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変形性ひざ関節症改善のカギ「膝蓋支帯(しつがいしたい)」を緩める運動

変形性ひざ関節症改善のカギ「膝蓋支帯(しつがいしたい)」を緩める運動

一般的に、変形性ひざ関節症によるひざの痛みは、「筋肉に原因がある」とする説が多いようです。しかし、私は筋肉は関係ないと考えています。なぜなら、ひざ関節の周囲に筋肉はないからです。では何が原因かというと靭帯(骨どうしをつなぐ組織)と関節包(関節を包む膜)の拘縮だと考えています。【解説】大谷内輝夫(ゆうき指圧院長)

解説者のプロフィール

大谷内輝夫(おおやち・てるお)
1953年、富山県生まれ。
86年、ゆうき指圧整体院を設立し、ゆうき膝・股関節研究所を併設。
2015年、ゆうき指圧整体院をゆうき指圧に改名し、現在、ゆうき指圧院長、NPO法人ゆうき膝・股関節研究所所長。
「ひざ・股関節の治療では日本でいちばん信頼される人になりたい」という志を胸に、日々研究に打ち込む。著書に『股関節痛の94%に効いた!奇跡の自力療法』(マキノ出版)などがある。

●ゆうき指圧整体院
大阪府大阪市住吉区我孫子1-2-4
TEL 06-6607-1013
http://www.yukishiatsuseitai.com/

ひざの皿の左右に走る未知の組織がカギ!

 一般的に、変形性ひざ関節症によるひざの痛みは、「筋肉に原因がある」とする説が多いようです。しかし、私は筋肉は関係ないと考えています。なぜなら、ひざ関節の周囲に筋肉はないからです。
 では何が原因かというと、靭帯(骨どうしをつなぐ組織)と関節包(関節を包む膜)の拘縮だと考えています。この考えのもと、当院では靭帯や関節包を緩めることを目的とした運動療法を開発し、患者さんに実践してもらっています。その結果、非常に高い改善率を得ています。

 しかしながら、なかには、「その運動療法ですら痛くてできない」という人がおられることも事実です。

 そこで私は、患者さんに、「どうすると痛みが楽になりますか」と尋ねてみました。すると皆さん、「ひざの皿の左右をさすると痛みが和らぐ」というのです。

 私は、「無意識に皿の左右をさする動作には、何か根拠があるに違いない」と考えました。そこで、ひざの皿の周辺にどんな組織があるのか、調べてみました。

そして行き着いたのが、「膝蓋支帯(しつがいしたい)」という組織です。

 これは、まだ詳しい解明がなされていない未知の組織で、ひざの皿の内側と外側にあり(内側膝蓋支帯と外側膝蓋支帯)、近隣の筋膜(筋肉を包む膜)や、関節包・靭帯・腱(骨と筋肉をつなぐ組織)にも連結しているといわれています。


 つまり、歩き方や立ち方のクセで重心が偏ると、膝蓋支帯がねじれて、筋膜がゆがんだり、関節包・靭帯・腱にも緊張が起こるということです。

 患者さんがひざをさする方向は、必ず縦です。膝蓋支帯は縦走繊維といわれているので、縦にさすることで、知らず知らずのうちに膝蓋支帯のねじれを直そうとしているのでしょう。膝蓋支帯のねじれが取れると、筋膜が正常な状態に戻り、関節包や靭帯の緊張も取れて、痛みが和らぐと考えられます。

筋力を強化するよりも体のクセを直すのが先決

 そこで、当院で開発した運動療法のなかから、膝蓋支帯の調節に役立つ動きをピックアップし、ひざ痛改善のためのプログラムを作成しました。それを患者さんに実践していただいたところ、ひざ痛の改善率がこれまで以上にアップしました。

 変形性ひざ関節症を発症して2年以内であれば、8〜9割が改善し、正座ができるまでに回復するケースもあります。手術を勧められた人や、「一生治らない」とあきらめていた人が、痛みから解放されています。
 当院では本来、患者さんの症状に合わせて個別に運動プログラムを組み立てます。今回は、ひざ痛を軽減し、正座ができるようになる効果的な運動を、厳選してご紹介しましょう。

 最初に行うのは、患者さんが教えてくださった方法です。
 イスに座るか、床に座った姿勢で、ひざの皿の両側を上から下へ、手でさすってください。気持ちよく感じる強さでさすりましょう。回数に決まりはありませんが、皮膚が赤くなったらやり過ぎです。10回くらいを目安にしてください。
 お皿の左右両側にある内側膝蓋支帯と外側膝蓋支帯を緩めることで痛みが楽になれば、そのあとの運動がスムーズにでき、効果も高まります。

 ひざの皿をさすったら、3種類の運動を行います。どの順番で行ってもかまいませんし、1日のうち何回かに分けて行ってもOKです。

 いずれの運動も、実際にやってみると、膝蓋支帯のあるひざの両わきが刺激されているのがわかると思います。また、ひざに体重がかからないので、関節を傷める危険が少なく、自宅で安全に行えます。万が一、痛みが生じた場合は、すぐに運動を中止してください。

 私はよく、患者さんにこうお話しします。「私は治すことはできません。体の使い方のクセを正す道先案内人です」と。
 痛みを作るのも治すのも、患者さん自身。原因となるクセが直れば、痛みは根本から消え、二度と起こらなくなります。
 逆に、クセを直さずに筋力強化をすると、クセは直るどころか、ますます強くなっていきます。当然、痛みは消えません。

 まずは、体を正しく使えるようにすること。1ヵ所に過度な負担がかからないようにすることで、体が自由に動くようになります。そうすれば、自然に筋肉はついてくるものです。

 ひざが痛いかたは、まずひざの両わきを手でなでて調整し、体を正しい状態に戻す3種類の運動を試してください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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