「砂糖スキンケア」で手荒れもかき傷も治っていった
看護の基本は、自分の手で患者さんをケアすることです。
そのために看護師は手洗いをする機会が多く、ひどい手荒れに悩まされている人は珍しくありません。
看護学を大学で教えている私も、一年じゅう、洗剤で手がガサガサになったり、手指の皮膚がひび割れて、指先にばんそうこうを貼ったりしていました。
こうした手荒れが「砂糖スキンケア」で解消し、今ではハンドクリームなどをいっさい使わなくても、手が荒れなくなりました。
また、私は敏感肌で、空気が乾燥する時期になると背中がかゆくなり、ヘアブラシでかきむしって傷ができたことがありました。
また、下着にかぶれてかきむしり、よく傷を作っていました。
砂糖スキンケアでこうしたかゆみが軽減するとともに、かぶれることもなくなり、かき傷が治っていきました。
さらに、驚くことがあります。
皮膚の老化によるイボが首の周辺によくでき、夏になって薄着になるとイボが見えるために、皮膚科でレーザー治療を受けて痛い思いをしていました。
それが、砂糖スキンケアでまったくできなくなったのです。
学生のひどいアトピー性皮膚炎やニキビも砂糖スキンケアで改善
広島県呉市の産官学フォーラムで砂糖スキンケアの商品を知り、自分に使用して皮膚の症状がよくなったことから、学生たちにも紹介しました。
すると、ひどいアトピー性皮膚炎やニキビについても、砂糖スキンケアで改善しました。
例えば、アトピーの湿疹でかさぶた状態になり、分厚くなった手首や首周辺の皮膚が、砂糖スキンケアを始めると、2週間から1カ月ほどできれいなピンク色になった学生もいました。
私と学生の改善例から、乳幼児の皮膚に砂糖スキンケアがよい影響を与えるのではないかと考えました。
そして、医師やお母さんがたの許可を得たうえで、病院で乳幼児に砂糖スキンケアを行いました。
下痢が原因で真っ赤に腫れ上がったお尻も、1日1回の臀部浴(お尻だけの入浴)で、1〜3日ほどで治りました。
お尻のただれが改善すれば、乳幼児が体をかきむしったり、ぐずったりすることも減ります。
ですから、お母さんがたも精神的に落ち着くようで、よい結果が得られたと思います。
こうした研究を2007年に始め、乳幼児の皮膚トラブル、学童期や思春期のニキビへの効果を日本小児看護学会で発表し、学術論文として報告してきました。
最近では、新生児集中治療室(NICU)で出生体重が2500g以下の新生児の皮膚の保護に有効であるかを調べました。
石けんを使用した群と砂糖スキンケア群とで比較研究を行った結果、砂糖スキンケア群のほうが使用後に有意に皮脂量が上昇して、皮膚を保護する効果を示唆することを国際学会で発表しました。
その効果が低体温予防や皮膚からの感染予防にもつながるのかを検証するため、現在も継続して、病院と共同研究を行っています。



皮膚を健康で美しく保つ
砂糖スキンケアで使用したのは、北海道産の砂糖大根から抽出したてんさい糖を、植物油でコーティングしたものです。
砂糖は床ずれに使用されていたように、傷を治す(肉芽増殖作用)効果が医療では知られています。
また、保湿作用もあります。
油については、皮膚を覆って保護をします。
砂糖で傷を治し、その上を油がカバー(皮脂量が増加し)して皮膚を保護する働きをして、アトピー性皮膚炎などが改善することにつながったのだと考えられます。
私は1日1回、入浴時に砂糖スキンケアを全身に行いますが、皮膚を健康で美しく保つ効果も実感しています。
デリケートゾーンのかゆみやかぶれが解消したと周囲に話したところ、友人たちも砂糖スキンケアを行うようになりました。
また、今年で69歳になり、年齢相応にシワはあるのですが、「肌がきれいですね」「きめが整っていますね」とよく褒められるのです。
私が砂糖スキンケアを行っていることを知ると、学生や院生も砂糖スキンケアを始めています。
次の記事では「砂糖スキンケア」のやり方が紹介されています。
解説者のプロフィール

山口求(やまぐち・もとむ)
藍野大学医療保健学部・看護学科教授。
1946年、愛媛県生まれ。2005年、安田女子大学大学院博士後期課程修了。
藍野学院短期大学看護学科講師、広島国際大学看護学部講師・助教授・教授を経て、11年より現職。