解説者のプロフィール
わき腹を緩めて血流と代謝をアップ!
私は3年ほど前まで、宮城県内のスポーツクラブで、トレーナーやインストラクターとして勤めていました。
幅広い年齢層のお客様の、健康づくりのお手伝いをしてきてわかったのが、背骨周りの柔軟性の大切さです。
ここがかたいと、姿勢が悪くなるため、全身にゆがみが生じやすく、体のあちこちに痛みが現れる原因となります。
さまざまな体操をお教えするうちに、座ったまま上半身を左右に揺らすことができないケースが、多く見られることに気がつきました。
ふだんあまりしない動きであるうえに、高齢になると特に、体がこわばって難しいようです。
そこで、体をユラユラと揺らす動きを教え始めたところ、最初は動きが悪かったかたでも、左右の振り幅が徐々に広がるようになりました。
動かせる範囲(可動域)が広がるにつれ、痛みが取れた、体が軽くなった、などのいい効果が現れました。
そこで、この動作に呼吸を組み合わせたのが、今回ご紹介する「わき腹呼吸」です。
わき腹呼吸のやり方
体操を始める前に、足の裏や肩甲骨周りをよくほぐして、準備の姿勢を整えます。
しっかり準備をすることで、体が柔軟になり、筋肉が緩むので、より可動域が広がります。


●手順1・2を1セットとして、朝晩1セットずつ・1日2セットを、毎日行います。
●1日1セットしかできない場合は、夜、入浴後に行うとよいでしょう。
座って行っても、立って行ってもOKです。リラックスして行いましょう。
≪注意≫ 無理のない範囲で行ってください。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの持病があり痛みが出る場合は、かかりつけ医に相談してください。
わき腹呼吸のポイント
立っても座っても行えますが、注意すべきポイントがいくつかあります。
まずは、両足のつま先をまっすぐ前に向け、左右の足の外側(小指側)のラインが平行になるようにすること。
こうすると、人によっては、内股ぎみになるかもしれません。
バランスが悪く感じられ、うまく立てないという人も多く見られます。
しかし、続けるうちに重心の置き方がわかり、無理なく立てるようになります。
次に、背中を伸ばすときには、頭のてっぺんが真上に引っ張られている感じを意識しましょう。
連なっている背骨の間に、すきまを作るようなつもりで、背すじを伸ばします。
そして、この体操を行う際は、息を吸うときも、吐くときも、ウエストを細くするイメージで、おなかをなるべく凹ませてください。
そのままの状態で、ゆったりと呼吸するのが肝心です。
最初は慣れず、難しく感じられるかもしれませんが、コツをつかむと、リラックスしてできるようになります。
この呼吸をしながら、わき腹を縮めるように、上体を左右に倒します。
人の筋肉は、縮めることによって、伸びやすくなります。
この性質を効率的に利用したのが、わき腹呼吸です。
筋肉を大きく伸ばし緩めることで、血流や代謝がよくなり、さまざまな効果が生み出されるのです。
【実践した人からの声】ヘルニアや脊柱管狭窄症股関節痛の手術を回避!
わき腹呼吸を実践されたかたからは、うれしい声が続々と寄せられています。
ネコ背などの悪い姿勢がよくなった、呼吸が楽になったという声をはじめ、腰や首、肩、ひざなどの慢性的なコリや痛みが改善したというお話も多く聞かれます。
「ひざ痛が治り、10年間できなかった正座ができるようになった」と、喜ばれたかたもいらっしゃいました。
きちんとした準備姿勢を取ることで、重心の位置が矯正され、姿勢がよくなるので、O脚やX脚の改善にも効果があります。
私自身も、以前はO脚ぎみだった足が、まっすぐになりました。
また、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、脊柱管狭窄症、股関節痛などで手術する予定だったのが、不要になったという報告を受けたこともあります。
ただ、こうした診断を受けているかたは、無理に行うと症状が悪化する可能性もあります。
痛みが出たら中断し、心配であれば医師に相談してください。
気持ちいいと感じる範囲で行うなら、問題ないでしょう。
ダイエット・シェイプアップには即効性がある!
さまざまな不調を改善してくれる、わき腹呼吸ですが、なかでも顕著なのは、ダイエットやシェイプアップへの効果です。
昨年、5名の女性に協力していただき、モニターレッスンを行ったことがありました。
1回のみの体験レッスンでしたが、ウエストのサイズは全員が減少。
最大で6cmも細くなったかたがいらっしゃいました。
ヒップは、1名のみ「変化なし」でしたが、ほか4名は、サイズダウン。
こちらも、最大で6cm小さくなりました。
このときのモニターのかたではありませんが、一度でウエストが9cm減ったケースもあります。
もちろん、脂肪がそんなに短時間で解消するはずはないので、代謝がよくなり、ウエスト周りのむくみが取れた結果でしょう。
このように、わき腹呼吸は即効性があります。
しかし、体の使い方の悪いクセを直さないかぎり、すぐまた、元に戻ってしまいます。
本来の正しい姿勢を体で覚え、わき腹呼吸を日々の生活にぜひ取り入れてください。
次の記事では、医学的に健康効果が証明されている「長生き呼吸」と、今回紹介した「わき腹呼吸」との共通点が詳しく紹介されています。
Haruhi
2014年3月まで大手スポーツクラブでトレーナー、インストラクターとして勤務。
その後、独立し宮城県内でボディメイキングサロンを主宰。
呼吸と動作の連動を重視し、エクササイズを指導している。
姿勢から見直し心身に抱えた悩みを取り去る「幸せボディ」づくりを広めるべく、精力的に活動中。
HPは「姿勢ニスト」で検索。