解説者のプロフィール

倉幹男(くら・みきお)
みき接骨院院長。
1974年、愛知県出身。
1997年、愛知教育大学卒業。
2000年、米田柔整専門学校卒業。
柔道整復師。
背骨と骨盤の矯正法・連動操体法・古武術・バランストレーニングを取り入れた施術を行う、みき接骨院を開院。
姿勢の改善と足指の強化を両輪に、治療を行っている。
「足で健康をわしづかみにする」という意味を込めた、「あしづかみセラピー」を考案。
日本あしづかみ協会を立ち上げ、小学校やPTA、スポーツ団体などへの啓蒙活動を積極的に行っている。
●みき接骨院
名古屋市緑区池上台2-28ライオンビル1F
TEL 052-893-0773
http://www.miki-bs.com/
足の指がつけ根から直角に曲げられますか?
私の治療院には、腰痛をはじめ、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、座骨神経痛、ひざ痛、頭痛など、さまざまなトラブルを抱える患者さんが、毎日多く訪れます。
そうした患者さんのほとんどに共通するのが、足指をうまく動かせなかったり、「浮き指」になっていたりすることです。
浮き指とは、立っていても座っていても、足のつま先が地面から浮いているような状態です。
見た目に足指が反っていなくても、足指が甲に向けて90度以上曲げられるなら、浮き指傾向です。
現代人は「浮き指」になりやすい!
現代人は、浮き指になりやすく、半数以上の人が、足指をしっかり使えなくなっているのではないかと考えられます。
これは、文明の発達と大いに関係があります。
昔の人は、長距離を移動するにも、草鞋をはいて、足指で適度に踏ん張りながら歩いていました。
ところが近代は、車や電車で移動することが増え、体を使って行う仕事よりもデスクワークが多くなりました。
道路もきれいに舗装され、でこぼこ道を歩くこともほとんどありません。
そのため、足への刺激が減り、性能のいい靴をはいているので足指を使う必要もなくなり、足が退化の一途をたどっているのです。
試しに、足でグーとパーを作ってみてください。
手でグーを作るときと同じように、指だけでなく、甲の部分にあるつけ根から直角に曲げられているでしょうか。
特に小指をしっかり曲げられていますか?
パーのときには5本の指をすべて床につけたまま、水平に開けているでしょうか。
できない人は、腰痛をはじめとするさまざまな不調が起こるリスクが高いと言えます。
では、浮き指になると、どうして腰痛が起こるのでしょう。

なぜ「浮き指」だと腰痛が起こるのか
足指が使えていないと重心が安定しない
浮き指だと、歩行のさいに足指に力が入らず、ペタペタ歩きになってしまいます。
足指でしっかり地面をつかむことができないため、重心がフラフラして、バランスも取りづらくなってしまうのです。
つま先が浮いていると、重心が足の後ろ側、つまりかかと寄りに移動します。
すると、頭は体を支えようとして前に出ます。
これによって、姿勢がくずれて、ネコ背になります。
ネコ背になると、体がゆがんで、さまざまなトラブルが生じます。
ネコ背の状態は、腰に負担がかかるため、腰痛になりやすいのです。
そして、足のすねの筋肉が張り、それにともなってふくらはぎの筋肉も硬くなり、血行が悪くなります。
このことも、腰痛やひざ痛、肩こりや頭痛の原因となるのです。
外反母趾や巻き爪など、足のトラブルも起こりやすくなります。
先ほどの足でのグーとパーがしっかりできなかった人にぜひ行っていただきたいのが、私が考案した「足づかみ体操」です。
「足づかみ体操」のやり方は次の記事で詳しく紹介しています。