解説者のプロフィール

勝部美佳(かつべ・みか)
マクロビオティック料理研究家。
料理教室では、これまで約2000人に調理法を指導。
大阪市で、玄米菜食を基本としたカフェ『メリーモモ』を主宰。
食材本来の力とおいしさを生かしたヘルシー料理が、人気を呼んでいる。
●メリーモモ
http://www.merrymomo.org/
玄米を食べやすくした「玄米スープ」
私は現在、マクロビオティックを基本とした、カフェと料理教室を運営しています。
マクロビオティックとは、食文化研究家の故・桜沢如一氏が提唱した「自然と調和して生きる生活術全般」のことをいいます。
そのなかの一つが、玄米などの全粒穀物を中心とし、一人ひとりの体調や環境、ライフスタイルに合わせた食事法です。
今回は、マクロビオティックの主食である玄米を食べやすくした、「玄米スープ」をご紹介します。
玄米スープを食べることで、10kg20kg自然にやせた人が多数います。
また、「イライラしなくなった」「ぐっすり眠れる」「肌が潤って化粧水が不要になった」といった声も多いのです。
なぜ「玄米」がダイエットや健康に役立つのか
まず、なぜ玄米がダイエットや美容・健康に役立つのか、説明しましょう。
玄米には、胚芽とヌカがついています。
胚芽は、その字のとおり、やがて生長して芽になる部分です。
ですから、玄米を水に漬けておくと芽が出ます。
胚芽は、〝生命力の塊〟なのです。
ヌカに含まれる、ビタミンとミネラルも重要です。
炭水化物を分解し、エネルギーに変えるには、ビタミン、ミネラルが必要不可欠です。
ほぼ炭水化物である白米を主食とする場合、それを体内でエネルギーにするために、主菜や副菜でビタミンとミネラルを摂取する必要があります。
「1日30品目食べましょう」と提唱されるのは、そのためです。
しかし玄米には、ビタミンとミネラルが含まれているため、単独で効率よくエネルギーを産出することができます。
また、ヌカには「ファイトケミカル」と呼ばれる機能性成分も、多く含まれています。
ファイトケミカルには、強力な抗酸化作用、ガン抑制作用、免疫増強作用があるといわれます。
さらに、前述したように、玄米は芽吹く力を持つ「生き物」です。
生命力のある物を食べると、力が湧いてきます。
このように玄米は、さまざまな面から、私たちの体を健康へと導いてくれるのです。

消化がいいので歯や内臓が弱っていても安心!
玄米の調理法を変えたり、ほかの食材とうまく組み合わせたりすることで、自分に合った食事を調えることができます。
玄米の食べ方として、私がお勧めするのは、「玄米スープ」です。
スープと呼んでいますが、実際は玄米がゆです。
一般に、玄米ご飯は消化が悪いため、一口200回噛むのがよいとされています。
しかし、それは現実的には大変でしょう。
おかゆなら、そこまで噛まなくても消化されるので、歯や内臓が弱っているかたでも安心です。
しかも、煮汁ごと食べることで、溶け出したファイトケミカル成分を効率よく摂取することができます。
玄米スープはいつ食べてもいいのですが、特に朝食にするのがお勧めです。
朝は、まだ体が目覚めていないので、こってりした食べ物だと消化器に負担がかかります。
特に、肝臓は塩気を嫌い、やわらかいものを好みます。
朝の玄米スープは、体に優しく、肝臓の働きを促してくれるのです。
加えて、玄米スープは多様なアレンジが可能です。
例えば、暑い季節ならトマトを入れ、寒い時期には赤みそを加える、といったぐあいです。
飲み過ぎた翌朝はダイコンおろし、血糖値が高い人はカボチャを入れるのがお勧めです。
このように、玄米スープにほかの食材を加えることで、さまざまな状況に対応できるのです。
ダイエットだけでなく便秘解消、美肌づくりにも効果的
さらに、冒頭でもお話ししたように、玄米スープはダイエットにも効果的です。
体に必要な栄養素がバランスよく含まれているため、玄米を食べると、満腹感だけでなく、満足感も得られます。
そのため、食べ過ぎや間食が減り、自然にやせていくのです。
食物繊維も豊富なので、便通がよくなります。
それも、ダイエットの一助となるでしょう。
また、コメに限らず、ほかの野菜にもいえることですが、皮ごと食べると皮膚が健康になります。
ですから、玄米スープを食べることで、ニキビやシミが消えたり、アトピーが改善したりする人も少なくありません。
私のカフェに来たことがきっかけで、1日1回は玄米を食べるようになったという男性は、この1年で約4kgやせました。
出張が多く、睡眠時間は短めですが、毎朝スッキリ目覚め、体のだるさが消えたとのこと。
アレルギーと思われる体のかゆみとクシャミも、最近出なくなったそうです。
朝にとるのがお勧め
また、以前、ある中学校の野球部の保護者会で、玄米について講演したことがあります。
皆さん、玄米のよさを理解してくださり、野球部員の主食は玄米になったそうです。
その後、県大会で優勝するほどの強豪校になったと聞き、お話ししたかいがあったと思いました。
私の父が病気になったとき、玄米スープを食べて劇的に回復しました。
そのとき、いっしょに玄米スープを食べていた母は、10kgものダイエットに成功しました。
このように玄米スープは、人を本来の「健康体」へ導く力があるのです。
玄米スープの作り方は、次の記事をご覧ください。
アレンジレシピも紹介しているので、その日の自分の状態に合わせて作れば、飽きずに続けられるでしょう。
作りおきもできるので、便利です。
玄米スープは、病気の人は1日3食、そうでなければ1日1食、朝とるのがお勧めです。