MENU
ひざの水・痛みを取る運動「ひざの曲げ伸ばし」とは 痛みがあってもできる!

ひざの水・痛みを取る運動「ひざの曲げ伸ばし」とは 痛みがあってもできる!

ひざ痛を招く要因はケガを除けば主に3つあります。肥満、姿勢の悪さ、動かし不足、この3つです。痛みの主な原因が肥満や姿勢の悪さにある人が、減量したり、姿勢をよくしたりするのは、当然のことです。ここでは、肥満や姿勢などに関係なく、ひざ痛に悩む人全員にお勧めしたい体操を紹介します。【解説】伊藤邦成(いとう整形外科院長)

大きく動かさなければ関節は徐々にかたくなる

 ひざ痛を招く要因は、ケガを除けば主に三つあります。
 ❶肥満、❷姿勢の悪さ、❸動かし不足、この三つです。

 肥満になると、より大きな加重がひざの関節にかかることになります。体重が多い人ほど、靴底が早く減ります。それと同じ現象がひざの軟骨(クッション)にも起こります。軟骨がすり減った結果、痛みが生じるのが変形性ひざ関節症です。

 第二が姿勢です。いい姿勢は、背を高く見せるイメージで、少し体が伸び上がって、ひざ関節にかかる負担が少なくなります。一方、悪い姿勢では体幹(胴体部分)が下がり、関節への負担が増えます。

 第三が、動かし不足です。「運動不足」ではなく、「動かし不足」であることに注目してください。
 日常生活では、意識して動かさない限り、関節を大きく動かすことがありません。漠然と歩いたり、走ったりしても、関節を大きくは動かしていません。
 ふだん関節を大きく動かさないと、徐々に関節がかたくなります。それが、ひざ関節の状態を悪くする要因になるのです。

 痛みの主な原因が肥満や姿勢の悪さにある人が、減量したり、姿勢をよくしたりするのは、当然のことです。ここでは、肥満や姿勢などに関係なく、ひざ痛に悩む人全員にお勧めしたい体操を紹介します。
 それが、ひざの動かし不足を解消する「ひざの曲げ伸ばし」です(図解参照)。

「ひざの曲げ伸ばし」のやり方

 この運動は立っていても座っていても行えますが、まず立って行う場合をお話しします。
 片足で立てない人やふらつく人は、どこかにつかまって行ってください。つかまらないで行えば、バランス訓練にもなるのでさらによいのですが、無理はしないでください。
 片足立ちをして、浮いた足のひざを曲げながら太ももを上げ、次にひざを前方にゆっくり完全に伸ばします。このとき足首は手前に反らすようにしてください。完全に伸ばしたら、最初の位置に戻し、伸ばすことをくり返します。
 完全に伸びないひざはO脚になりますから、多少痛くても伸ばしきるようにしてください。

 イスに座って行う場合も、片足を上げ足首を反らして、ひざを完全に伸ばします。足を床に平行にすれば、太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)の強化につながります。
 座って行う場合も、片足ずつ行いましょう。両足同時に行うと腰を痛めてしまうからです。
 いずれも最初は、5回くらいから始めてください。片方の足が終わったら、もう片方の足も同様に行いましょう。

 ひざの曲げ伸ばしはいつ行ってもかまいません。私は、朝晩、歯磨きをしながら行っています。楽に5回できたなら、10回、20回と1日に行う回数を少しずつ増やしましょう。多くやるほど有効です。

ウォーキングの前後に行うと効果的!

 では、なぜ、ひざの曲げ伸ばしがひざにいいのでしょうか。

 ひざを大きく動かせば動かすほど、ヒアルロン酸という潤滑油が出てきます。涙や唾液が目や口を動かすほど、分泌量が増えるのと同じです。大きく動かすことで、上下の軟骨がこすれ合いますが、関節に体重がかかっていないため、その刺激は軟骨にとって優しい摩擦になります。この摩擦で分泌された潤滑油が軟骨に吸収されるので、ひざの曲げ伸ばしを続けると、軟骨の弾力性の維持へとつながっていくのです。

 また、ひざに水がたまっている人の場合、ひざを完全に伸ばすことで水をしぼり出す効果もあります。継続すれば、水が減り、水がたまりにくくなります。

 ひざの曲げ伸ばしで、ひざ痛が楽になった人や、水が減った人は多数いらっしゃいます。

 例えば、50代の女性は、薬を服用したり、電気治療に通ったりしたものの、ひざ痛がよくならないと来院。ひざに水がたまり、痛みがひどかったので、最初は大きく動かさずに、ひざを完全に伸ばす動きだけをくり返してもらいました。
 すると、まっすぐ伸ばせなかったひざがだんだん伸ばせるようになり、痛みが減ってきました。その後、ひざの曲げ伸ばしに移行し、悪化を予防できています。

 ひざにたまった水が少なめ(10ml程度)の人は、この運動を1ヵ月も続けると、水がたまりにくくなります。
 もちろん、痛みの強い人には薬や注射も必要になります。

 ひざの曲げ伸ばしは、ひざに体重がかからないため、痛みがあっても行えます。予防効果もありますから、痛みのない人もぜひ試してください。

 ウォーキングとの併用もお勧めです。ウォーキングには、寝たきり予防の筋トレ・骨トレ効果もありますが、やり過ぎれば自分の体重で軟骨をすり減らす恐れがあります。
 ですから、ウォーキングを行う場合、その前後にひざの曲げ伸ばしを行ってください。体重でダメージを受ける軟骨に多くの潤滑油を吸い込ませることができ、より安全で効率的なひざの強化が可能になるでしょう。

解説者のプロフィール

伊藤邦成(いとう・くになり)
いとう整形外科院長。
1948年、静岡県生まれ。
74年、東京医科大学卒業。
東京警察病院整形外科に勤務後、 88年、いとう整形外科開院。
自らの腰痛を克服するために、研究した腰痛体操を患者さんに指導し好評を得ている。
著書に『整形外科医が教える元気な体の作り方』(幻冬舎メディアコンサルティング)など。

●いとう整形外科
東京都世田谷区三軒茶屋1-39-5-101
TEL 03-3418-0203
http://ito-seikei.jp/

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2020-04-27 10:34:12
夫は脳梗塞を患って以来、家にこもりがちでしたが、43円療法を試したところ、その場でぼんやりとしていた目が輝き始めました。最初は渋っていた夫でしたが、体の軽さを自覚したようで、先日は、通院の帰りに、夫と二人でスーパーへ寄り道もしてきました。きっと体と気持ちにゆとりができたのでしょう。【体験談】坂本環(仮名・主婦・76歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
変形性股関節症のため左右の股関節を手術で人工関節に換えています。手術後は痛みが消え生活に支障はありませんでしたが1~2年ほど前、違和感を感じるようになりました。長く歩くと左の股関節の外側が突っ張るような不快な感じがしたのです。しかし、この不快感も43円療法をすれば消えるのです。【体験談】井上亜紀子(仮名・無職・78歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
私は、へそさすりをする時間を特に決めていません。思いついたときに1日2~3回、それぞれ5分ほどやっています。それまでは、足を着くと「痛い!」と感じていましたが、その痛みが弱くなってきたのです。また、両ひざのあちこちに移っていた痛みも、発症する頻度が減ってきました。【体験談】朝倉米子(主婦・79歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
15秒ですらきつかった姿勢の維持も、1分以上維持できるようになりました。徐々に、しかし確実に、体は変わっていきました。腰痛はすっかり消え、右ひざの痛みもいつの間にか消えていたのです。おなかの冷えからくる腰痛もなくなりました。【体験談】朝倉啓貴(派遣インストラクター・49歳)
更新: 2019-09-10 22:10:00
最新記事
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2020-04-27 10:34:12
腱鞘炎やバネ指は、手を使うことが多いかたなら、だれもが起こす可能性のある指の障害です。バネ指というのは、わかりやすくいえば、腱鞘炎がひどくなったものです。腱鞘炎も、バネ指も、主な原因は指の使いすぎです。痛みやしびれを改善する一つの方法として、「手首押し」をご紹介します。【解説】田村周(山口嘉川クリニック院長)
更新: 2020-03-23 10:16:45
筋肉がこわばると、体を支えている骨格のバランスがくずれて、ぎっくり腰を起こしやすくなります。ぎっくり腰に即効性があるのが、手の甲にある「腰腿点」(ようたいてん)という反射区を利用した「指組み」治療です。この「指組み」のやり方をご紹介します。【解説】内田輝和(鍼メディカルうちだ院長・倉敷芸術科学大学生命科学部教授)
更新: 2020-03-02 10:09:34
慢性的な首のこり、こわばり、痛みといった首の不調を感じたら、早めに、まずは自分でできる首のケアを行うことが大切です。【解説】勝野浩(ヒロ整形クリニック院長)
更新: 2020-02-25 10:06:07
首がこったとき、こっている部位をもんだり押したりしていませんか? 実は、そうするとかえってこりや痛みを悪化させてしまうことがあります。首は前後左右に倒したりひねったりできる、よく動く部位です。そして、よく動くからこそ、こりや痛みといったトラブルを招きやすいのです。【解説】浜田貫太郎(浜田整体院長)
更新: 2020-02-17 10:18:14

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル