~5年後には、自然と70kgになっていました。
実に、29kgのダイエットに成功したのです。
おかげで、血圧も血液検査の結果も、問題なしの健康体になりました。
危機的状態だった体がここまで健康になったのは、コンブ水のおかげです。

そのまま飲んでもお茶にしてもよい
コンブの健康効果を実感した私は、コンブの素晴らしさを広めようと、全国各地で勉強会を行っています。
今までコンブ水をお勧めしてきて、「料理がおいしくなった」「減塩できた」「血圧が安定した」「お通じがよくなった」などの喜びの声が寄せられています。
意外なところでは、「薬を飲むときに、コンブ水で飲むと、のどにつかえずスッと飲める」という声がありました。
薬を飲むのに苦労されている人は、一度お試しになってみてはいかがでしょうか。
さて、コンブ水の利用法ですが、私は以下のようにするのをお勧めしています。
①朝いちばんに、コンブ水を200mL飲む
②料理に使う水をコンブ水に替える
コンブ水をそのまま飲むと、コンブくささが気になるという人には、コンブ水でお茶を作ることをお勧めします。
作り方は簡単。コンブ水1Lに、水出し用の麦茶や緑茶など、好みのティーバッグを入れておくだけです。
飲みやすく、ミネラル豊富なので、熱中症予防にピッタリです。
また、イタリア料理のシェフの間では、「パスタをゆでるときにコンブ水を使うと、塩をたっぷり入れなくてもおいしくゆでられ、減塩にもなる」と広く知られているそうです。
早速私も試してみたところ、パスタがおいしくなるだけでなく、塩分が少ないため、ゆで汁でもう一品、手軽にスープを作ることができます。
このように、コンブ水は、作っておくといろいろ便利に使える、まさに万能のだしです。
毎日の食事をより豊かにするため、そして、ご家族みなさんの健康づくりのため、ぜひご活用ください。
コンブ水の利用法
